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ブログで学ぶUX

サイト改善事例・自分ごと化で資料請求数10倍に(保険代理店のケース)

2016年2月にパートナー会社様向けに開催された「ユーザテスト活用勉強会」に、株式会社ポップインサイト代表池田が登壇。

ユーザテストを活用した成果の創出方法について講演いたしました。本記事は講演内容を書き起こしたものです。

今3記事目を読んでいます。2記事目はこちら、1記事目はこちらをご参照ください。

ユーザテストでわかる課題 低意欲

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低意欲でウェブサイトみているケースは意外に多い

続いて、ユーザテストをやってよくあるパターンとしては、例えば最近だったらDSPを使ったりとか、リスティング広告以外の幅広い集客をして集めてくるようなサイトの場合、商品が良くても、意欲が高くない状態でサイトに接するという場合が結構あります。

サイトには来ているもののそんなに意欲が高くないので、しっかり情報を見ようとも思わないし、そもそも検討している状況じゃない。

よくウェブサイトとテレビの特性の違いとして、ウェブサイトは前のめりメディアと言われています。見たいから見るんだと。一方、テレビはあまり考えずに自発的じゃなくて自動的に見ているというような違いが指摘されるんですが、ウェブサイトは前のめりメディアであるとはいえ、モチベーションが上がっていて見ている状況となんとなく見ている状況では、やっぱり全然刺さり方が違います。

低意欲に対する打ち手 自分ごと化

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こういったケースで打ち手を考えるひとつの切り口として、モチベーションが上がっていないのは、大抵自分ごと化されていないからという方向性から考えることができます。

自分に関係があるとか、自分にとってメリットがあるとか、嬉しいと思うものがちゃんと訴求されていない場合があるので、そういったときには「あなたにすごく関係がありますよ」ということをいかに早く伝えるかということがとても重要と思います。

資料請求数を10倍にした、保険代理店の事例

ここからは、ある自動車保険の代理店のウェブサイトを改善したときに実施したことをご紹介します。

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この保険代理店のメリットは、団体扱い保険といって、団体でまとめて入るので保険料が安いということでした。

扱っている保険は東京海上とか、三井住友とか大手の保険なんですが、ネット保険と同じぐらい安い。それでいて保障内容は同等レベルのものなので料金的なメリットがありました。

「30%引き」という表現ではメリットが伝わっていなかった

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ただ、ウェブサイト上でその料金の表記を「団体扱いなので30%引き」みたいな感じで記載されていたんです。実際にユーザテストを実施して、30%引きと書いてあるそのページを見てもらったときに、結構大きい金額だと思うんですが、それがどれぐらい大きいかというのが伝わっていませんでした。

「30%引きといってもそれって本当に安いのかな」「それってどれぐらい自分にとって効果があるのかな」というのがあまり伝わっていないような感じがあったので、現状のページとは別に改善案を作ってみました。ユーザテストに来る(※この調査はリモートではなく、対面で実施)モニターの方がどういう車を所有されているのかはわかっているので、そのモニターの方の車のパターンの事例を作っておいて、そのパターンだったら通常50,000円ぐらいのものが35,000円ぐらいになるよというふうに実際の金額例を記載したんです。

そうすると、30%引きと言ってることは同じなんですが全然刺さり方が違って、ドンピシャの車の実例を出したのでそれは気持ちは高まるかなって話はあるのですが、やはり抽象的に言っているよりも、自分に近い事例があるほうがとても刺さりがよくて、「これ自分の車に近いね」と、ちょっと見てみようかなともちろんなるわけです。

“あなた”にとってメリットがあると感じてもらう

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そうすると気持ちは前のめりになっているので、その次の詳細ページもどんどん見てくれました。この入り口の気持ちを高めるという部分なしに、なんとなくページを並べていても、上からさっとみるだけであんまり関心をもたれない。ユーザーに最初に自分ごと化させるような入り口を作り、あなたにとってすごいメリットがあると思わせることがとても重要です。

ユーザテストのときには、どんなモニターさんが来るかってことがもともとわかっていたので、その人に合わせてドンピシャの事例を作ったのですが、実際にサイトに反映する際にはそんなに車種パターンを作れなかったので、加入者の中から多かった車のパターンから一番中央値にある金額を3パターン出し、その車種と金額のパターンにおける具体的な事例を掲載することにしました。完璧にドンピシャじゃなくても多くの人にとって刺さる事例があるという感じですね。

資料請求数は10倍に

この形やパターンを用意したことによって、全員ではなくても6-7割ぐらいは自分に近いなと思ってもらえるような形にすることによって、もちろん他にも施策はやっているんですが、資料請求数は約10倍になりました。もともとはweb経由の問い合わせはすごい少なかったんですけど、最終的にウェブ経由の問い合わせの方が電話や他社を超えるという成果がでました。

こういった意欲を高めきってなさそうだな、多分関心がないときに見ているんだろうなという感じを感じたら、チャンスでして、まずはいかに自分ごとさせるかという発想で、具体的なパターンを作ってあげるとか、もうちょっと入り口を即した感じにしてあげるというのが打ち手として使えるかなと思います。

第4回に続きます!お楽しみに!

投稿日: 2016/12/01 更新日:
カテゴリ: ユーザーテスト、ユーザビリティテスト