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ユーザーテスト。ユーザーテストが”刺さる”7つのパターン

ユーザテスト(ユーザビリティテスト)は非常に効果的な手法です。

ユーザテストの認知度はここ数年で大きく上がりましたが、「ユーザテストって本当に有効なの?」というクライアントもまだまだいます。

ユーザテストをWebマーケティングシーンで有効に活用するには、顧客の課題意識・要望を踏まえた上で、ユーザテストが「その課題・要望を満たすための方法」であることを強調することがポイントです。

これまでユーザテストを様々なシーンでご提案してきた経験から、ユーザテストがお客様の課題にマッチして「刺さる」パターンは大きく7つのパターンに分類しました。本稿では、それぞれご紹介していきます。

 パターン1. ユーザが何をもとめているか分からない

クライアントが「ユーザをしっかり理解することが重要」かつ「ユーザが何をもとめているか分からない」という課題意識を持たれている場合、ユーザテストは「刺さり」ます。

このようなクライアントはすでにアクセス解析やアンケート等をしっかり実施していて、「ユーザ視点は重要」という前提理解はあるため、非常にストレートにユーザテストを提案可能です。

ユーザテストの価値:ユーザ心理を理解できる

アクセス解析データをいかに見ても、「どこで離脱しているか」は分かっても、「なぜ離脱しているか」は分かりません。
ユーザテストを行なうと、ユーザの心理・ニーズを直接理解することができます。

【他手法との違い】

アンケートでは、表面化した強い課題・要望は分かりますが、表面化していないものまでは理解できません。人間が自分の思考を表現できるのは1割未満と言われており、アンケート結果だけでは不足点が多くあります。

インタビューでは、「思い出しながら」の発言となりますが、人間の記憶力は曖昧なため、思い出せる範囲に限りがあります。ユーザテストなら、サイトを実際に見ながらつぶやくので、その場で分かる心理をしっかり把握可能です。


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 パターン2. 成果を出したい(成果が出ていない)

「Webマーケティングでしっかり成果を出したい」という意識やミッションがあり、既存の手法ではうまく成果が出ていない場合、成果改善手法としてのユーザテストの価値をしっかり説明することで提案できます。

パターン1と違って「ユーザ視点で成果がでる」という前提はないため、ここからご説明する「なぜユーザテスト(=ユーザ視点)が成果向上に必要なのか?」をしっかり腹落ちいただくことが重要です。

ユーザテストの価値1:ユーザ視点で課題や改善余地が分かる

しっかり成果を出すためには、WebサイトやLPに訪問してくれたユーザが、「なぜコンバージョンしなかったか」という原因を理解する必要があります。

その原因は、「関心に応えられていなかった」「不安や疑問を解消できていなかった」「意欲を高められていなかった」等のコミュニケーション不足に還元できます。

ユーザテストを行なうと、このような原因が明確になるため、適切な改善の打ち手をうつことができ、成果向上に貢献できます。

【アクセス解析と併用すべき理由】

アクセス解析では、「どこがボリュームゾーンか」「どこに課題がありそうか(離脱率・直帰率が高いか)」は分かりますが、「なぜそこで落ちているのか」という原因を追うことはできません。
逆に、ユーザテストではこのような定量的な情報はないため、併用することが望ましいです。

ユーザテストの価値2. 意思決定者や現場を動かしやすい

会社で成果を出すためには、単に頭で課題を把握するだけで、実際に手を動かして改善する必要があります。しかし、様々な業務を抱えている上長・同僚・外部パートナーに課題を伝え、行動させるのは容易ではありません。

ユーザテストでは、動画でわかりやすく課題が見えるため、難しいレポート作成や説明を行わなくても、「確かにこれは直した方がよい」という意思合意を取りやすいというメリットがあります。

パターン3 アクセス解析を行っているが、課題が分からない

「アクセス解析でデータを見ているが、結局何が課題が分からない」という場合は、ユーザテストを併用することで課題深堀りが行えます。

このような状況では、「アクセス解析だけで分析を進めることは難しい」という課題が強く顕在化しているため、その課題感を共有した上で、「なぜアクセス解析だけでは課題がわからないか」という要因と、「どうすればいいか」をセットで伝えることがポイントです。

ユーザテストの価値1. アクセス解析にはない「ユーザ視点・心理」が分かる

アクセス解析では、「どこがボリュームゾーンか」「どこに課題がありそうか(離脱率・直帰率が高いか)」は分かりますが、「なぜそこで落ちているのか」という原因を追うことはできません。

逆に、ユーザテストではこのような定量的な情報はないため、併用することが望ましいです。

例えば、Googleアナリティクスで「トップページの直帰率が高いことが課題」と分かったとします。

次にユーザテストを用いて、なぜトップページで直帰しているかを確認すると、業種別・ユーザ別に様々な課題が発見できます。

パターン4. 競合の機能・コンテンツが気になる

ベンチマークとしてしている競合サイトがいて、自社にはない機能やコンテンツを持っているが、「本当にその機能やコンテンツは必要なのか?」が知りたい場合にもユーザテストは有効です。

最近ではSimilarWebやEmark+など競合の定量データを取得するためのツールも出てはいますが、やはり競合サイトを定量的に分析することは容易ではありません。ユーザテストであれば、勝手に競合サイトを使うことができ、比較させることも容易です。

ユーザテストの価値1. 競合サイトのユーザ視点評価を勝手に取得できる

ユーザテストは、サイトへのタグ導入などは一切不要で、対象サイトやアプリを選ばずに実施できるため、自社だけでなく競合も対象とすることが可能です。

この特長を活かし、競合サイトを対象にユーザテストを行い、機能やコンテンツを「勝手に評価」することで、今後の自社改善を行なう上での有益なインプットを得ることができます。


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パターン5. 社長・上長を説得したい

リニューアルなどの予算を獲得したいが、なかなか社長や上長に納得を得られない場合、前段の現状把握(社内での課題醸成ツール)としてユーザテストが有効です。

ユーザテストの価値1. Web初心者にも課題を伝えやすい

この状況では、概して、社長や上長がWebへの理解が乏しいケースが多いです。このような場合に、アクセス解析データなどの数値データを用いて説明すると、「ウェブはよく分からない」という苦手意識が増幅されてしまい、逆効果です。

ユーザテストであれば、動画でわかりやすく課題を伝えることができ、また第三者の意見なので辛い意見でも伝えやすく、社長や上長の危機意識醸成に大きく貢献可能です。

Q. ユーザテストだけで説得できるのか?

ユーザテストはサンプルが数名のため、「所詮、数人の意見。参考にならないと言われるのでは」という懸念を持たれるケースがあります。この懸念はごもっともです。

定性調査の納得感を高めるのに重要なのは、「誰にテストするのか」をしっかり選ぶことです。
ターゲット外も含む数百人の適当な意見よりも、明らかにターゲットであることが分かる1名の意見の方が、重要です。事前アンケートでターゲットを見極め、「この人の意見なら聞かざるを得ない」という状況を作りましょう。

パターン6. 新しいことをやりたい

「他社に先駆けて新しい取り組みを行いたい」というイノベーター気質のクライアントであれば、まだまだ認知度の低いユーザテストは新しい改善手法として有効です(実際には極めて古典的な手法だと思いますが、そうでもない印象を持たれるのが悲しいところ…)。

ユーザテストの価値1. アクセス解析などに比べ新しい手法である

ユーザテストはまだまだ目新しい手法のため、「まだあまりやっている会社はないのですが」と新鮮さを訴求することで関心を高められる場合があります。
(このニーズの場合、残念ながらDSP・DMPなどのテクノロジー系の方が受けはよいため、刺さらない場合もあります)

パターン7. ウェブ担当者を育成したい

「ウェブ担当者を育成し、内製化したい」「自社のWebマーケターを育てたい」というニーズを持たれている場合は、その育成ツールとしてユーザテストが有効活用できます。

特にWebコンサルティング会社やデザイン会社などのWeb支援企業においては、ユーザテストによる育成効果は非常に大きいと思います。

ユーザテストの価値1. 自社の顧客・ユーザを理解できる

ビジネスにおいて顧客理解が重要であることは自明です。
ユーザテストを通じて、自社の顧客(サイトユーザ)を理解することは、担当者にとってはウェブ業務にかぎらず極めて有効です。

【東海地方の不動産会社(飯田商事)での事例】

飯田商事では、ウェブにかぎらず、社員教育の一環として「お客さまがどのような期待を持っているか」を啓蒙しており、既存顧客とのバーベキュー等を催した上でコミュニケーションを取る等の施策を行っていました。
この流れの一環として、自社サイトのユーザテスト結果を全社員で見ることにより、「自社へのイメージ」「競合とのユーザ視点での違い」を明確にし、担当者・社員の意識啓蒙に成功しています。

2. 課題に自ら気づける

ユーザテスト動画を見れば、特別なスキルやノウハウがなくても、誰でも「明らかにここが悪い」という課題を発見することができます
ポイントは、それが「誰かに教えてもらう」ではなく、あくまで「クライアント担当者が自分で課題に気づける」ということです。
それにより、クライアント担当者自身の課題意識が高まり、改善の機運が高まるため、結果的にはパートナー会社にとってもプラスの効果を及ぼします。

ユーザテストはただの手法・ツールにすぎません。
重要なのは、どのような課題に対し、どのような価値としてユーザテストを活用できるかです。
上記でご紹介した活用パターンをご理解頂くことで、より有効なツールとして活用していただけることを強く願っています!

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投稿日: 2016/09/12 更新日:
カテゴリ: ユーザーテスト、ユーザビリティテスト