リモートワーク・スタイル
ほぼ全社員が在宅ワークのポップインサイトが培ったリモートでの働き方のコツやノウハウ、事例を紹介!
リモートワークで働くコツ

リモートワークでも「誤解・不信感」を生じさせないコミュニケーション術(10のテクニック)

昨今のコロナウイルス騒動などにより、リモートワーク・テレワークを検討・導入する企業が増えています。

リモートワーク導入には、IT環境・セキュリティ・制度などの様々なハードルがありますが、最も大きいのは「コミュニケーションが適切に取れるか」という不安です。

以下は、リモートワークをしたことない人/したことがある人にそれぞれについて、リモートワークへの課題を聞いたアンケート結果ですが、特にリモートワーク経験者の一番の課題が「コミュニケーションの課題が起きやすい」でした。

▼2020年2月16日に実施したリモートワークの課題に関するアンケート

私が経営しているポップインサイトはここ4年ほど、社員の9割以上がフルリモートワークで働いています(フルリモートはエンジニアのイメージが多いですが、エンジニアは社員約50名のうちわずか数名)。

またポップインサイト以外にも、1万人規模のクラウドソーシングサービスを0から立ち上げ&運用していた経験があります。

数千人単位でリモートベースで仕事をしてきましたが、この経験から思っているのは
・リモートワークにおけるコミュニケーション術はリテラシー・スキルであり、鍛えるべきもの
・にも関わらず、多くの人はリモートワークの経験値が非常に少ない(ほぼない)
・ゆえにコミュニケーションのバグが起きやすい

ということです。

コミュニケーションバグとは、発信者側の内容が正しくその通りに受信者側に伝わらない状態のことで、夫婦喧嘩なんかもまさしくバグです。

対面でのコミュニケーションでさえバグが発生するので、慣れないリモートでのやりとり、つまり主にチャットとテレビ電話でのやりとりとなればバグが発生しやすいのはなおのこと。ただ、いくつかのポイントについて気をつけさえすれば、どの企業もリモートワークを導入できる可能性があると信じています。

このような課題意識から、リモートワークにおけるコミュニケーション術をまとめていこうと以前から思っていましたが、まさに直近でリモートワークを必要とする人が大勢いると感じたので基本的なマインドセット・テクニック・ツールを公開します

マインドセット1:リモートワークでは「気づいて・察して」という期待を持たない

まず、リモートワークで最も重要なマインドセットは「自分が発信しない限り、誰も自分の状況に気づいてくれない」ということです。

日本のコミュニケーションスタイルはよく「ハイコンテキスト」「察しあいの文化」などと言われます。育ってきた背景・文化が基本的に似ており、相手が発言する前に気持ちを理解し、対応していくのを良しとするスタイルです。

ところがリモートワークにおいては、このスタイルは通用しません。初めての仕事で「やり方が分からずに戸惑っている」としても、何も発信がなければ、仕事をお願いした側には「順調に進んでいる」のか「考えながら進めている」としか思わないのです。。

そして残念ながら予定通りに仕事が終わらないと、依頼した側からすると「なんで相談しなかったの」となり、一方で仕事を依頼された側からすると「なんで助けてくれなかった」「説明が足りない」となり、結果、お互いに不信感・ストレスが生まれる状況となってしまいます。

このような状況を防止するには、「自分から発信しないと、状況が誰にもわからない」という前提をチーム全員が理解するのが重要です。

その上で「わからない時にはすぐに発信する」「こまめに状況を共有・報告する」という習慣を当たり前のようにつけるのが仕事をスムーズに進める上で不可欠です。

→参考:「自分を表現」というポップインサイトの最重要行動指針

マインドセット2:信頼貯金を作るため、相手の立場にたって、こまめにレスポンスする

マインドセット1は「発信する側」の視点でしたが、その対となる「発信を受ける側」のスタンスも変える必要があります。

リモートワークだと、メールやチャットでのコミュニケーションが主となるが、起きやすいのは「発信後に反応がない」という状況です。

発信を受けた側としては「内容はわかった」という気持ちになっていても、そのレスポンスをしっかり返さないと、発信した側からしたら「見てもらえたのか」「見てもらった上で、納得してもらえたのか」が全く分からず、大いに不安になります。

「チャットを見て、納得したけど、レスポンスはしていない」という状態について、私はよく「会社で会った時に、挨拶されたのに、挨拶を返さないのは失礼ですよね。チャットに対してレスポンスしないのは、これと同じことですよ」と言っています。

リモートのコミュニケーションでは、会釈・挨拶などの手段が使えず相手の反応見えないので、発信を受けたら、必ず文章・スタンプ等でレスポンスを返すという意識が重要です。この意識を全員がもたないと、せっかく発信したのにレスされなかった、という残念なコミュニケーション体験が生まれてしまい、信頼関係が損なわれてしまうのです。

上記2つの最重要マインドセットを前提とした上で、ここからは具体的なコミュニケーションテクニックをお伝えします。

テクニック1:まず文章化する

リモートでのコミュニケーションは、チャットやメールを使った文章がメインとなります。電話やオンライン会議ももちろん併用すべきですが、これらは相手とこちらの時間を合わせる必要があり、電話・オンライン会議であっても内容は事前に文章で伝えておく方がスムーズ。

これまで何でも口頭で済ませていた人にとっては、リモートワークにおいてこの文章化に大きなハードルを感じると思いますが、ここは徹底的に慣れるしかないでしょう。

また、そもそも対面コミュニケーションであっても、相談事項を事前に文章整理しておくのはもはや基本マナーとも言えます。

何かを相談する時には、以下を明確にすると話がしやすいです。
・論点:相談事項や話したい内容
・背景:論点に対して答えるための必要最低限の情報
・主張:論点に対し、自分はどうしたいか、どう考えているか
・選択肢:主張以外の選択肢がある場合は、どんな選択肢があると思ったか
・根拠:主張がよい理由(選択肢がある中で主張を選んだ理由)はなにか

わかりやすい文章を書く方法はネットや書籍でいくらでも情報があると思います。最も重要なのは、安易に口頭コミュニケーションに逃げずまず文章化する、という習慣です。

テクニック2:画面録画ツールを活用する(動画も活用する)

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文章化することがリモートコミュニケーションの基本ではありますが、文章だけでの情報伝達には自ずと限界があります。画面を実際に見せたら5秒で分かることが、文章をダラダラ書いても全く伝わらないことも。

そんな時は、オンライン会議と合わせて、画面録画ツールを使って「動画で送る」というテクニックを覚えておくと非常に効率的です。

画面録画ツールを使い、画面を動かしながら、口頭での説明内容を録画すると、情報量も豊富でいろいろなことを伝えやすいです。

具体的な方法は、
・Debut等の画面録画ツール+YouTubeにアップロード
・Loom(Google Chromeエクステンションで、録画と同時にアップしてくれる)
のいずれかがおすすめです。

私の場合は、何度か説明が必要な内容だと思ったら全て録画しておき、2人目以降への説明にはその動画をいつでも送れるようにしているので、すでに何千本の動画が溜まっています。

→参考:動画マニュアルで細かなナレッジまでしっかり伝達!

テクニック3:チャットツールでは、自分専用チャンネルを作り、細かいことでも発信する

「自分の状況を発信する」のが極めて重要なマインドセットですが、「どこで発信すればいいのか」が分かりづらい時があります。そんな時に有効なのは、チャットツールにおいて、自分専用のチャンネル(ルーム)を作っておく方法。

ポップインサイトでは「池田チャンネル」「池田times」のようなチャンネルを入社直後に作り、何かあったらそこにつぶやくような運用スタイルをとっています。いわば、社内版Twitterのようなものです。

自分専用のチャンネルであることで、少なくともそのチャンネルの中では、誰かに遠慮して発信しづらいといった抵抗感が下がり、発信しやすくなります。

このチャンネルのおかげで、誰かにわざわざ相談するほどではないような思いつきも気軽に投稿ができ、それに対して他の人がアドバイスをしたりアイデアを出したりと自然と社内が活性化するようになりました。

→参考:自分のチャンネルを作りコミュニケーションを円滑化

テクニック4:アイコン・スタンプ機能は徹底活用する

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マインドセット2にあげた「こまめにレスポンス」をするための最重要ツールといえるのがアイコン・スタンプです。

Slack・ChatWork・hangout chat・ワークプレイスなど、標準的なビジネスチャットツールであれば、どのツールにもついている機能です。

アイコンを活用することで、文章を入力したり、そもそも文章にする必要がない反応(対面コミュニケーションにおける笑顔・頷きのような反応)をチャットベースで実現することができます。

また後述しますが、チャットでのコミュニケーションはどうしても冷たくなりがちなので、ビックリマークや絵文字も合わせて「テンション高め」のコミュニケーションを心がける方がよいです。

社風によっては、ビジネスにおいてアイコン・スタンプを使いづらいケースもあるかもしれません、「レスポンスをする」ための最重要ツールであるため、もし使いづらい空気があれば、トップダウンで活用促進すべきです。

テクニック5:ネガティブな指摘はチャットではしない

チャットでのコミュニケーションの難点は、口頭に比べるとどうしても「冷たい印象」が出がちなところです。

好意的なコミュニケーションであれば、アイコン・スタンプ・絵文字などを活用することでだいぶ緩和できますが、叱る・注意するなどのネガティブ内容を伝えざるを得ないシーンでは課題化しやすいです。

またチャットは、文字でずっとデータが残ってしまうため、後から見返した際に「思い出しネガティブ」になりやすかったり、キャプチャを取られて他の人に流出してしまう懸念もあります。

そのため、ポップインサイトでは、ネガティブな指摘をする際は、チャットではなく電話・オンライン会議を使うことをルールとしています。

口頭コミュニケーションであっても、叱る時には呼び出して個別に指摘するのが鉄則ですが、それと同じようにリモートコミュニケーションにおいてはチャットではなく電話・オンライン会議を使うのが気持ちよくメンバー(社員)が働くために重要です。

テクニック6:オンライン会議は「1:多」ではなく、「1:1:1…」でやる

リモートワークにおいてリアルタイムに議論をする時に使うのがオンライン会議。Zoom、hang out、スカイプなどが一般的でしょう。

オンライン会議においてよく課題になるのは、「リアル会議室の参加者」と「リモートの参加者」の温度差が生まれやすいこと。例えば4人が会社の会議室におり、1人がリモートで接続していると、どうしてもリアル会議室にいる4人だけで議論が進みやすく、リモート参加者は議論に参加しづらいです。

このような状況を防ぐには、「1:多」の状況を避け、「1:1:1…」という状況にする工夫が必要です。先ほどの例であれば、会社にいる4人は、あえて会議室に集まるのではなく、自分の席でそれぞれ繋ぐようにします。こうすると、物理的には会社に4人・リモートで1人だとしても、会議の場においては全員がフラットな接続環境になります。

会社が大きな場合などは、そもそも会議室への移動時間が無駄にかかるケースもあり、このテクニックを使うことで、リモート側も会社側も両方にとってメリットがあります。

テクニック7:オンライン会議では、ミュート機能をこまめに使う

オンライン会議を行うと、人にとっては喫茶店など背景音・環境音がうるさい状況から接続せざるを得ず、そのノイズが会議の集中力を下げてしまうケースがあります。

このようなケースでは、できる限りミュート機能(消音機能)をこまめに活用すると良いでしょう。

自分が発言している時だけミュートを解除し、それ以外の時にはミュートしておくことで、参加者のストレスが大幅に軽減します。

一方で、ずっとミュートにしてしまうと、相手に反応が伝わりづらいというデメリットがあります。そのため、反応をちゃんと伝えたいシーンではミュートを解除するなど、相手にどう伝わってるかを想像しながら活用する工夫は求められます。

また、ミュートしながら話してしまい最初の5~10秒が相手に伝わらないというちょっとしたミスも頻発するので、常に「ミュート状態はどうか」を意識するよう癖づけたいところです。

テクニック8:オンライン会議では、表情を豊かに

先のミュート機能とも関連するが、4人以上のオンライン会議になると、どうしても「話してない人」の状況が分かりづらいです。

そのため参加者は、ミュートにしていたとしても、笑う・頷く・前かがみになるなど、感情を伝える動作は活用しましょう。

相手から自分がどう見えているかを意識し、「ちゃんと聞いている」「ちゃんと考えている」ことを表情でも伝える努力をすることが大事です。

また人数が多い時には、「発表の区切り目にみんなで拍手をする」などの演出を入れるのも有効です。

テクニック9:オンライン会議では画面共有機能も重要

オンライン会議で参加者全員が「同じ画面」を見ながら議論するための機能として、画面共有機能がどのツールにも備わっています。

会議室でプロジェクタを使うのと同感覚で、画面共有機能は徹底活用をおすすめします。

画面共有機能は、単に資料を映すだけでなく、
・議事録をリアルタイムに移す
・参照すべきWebサイト・映像などをその場で検索する
などにも活用できます。

議論をファシリテートする立場の人は、うまく画面共有機能を使って参加者の集中をコントロールすることが重要です。

テクニック10:オンラインでのディスカッション時には、会議室を分割する

オンライン会議で議論をしようとすると、最大でも6人程度が限度と思われます。それ以上になると、話す人と黙って聞く人の差が大きくなるためです。(これはリモートに限らず、リアルな会議でも同様だと思いますが)

ディスカッションを盛り上げるためには、議論時間にはできるだけ少数のグループに割り、参加者が黙る時間が減るように工夫できると良いです。

Zoomのブレークアウトセッション機能などを用いると、その場ですぐに5チームに部屋を分ける等がすぐにできるため、非常に便利です。ポップインサイトの毎週の全体朝会でも、最初に6人1チーム程度で30分の議論をするために、この機能を用いています。

リモートワークでよく使っているツール&道具一覧

・チャット:Slack(https://slack.com/
アイコンがカスタムできたり、スレッド機能で議論を集約しやすかったり、ステータス表示がわかりやすかったり、様々なビジネスチャットツールの中でも定番&使いやすい。

・オンライン会議:Zoom(https://zoom.us/)
hangoutやSkypeと比べても動作が軽く快適。また参加者を小グループに割る機能(ブレークアウトセッション)、会議の様子を簡単に録画できるなど、機能的にも使いやすい。

・オンライン会議をしやすく:airpodsなどのワイヤレスイヤホン
スマホでオンライン会議に参加する際には、ハンズフリーで会話ができたり、会話しながらスマホ操作ができるので必須アイテム。使えないとスマホでの会議効率が激減するため、予備で2台持ち歩くとよい。

・オンライン会議へのオンライン同行に:blue tooth対応のスピーカーフォン
誰かが訪問し、オンラインで同行する場合には、スピーカーフォンがあると話が聞き取りやすい&話を伝えやすくて便利。blue tooth対応なら、PC接続だけでなく、スマホの音声通話でもいけるので、ネット環境が悪い時にも安心。

・画面録画:Loom(https://www.loom.com/
画面の操作&マイク音声を録画し、そのままオンライン公開できるツール。Chrome extentionで入れておくとめちゃくちゃ便利。日本語版はまだない。

・文書作成:Googleドキュメント・スプレッドシート(https://www.google.com/intl/ja_jp/docs/a
共同編集機能で、複数人で同時編集ができるのが便利。コメント機能も便利。また権限設定も細かくできたり、バージョン管理(過去のバージョンへの復元)もできるなど、セキュリティ的にも安全。

・予定管理:Googleカレンダー(https://calendar.google.com/calendar/r

・ファイル共有:Google Drive(https://www.google.com/intl/ja_ALL/drive/

まとめ

・リモートワークを広げる最大のハードルはコミュニケーションの難しさ
・リモートにおけるコミュニケーション課題を起こさないためには、「まず自分が発信する」「相手の発信にはちゃんとレスポンスする」というマインドセットを持つ必要がある
・そのマインドセットの上で、チャット・動画などの表現手法・オンライン会議のマナーなどのテクニックを身につけるべき

お伝えしたことをしっかりと実践し、リモートワークが社内で浸透すれば通勤時間分をインプットに投資できたり、人材採用の幅が広がったりと、今まで以上にビジネスが加速するでしょう。

「リモートワーク」と聞くとすごく難しそうに聞こえますが、それぞれが互いに心配りをして信頼関係を築き、ツールなどの環境面を整備していけば、ほとんどの企業で実践できると信じています。

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