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ゲーム開発者を動かした ユーザー体験が持つ力とは?

UXリサーチ結果が、組織を動かす上でどのように重要なのか、改めて実感したプロジェクトがありました。そのプロジェクトは、もともとゲームセンターに置かれているゲームをオンラインで再現したオンラインゲームを対象にユーザーテストをおこなったものです。社内から、ユーザービリティに対し懸念の声が上がったため、実態を把握すべくおこなわれたユーザーテストでした。

オフラインでは気にしないのに、オンラインでは気になる

ユーザーテストの結果を受け、大きく議論に取り上げられたのは、オフラインゲーム利用時と、オンラインゲーム利用時のユーザーのメンタルモデルの違いでした。

対象のオンラインゲームでは、獲得できる景品をカテゴリごとに確認しづらい、という声が複数の利用者から上がりました。その結果を受けて、クライアントの参加者間では下記のように議論が活発になりました。

「オフラインのゲームでは、景品をカテゴリ別に確認できるかどうかはあまり気にしないのに、オンラインでは求めるのは新鮮な発見。メンタルモデルが違うのだろうか。」

「オフラインの場合は通りすがりでの利用が多いのに比べて、オンラインの場合には欲しいものが決まっている場合が多いのかもしれないですね。」

「他社ではどうしているんでしょう。」

また、オフラインゲームを常時利用しているユーザーから「オンラインゲーム画面が見にくい」との声が上がったのに対し、十分見やすいと考えていた開発担当からは驚きの反応がありました。

「え!? これ見にくいですか? 私は、すごく見やすいと思うんですけど。みなさん、どうですか? 」

「オフラインゲームでは、最近〇〇のような作りになってきているので、現状のオンライン画面は見にくいと感じるのかもしれませんね。」


このように、オフラインでのメンタルモデルのままオンラインを見たときの違和感や、オフラインゲーム利用状況と、オンライン利用状況の違いなど、クライアントが予見していなかった重要な発見があり、私たちが想像していた以上に場の議論が高まっていったのでした。

「触媒」としてのユーザー体験

今回のクライアントの反応を受け、改めてUXリサーチは、作り手が気づけないようなプロダクト改善のための重要なインサイトを得るために有効であると感じました。また、同打ち合わせ内で、クライアントがこぼした一言がとても印象的でした。

「(ユーザーから指摘があった)この画面遷移、私もわかりづらいと思ってたんですよね。クライアントの声が良い材料となって、開発が進みそうです。」

開発者個人が「使いづらいのでは? 改善の余地があるのでは? 」と感じていても、個々のメンバーが複数プロジェクトに忙殺されていたり、意思決定のために複数レイヤーの巻き込みが必要な場など、なかなかそれに対して行動を起こすのが難しい組織事情があるのかもしれないと感じました。

「ユーザー体験」という触媒を投げ入れることで、そのような状況下でもメンバーの思考が後押しされ、改善が進んでいくのかもしれない。そんなことを感じたのでした。

ユーザーの声が現場に与えるインパクト

プロダクト開発の現場で、同様に課題感がありつつも改善の障害を感じられている方は少なくないのではないでしょうか? 

ユーザー目線に立ち返り、具体的なアクションにつなげるためのもっとも良い解決策の1つが、UXリサーチだと思います。

ユーザーの声がきっかけとなりプロダクト改善に影響をもたらした事例として、ポップインサイトのクライアント様から納品後にいただいたお声をいくつかご紹介したいと思います。

  • アクセス解析などの定量調査だけでは見えないユーザーの生の意見が聞けるので、数字だけでは判断できない決定打をもたらしてもらえた
  • 調査中に生じたエラーが問題になり、エラーへの対処チームが出来上がり、対応することになった
  • チーム内でユーザーの共通認識が得られ、チームビルディングにも良い影響があった
  • 良かれと思っておこなった改修で、改善した点もあるが、逆にユーザーにとって見づらいUIになっていることが判明した

また、ポップインサイト主催のセミナーにご登壇いただいた企業様の事例として、以下のようなものがあります。

  • 会議の場では端的に伝える必要があり、上のレイヤーに行くほど1次情報が入らない。加工された2次情報だけでなく、あえて経営層にユーザーテストの動画を見せることで説得力を持たせたり、揺り動かすことができた(参考動画:伴走するUXデザイン

以上の事例からも、ユーザーの声がいかに大きな影響力を持っているか、うかがい知ることができます。

ユーザーを知ることの重要性

自社のサイト(サービス)に関し、下記の質問にすべて答えられる方はどのぐらいいらっしゃるでしょうか? 

  • サイト(サービス)の目的は何ですか? 
  • サイト(サービス)のターゲットユーザーは誰ですか?
  • ユーザーのニーズは何ですか? 
  • ユーザーは普段どんなときにあなたのサイト(サービス)を使いますか? 
  • ユーザーは普段どんなときにあなたのサイト(サービス)を使いますか?
  • ユーザーはどんな情報をどういう順番で求めていますか? 
  • ユーザーの心理状態はどのような状態にありますか? (「焦っている」「不安に思っている」など)
  • 上記ユーザーの状態を受けたサイト(サービス)側の対応方針は? 
  • 次の発展に向けた課題は?
  • リニューアルで目に見える成果が上がりましたか? (サイト(サービス)をリニューアルした経験がある人向け)

これらの問いにすべて確信をもって答えられる=成果を上げられると言っても過言ではないかと思います。

そもそも、Webサイトはセルフサービスメディアと言われており、その利用は個人の意思・特徴・動機・勘に依存するものとなります。

当たり前ですが、ユーザー任せになるのであれば、そのユーザーを徹底的に知っておくこと・知った上でサイト上でのコミュニケーション設計をすることが何よりも重要となります。1)

特にBtoC業界は、変化が激しく、単価が低いために価格競争に陥りやすいという特色があります。

また、購入や利用までの検討期間も短いことが多いです。

そのため、ユーザーのニーズを的確にとらえたコンセプトづくりや設計が特に重要となり、徹底したユーザー中心の考え方を取り入れることが、成功への一番の近道と言えるのではないでしょうか。

1) 参考書籍:武井由紀子/三木順哉.ユーザ中心ウェブビジネス戦略

まずは身近なところからでも

UXリサーチは少し敷居が高いと感じられるかもしれませんが、身近な人にまずはインタビューしてみたり、サイト(サービス)を使ってもらうなど、小さなユーザーテストから始めてみてはいかがでしょうか?

チーム全体がユーザー視点に立ち返るきっかけとなり、あらためて進むべき方向を明確にできるという大きな力を持っているのが、ユーザーの声だと思います。

以上、現場におけるユーザーの声の重要性について、事例を交えてお伝えしました。少しでもご参考になれば幸いです。

【コラム執筆者】

野上

広告やIT企業でフィールド/インサイドセールス、カスタマーサポート/サクセス等営業関連の経験を積んだ後、2021年ポップインサイトに入社。UXリサーチャーとして、EC、飲料メーカー等の案件に携わる。

【無料Ebookダウンロード】ユーザーテスト/ユーザビリティテストの基本

数あるUXリサーチ手法の中でも最初に始めやすい「ユーザビリティテスト」の「基本的な設計・実査・分析の流れ」と「実施の進め方や注意点」を解説します。

投稿日: 2022/11/16 更新日:
カテゴリ: エンタメ
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