「Webサイトの全面リニューアル」はオススメできない9つの理由


全面リニューアルが失敗する9つの理由

Webマーケティングで成果を出す手段として「もうWebサイトを全面リニューアルしよう」と考える企業は非常に多いと思います。 確かに全面リニューアルを行うと、構造やデザインを抜本的に変えることができますし、社内ロジックとして「3年に1度のお祭り」として予算を捻出しやすいケースは多いでしょう。 クックパッドさんのトップページリニューアルのように、「明確な狙い」と「リリース後の効果測定体制」があれば、有効なケースも多いと思います。 しかし、安易な全面リニューアルは、そこに投下したリソースに必ずしも見合わないリターンしか産まないばかりか、むしろ成果を大きく落とす危険が大きいです。 そのため、個人的には「全面リニューアル」ではなく、「省エネ部分改修」を何度も繰り返すアプローチを推奨します。

アメリカのユーザビリティ伝道師による「全面リニューアルをすべきでない9つの理由」

Webユーザビリティの名著「ウェブユーザビリティの法則(Don’t make me think)」の著者スティーブ・クルーグは、多くの人が陥りがちな「細かな問題を拡大解釈し、大規模な打ち手やリニューアルに飛びつきたがる」傾向に警鐘を鳴らしてます。 同氏は第二作の「Rocket Surgery Made Easy」の中で、「全面リニューアル」に代表される大規模な打ち手が、「部分改修」に劣る理由として、以下の9つをあげています(一部超訳)。

  1. コストが大きい
  2. 業務が増える
  3. 直すのに時間がかかる
  4. 「良かった点」が台無しになる
  5. 一度に多くの要素を変えてしまい、何が良いかが分からない
  6. 多くの人を巻き込む必要がある
  7. あまり変えたくない人たちを敵に回してしまう
  8. 頓挫のリスクが高い
  9. 途中で間違った道に進みやすい

「全面リニューアル」が非常にハイリスクな打ち手であることがよく分かります。  

「完璧な解決」よりも「素早い改善」

同じ本の中で、「完璧な解決」を求めるよりも「手軽な素早い改善」を行った方がよい、という指摘をしています。 例えば、あるサイトで「カテゴリAが見つけにくい」という課題が分かった場合に、これに対する抜本的な解決方法を考えようとすると、 ・そもそもカテゴライズが悪いのでは ・ナビゲーションの配置を再検討すべきでは ・ナビゲーションの見た目やデザインも変えるべきでは ・下位階層の構造も見直すべきでは と、検討事項が多くなり、億劫で、アクションに繋げにくくなります。 それよりも、例えば「カテゴリAへのリンクをカテゴリBのページ内にも追加する」等のように、根本的な解決でなくても、すぐにできて「多少はマシになる改善」の方が、現実的にアクションにつながりやすく費用対効果が高いという教えです。  

「ラクに直せる」と運用しやすい

私自身も、複数のWebビジネスの立ち上げを行ったり、自分自身でサイトを幾つも運用している経験から、実際の改善アクションを継続的に行い続けるには「ラクな施策」に落とし込めるかが重要と痛感しています。 ラクな施策とは、具体的には、

  • 文言を変えるだけ
  • 画像を変えるだけ
  • リンクリストに追加するだけ

といったように、影響範囲が少ない打ち手のことです。 この考え方は、OptimizelyやplanBCD等のABテストツールを活用する際にも大いに有用です。 これらのツールは、システム変更を行なわず改善できることが売りですが、ツールの制約もある中で大きな変更を行うと大変です。 「ラクに直せる施策」に落とし込めることで、これらのツールの価値を最大限に活用できます。 課題に対して「簡単で効果的な改善案は何か」を考える癖をつけると、ディレクション能力は格段に向上するでしょう。  

デザインを一切変えなくても「問合せ数10倍」は実現できる

例1: 保険代理店サイト、デザイン一切変えずに問合せ10倍

最近関わったある保険代理店のサイト改善プロジェクトでは、サイト構造やデザインを一切変えず、必要なコンテンツや素材を追加することで問合数10倍を実現できました。 このプロジェクトでは、ユーザ行動観察に基づいた課題洗い出しと、その改善策としてコンテンツをかなり作りこんだこともあり「部分改修」とは言えませんが、成果を上げるために「全面リニューアル」が必ずしも必要でないことはお分かり頂けるかと思います。

裏事情を話すと、この保険代理店サイトは10年前に作られたもので、トップページに「訪問カウンタ」が表示されるような昔ながらのサイトでした。 さすがにデザインも少しは変えたいと思ったのですが、制作会社があまりWebが得意ではなく大人の事情で別会社を使うことも難しかったため、断念したという背景はあります…

例2: Chintaiの細かなABテスト

また、つい先日、KAIZEN Platformさんのブログでも、不動産のChintai社が「細かな改善」で、CVRを最大1.2倍にしたという事例も公開されておりました。

例3:企業向けの賃貸オフィスサイト

こちらも先日、ガイアックスさんのブログで紹介されていたBtoB向けの不動産仲介会社でウェブ経由の問い合わせを3倍以上という事例ですが、大規模なリニューアルではなく、ユーザ視点で課題を特定した上で「省エネ対応」をされているものと言えるでしょう。  

「成果のツボ」を突けるWebマーケターに

伝えたいことを改めて整理します。

  • 全面リニューアルは、ハイコスト・ハイリスクな選択肢
  • それよりも、部分的に、ラクに直せる範囲で行う「省エネ部分改修」がオススメ
  • ツボをつけば、省エネ改修でも大きな成果が出せる

  「成果のツボ」に気づくためには、ユーザテスト等によりユーザ心理を把握した上で、「コミュニケーションのミス」を見つけることが最も手っ取り早く効果的です。様々な業界・業種での事例もご紹介可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。  

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池田 朋弘

池田 朋弘

株式会社ポップインサイト代表取締役CEO。株式会社ビービットで、ユーザテスト・ユーザ行動観察を軸にしたコンサルティングで、売上1.5倍・問合せ10倍等の実績を出す。二児の父。「ユーザ視点をもっと間近に」をミッションに日々奮闘中。


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