Googleアナリティクスでできること、できないこと~なぜ解析が改善に繋がらないか?
アクセス解析はWebマーケティングの必須ツールで、Googleアナリティクスを中心に有償・無償の様々なツールが出ています。
しかし、どの現場でも耳にする課題が「アクセス解析をしても改善に繋がらない」という声なのです。
なぜ、アクセス解析をしても改善に繋がらないのでしょうか?
目次
アクセス解析でわかるのは「どこを直すべきか」
アクセス解析を用いると、ユーザの行動データを非常に詳細に知ることができます。
特にGoogleアナリティクスの近年の進歩はめざましく、
- 高度なアドバンス・セグメント
- 行動パターン(どんな経路をたどっているかの分析)
- フォールアウト(特定経路のどこで離脱しているかの分析)
- マルチチャネル(複数回接触の把握)
- 性別・年齢・趣味などの属性付与
など、非常に多彩な機能が利用できます。
これらの機能を組み合わせると、「新規訪問ユーザの直帰率が高い」「フォームの2ページ目の離脱率が高い」など、どこを直すべきかを特定することは簡単です。(使い慣れない人は、これを見るのも大変ですが…)
しかし、これだけでは「どう直すべきか」と言い切れるものがなかなか見えてきません。
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「直帰率が高い」はわかったけど、どう改善すればいい?
アクセス解析でよくある分析は、「流入数」と「直帰率」を掛けあわせて、「流入数が多くて、直帰率が高いページ」を導出し、どこを集中改善すべきかを特定するというものです。
大体の場合、トップページや主要カテゴリページの流入数が高く、直帰率も高い結果という結果が得られるでしょう。ここまではアクセス解析で分かるのです。
しかしながら、「じゃあトップページやカテゴリページで何を直せばいいか?」を特定しようとした途端、手が止まってしまいます。
改善の鍵は、アクセス解析では得られない「心理データ」
なぜ、「何を直せばよいか」の段階で止まってしまうのか。それは、アクセス解析には「行動データ」があるだけで「心理データ」がないからです。
マーケティングの第一人者である米国の経済学者フィリップ・コトラーは、マーケティングデータには「ビヘイビア(行動)」と「アティテュード(態度・気持ち)」の2種類があり、これらの両方を把握することが不可欠であると説いています。
アクセス解析はビヘイビア・データ(行動データ)の宝庫と言えますが、アティテュード・データ(心理データ)はほとんど含まれません(強いて言えばロングテールの検索キーワード程度)。
つまり、アクセス解析だけではマーケティングデータとして「片手落ち」の状態であるため、改善にまで踏み込めないのです。
ユーザテストなら「ユーザ心理」まで把握できる
この心理データを取得する最も効果的な方法の1つがユーザテストです。
ユーザテストって何?という方は、「ユーザビリティテストはなぜ重要か」の記事をご参照ください。
ユーザテストは、一般的には「ユーザインターフェース(UI)の課題」を見つける手法と思われています。
しかし、ユーザテストの本当の価値は、UI課題の背景にある「ユーザ心理」まで分かることにあります。
「ユーザテストの発見点」として一般的にイメージされるのは、
- ボタンが押しにくい
- 導線に気づきにくい
- 言葉が理解できない
といった、サイトの使い勝手や課題だと思います。
しかしユーザテストの本来の価値は、そこから一歩踏み込み、「なぜボタンが押しにくいのか困るのか?」「導線に気づかないと、どうなるのか?」を考え、その裏にあるユーザ心理やニーズを把握することです。
- 競合と比べた料金差が知りたいが、「見積り」ボタンが押しにくい
- 申込期限に間に合うかを知りたいが、Q&Aコンテンツへの導線がわかりづらい
- サービス仕様を正確に把握したいが、用語が難しくて意味が分からない
このように記述することで、ユーザテストの発見点を単なるUI課題でなく、「コミュニケーションの課題」として捉え直すことができます。
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心理が分かれば、効果的な改善案が出せる
UI課題をコミュニケーション課題に捉え直すことができると、改善施策も打ちやすくなります。
- 単にボタンの大きさを変えるのではなく、料金差をアピールする(差がない場合は、別の優位性を同時に伝える)
- 導線を強化するだけでなく、対応の早さを訴求して申込期限に間に合うという安心感を醸成する
- 文言を直すだけでなく、図解などでサービス仕様を詳細に説明する
データアーティスト社の代表取締役の山本様は、「ユーザテストを行うとコミュニケーションレベルに踏み込んだ様々な仮説が得られ、CVR4倍などの大きな成果に繋がる」と評価されています。
アクセス解析で「どこを直すか」、ユーザテストで「どう直すか」を把握する
ユーザテストは、3~5人と少数のサンプル数で行われることが多く、定量的なデータとしては非常に弱いものです。
そのため、アクセス解析を使ってボリュームゾーン・直帰率などを把握した上で「どこを直すべきか」を把握し、ユーザテストで心理データを得ることで「どう直すべきか」を把握するのが非常に有効です。
前職のビービット時代でも、アクセス解析とユーザテスト結果の併用により、非常に高い確度での課題指摘&改善提案を行うことができていたと思っています。
アクセス解析とリモート・ユーザテストを併用しよう
さて、本記事の主張は「アクセス解析とユーザテストを併用すべき」というものですが、現実にはほとんどのケースでアクセス解析しか使われていません。
アクセス解析とユーザテストを交互に行う(併用する)方が、どう考えても効果的な運用が実現できるにも関わらず、ユーザテストが省かれてしまうのはなぜでしょうか?。
ある企業のUX担当者は、アクセス解析のみになっている理由について「アクセス解析レポートは10万円なのに、ユーザテストは数百万で、コストがあわなかった」という興味深い指摘をされています。
確かに従来式のユーザテストは、時間もコストもかかり、併用が難しいものでした。
しかし、リモート・ユーザテストであれば、アクセス解析と同程度(むしろ低価格)のコストで実施できるため、現実的にアクセス解析との併用が可能です。
「分析力や提案力を強みとしたい」「そのためにユーザテストを業務プロセスで使いたい」とお考えの担当者さま、ぜひご相談ください。
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