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UXリサーチのクライアントコミュニケーションで意識するポイント ~リサーチャー1年目の学び~

未経験からUXリサーチャーとして働き始めて1年。今回は、新人リサーチャーの視点から、クライアントコミュニケーションでの2つの失敗談と、失敗から得た学びをご紹介いたします。

「新人リサーチャーがUXリサーチで躓きやすいポイント」はどのような点にあるのか、初心者が意識すべきポイントを押さえながらご覧いただければと思います。

【ケース1】プロトタイプ作成での認識齟齬

最初にご紹介するのは、私が入社後、初めて担当した案件についてです。

この案件は、サイト改善のためにプロトタイプを利用するリサーチで、対象サイトのプロトタイプをポップインサイトで作成し、検証を進めるというものでした。プロトタイプは簡易な構造で、対象サイトの画像素材をお客様からいただき、画像素材をつなぎ合わせ、ボタンやリンクのみを使えるようにするというものでした。

また、本案件は以前からUXリサーチでポップインサイトとご契約いただいている企業様からのご依頼だったこともあり、プロトタイプ作成のスケジュールまではスムーズに決めることができました。

プロトタイプの作成スケジュール

しかし、作業が進んでいくにつれてコミュニケーション齟齬によるスケジュール遅延などが発生し、結果的に納期の延長をお願いするという事態になってしまいました。

失敗の最大の原因は、「UXリサーチへの理解度」を確認していなかったこと

スケジュール遅延/納期延長を引き起こした要因は以下のことが挙げられます。

  1. プロトタイプの作成に使用する画像素材の解像度が想定と全く異なる状態で送られてきたため、改めて解像度の説明をして画像素材を作り直していただく必要があった
  2. プロトタイプを作り始めてから、画像素材を繋ぎ合わせた簡易なプロトタイプでは調査に対応しきれないことが発覚した
  3. 上記のことから手戻りが多発したが、簡易なプロトタイプの制作工数しかとっていなかったため、結果的にプロトタイプ完成までに予定していた作業工数が足りなくなってしまった

このようなトラブルを引き起こしてしまった理由は、キックオフ段階で「ユーザー調査ができるプロトタイプとして成り立つか」という視点を持った調査設計ができていなかった点にあります。

お客様の視点ではUXリサーチに必要な素材は準備できているというご認識で、この調査を通じて知りたいことを提示いただきましたが、リサーチャーはまずその前提認識から確認をすべきでした。

お客様がUXリサーチについてどのような認識をもっているのか?調査によって提供できるアウトプットの認識にズレがないか?調査に必要なプロトタイプの素材は調査実施が可能な段階まで完成しているか?本来なら、そうした基本的な部分からすり合わせなくてはいけません。

そして、前提認識のすり合わせができて初めて「調査を通じて提供できる価値」の話ができるという順番であるのに、基本的な部分のすり合わせを欠いて、その先の要望ばかりを捉えてしまっていました。

本来であれば、キックオフの際にはユーザーにリサーチをするような気持ちで、お客様に対してもUXリサーチについての理解度やUXリサーチに対する前提認識を確認しながら、調査を組み立てていかなくてはいけません。しかし、それができていない状態で、調査を始めてしまったことが今回の遅れを発生させてしまった原因といえます。

なぜこんなトラブルが起きたのか?キックオフ段階でUXリサーチについての理解度やUXリサーチに対する前提認識を確認しながら、調査を組み立てていかなくてはいけない。

UXリサーチへの理解度を誤解していませんか?

前述のエピソードでは、リサーチャーとしてお客様のUXリサーチへの理解度をどのように把握すべきだったのでしょうか?

初心者ならなおさら難しい課題です。

新人リサーチャーや、案件に途中からアサインされたリサーチャーにも起こり得ることですが、

「これまでにもUXリサーチを実施している(ご利用いただいている)から、細かく説明せずともわかっていらっしゃるだろう」

「むしろ自分より詳しいのではないか」

といった意識は、お客様理解の妨げになります。

案件が始まるキックオフのタイミングは「お客様を深く知るためのインタビュー」だと考えて、前提認識をどんどん深掘りしていくことで、お客様がUXリサーチをどのようなものだと考えているのか、自分自身の解釈に根本的なズレがないかを確認していく必要がある、ということを今回の失敗から学びました。

【ケース2】「社内体制」の把握不足

続いては、1か月に1案件のペースで、リサーチを1年間にわたって実施していた時のことです。

そのお客様からは調査のご依頼は次々にいただけるものの、調査後毎回似たような課題が挙がるという状況が続いていました。そうした状況が続く中で、今までポップインサイトが提案してきた改善案やリサーチ結果が、お客様の社内でうまく共有されていないのでは? と思い至りました。

課題の根本原因は、制作サイクルとUXリサーチのサイクルが噛み合っていないこと

当時はポップインサイトでUXリサーチをして改善提案を示しした後、お客様がどのようなプロセスでその改善提案をプロダクトに反映し、リリースまで対応されているのか、リリース時に改善提案が実際にどれほど反映されているのかが把握できていない状況でした。

制作体制の把握不足。制作のPDCAサイクルとUXリサーチのサイクル/HCDプロセスのズレを引き起こした。
左側はお客様のサイト制作プロセス、右側はUXリサーチのサイクルを表すHCDプロセス

実態を確認するにつれて、お客様の制作体制を把握していないことによって、制作のPDCAサイクルとUXリサーチのサイクルとのズレを引き起こし、制作サイクルからUXリサーチが分離されてしまっていたことがわかりました。
それにより、UXリサーチの調査結果をプロダクト改善の流れにうまく乗せられないという状態が引き起こされていたのでした。

制作サイクルを把握するために

前述の課題への改善案として以下の2点に取り組みました。

■ リサーチのご依頼をくださるお客様に対してインタビューを実施し、「制作からリリースまでのプロセス」や「そのプロセス内でのUXリサーチの位置づけ」を把握すること

■ プロダクトへの改善案の反映を容易にするために、普段から開発ベンダーをメンバーに含めてコミュニケーションをとることや、エキスパートレビューの実施を提案すること

これらの取り組みによって、よりプロダクト開発と一体化したPDCAサイクルの中でUXリサーチが活用されることが重要です。

まとめ:UXリサーチのコミュニケーションで重要な点は?

以上2つのケースから学んだ「UXリサーチ初心者がリサーチを始めていく上で、注意すべきポイント」は下記の2点です。

・案件スタート時のすり合わせはお客様のUXリサーチへの理解度の確認から始める

・お客様の制作体制を把握し、制作サイクルとUXリサーチのHCDプロセスが噛み合うようにする

重要な点はUXリサーチの理解度の確認と制作サイクル/リサーチのプロセスのかみ合わせ

ユーザーテストの調査対象者となるユーザーだけではなく、「お客様のUXも最適化できるようなコミュニケーションプランを立てていく」ことが、よりよいUXリサーチの実施に繋げるコツではないかと思います。

以上が、私が新卒1年目の新人UXリサーチャーとしての失敗談と学びのご紹介となります。

この記事が「未経験でもUXリサーチを始めてみたい!」と思う方の参考に少しでもなれば幸いです。

コラム執筆者

鈴木

2021年ポップインサイトに入社。生命保険会社のサイト改善やプロトタイプ調査、アイデア志向についてのワークショップの実施等、UXリサーチの業務全般を担当。趣味は旅行とネイル。

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※ページ内のアイコンはicooon-monoより引用

投稿日: 2022/10/31 更新日:
カテゴリ: UXリサーチ, 勉強会, UXデザイン
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