1行追加でコンバージョン率19%アップ!旅行代理店のユーザテスト事例
2016年2月にパートナー会社様向けに開催された「ユーザテスト活用勉強会」に、株式会社ポップインサイト代表池田が登壇。
ユーザテストを活用した成果の創出方法について講演いたしました。本記事は講演内容を書き起こしたものです。
今4記事目を読んでいます。
3記事目はこちら、2記事目はこちら、1記事目はこちらをご参照ください。
ユーザテストでわかる課題 疑問不安
ポップインサイト池田 次に、一番よく出るのがこのパターンでして、いろんなサイトをみている中において、「これってなんだろう」とか「これってよくわからないな」という疑問や不安がユーザテストをやることでわかります。
サイトを使いながらブツブツしゃべってもらうので、いつ、何で疑問や不安を感じているのかがすごくわかるわけです。
いろんな疑問や不安が出て来たら改善チャンス。これを把握できるとすごく成果につながります。
打ち手 その場Q&A
実は、疑問がたくさん発生した場合に多くのサイトは、そういう疑問があるだろうなというのはわかっているんです。
アンケートや営業の方が話を聞いくなかで、サイト全般における”Q”はわかってるので、サイト内には、よくあるご質問やQ&Aのコーナーはあることが多いです。
ただページを見ているときに、この瞬間にこういう風に思うというようなタイミングがわかっていなくて、よくある質問の中にその情報があっても、ふと疑問を感じたときにわざわざ探すかっていうとあんまり探さないことが多いんです。
そのときに有効なのが疑問が発生するところでQ&Aや情報を出すという方法。こちらの方法を推奨したいと思います。
料金の疑問をその場で解決 比較サイトの事例
一例として、これは某比較サービスで実施した改善案をご紹介します。この比較サービスの場合はプロバイダーの領域をやっていまして、プロバイダーを比較サイトで比較してもらって、そのサイトを経由して申し込みがあるとアフェリエイトのようなかたちで報酬が入るというようなものでした。
ユーザが一番気になる料金がわかりにくかった
その比較サイトのユーザテストをやったときに、プロバイダーって結構難しいのでいろんな疑問があるんですけど、中でも多かったのが料金に関する疑問でした。プロバイダーの比較表の一覧にいくと当然一番気になるのは料金ですよね。その料金がすごいわかりにくかったんです。普通に考えたら月額料金なんですけど、実質料金って書いてあるんですよ。
1円、100円、そしてこの中に2,159円と普通の料金もあって、まずこの1円の意味が普通に見ただけでは分かりませんよね。
つまりどういうことかと言うと、キャンペーンなどを適用して最初の1年間は月額3,000円からで、キャッシュバックを加味すると実質1円と同等ですよという意味なんです。
もちろんそれでも分かりにくいことは承知の上で、「?」マークのリンクがあったり、下の方に行くと「Q」と書いてはありました。
ユーザの「なぜ?」をその場で解決してあげる
ただ、ユーザがこの時に一番感じている疑問は、「なぜ1円なんだろう」ということです。もちろん探してみれば情報は見つかりますが、探さずに終わってしまう人も多い。
そこで、これはレイアウト的には会社のロゴがあって申し込みのボタンがあるような形の表組みだったのですが、この表の一番上に「なんで安いの?」とテキスト一行でハイパーリンクを入れて、クリックしたらそのQ&Aのページに飛ぶようにしました。
Q&Aは元々あるページですし、見ると色々書いてあるんですけれども、一番見ているその時に、その場で出す、というのがすごく大事だと思います。そうすると、ユーザは結構そのページにいくんですよ。理由をちゃんと伝えるのは、チャンスでもあるということですね。
情報は記載されていても、会話になっていないケースが多い
多くのウェブサイトでは、不安に対する回答というのは情報としてはあるんですけれども、会話になっていないケースが多いです。
会話になっていないというのは、聞きたくない時に書いてあるんですよね。
このサイトの場合であれば、このサイトを経由して申し込むとまずこのサイトに報酬が払われます、そしてその報酬の一部をキャッシュバックするので安いですよ、というようなことです。
そういう情報がサイトにしっかりと書いてあってもあまり見られないんですが、1円と書かれているのを見て「なんでこんなに安いの?」と疑問を感じて、その回答として理由が来るとすごく伝わるんです。
会話と一緒で、質問に対して回答している分にはすごく聞いているのに、一方的にこちら側から言っても全然伝わらないことってあると思うんですが、ウェブでも同じだと思います。
このQで一回受けるというのはすごく重要で、そうすると初めてコミュニケーションになります。あとはそこの場所ですよね、どのタイミングでどういうQが出るのかというところをちゃんと理解して、そこに即してコミュニケーションをとると成果が出るということです。
1行追加しただけでCVR19%アップ!イギリスの旅行代理店の事例
似たような例で、海外のウェブコンサルティングの会社の事例なのですが、sunshine.co.ukというイギリスの旅行代理店のケースです。
じゃらんのようなサイトで、安さを中心に謳っていてそれが強みになっているんですが、この安いというメリットが逆に伝わっていないということがありました。
提供側の当たり前がユーザの当たり前ではない
この画面キャプチャは商品が並んでいるところで、値段がこんな風に書いてあります。下の部分は少し読みづらいんですが、この部分のテキストは元々なくて、値段が入っているだけでした。
これを海外ユーザ向けにテストをして話を聞いていったら、「この金額ってすごく安いけど飛行機代は入ってるの?」「宿だけなんじゃないの?」という風に、とても安いがゆえにどこまで含まれているか伝わっていなかった、ということが分かりました。
なるほど、サービス提供側からしたら「含んでいるのはもちろんで、それでこの金額なんですよ」というのが訴求しているところなんですが、ユーザーからしてみれば、その安さゆえに伝わっていなかったということなんです。
改善後は、値段の下に「per person including flights」、フライト込みですということをテキストで入れました。改修は一行追加するだけなので簡単です。これだけでコンバージョン率が19%アップです。すごいことですよね。
参考:Conversion Rate Optimization
要するに、料金を見た時に「これって何なんだろう?」とユーザーが疑問を持つと想定されるので、詳細ページや色んな箇所に回答は書いてはあったがすぐには分からなかった、それをパッと見た時に分かるようにしたら成果が上がったということです。
特に動画のユーザテストの場合はまさに疑問に思ったタイミングで発話しているので、このタイミングでこういう風に思っているんだということをキャッチできます。
しかも、それがその疑問を解消しなければコンバージョンは難しそうだというものが見つかると、大きなチャンス。その場でなるべく解消してあげることによって大きな成果が出ます。
5記事目に続きます!お楽しみに!