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導入事例

【事例】集英社の通販サイト「FLAG SHOP」、ユーザーテストを活用

集英社のファッション通販サイト「FLAG SHOP」(フラッグ ショップ)。

ファッションアイテムの販売にとどまらず、誌面のWebマガジンやブログコンテンツ、パーソナライズメールなど様々な形で情報も発信する同サービスは、会員数が2018年に100万人を突破し、女性を中心に人気を博しています。

本記事では、「FLAG SHOP」のUI改善におけるユーザーテストの活用とその成果についてご紹介いたします。

株式会社Project8 山口様(集英社「FLAG SHOP」開発チーム所属)

ユーザーテストについて ユーザーテストって何?という方は、「ユーザビリティテストはなぜ重要か」の記事で詳しく解説しています。   

 TOPページのナビゲーション改善に成功

早速ですが、今回のユーザーテストで得られた成果についてお聞かせください。

今回の目的は、「TOPページ」と「検索結果画面」の課題点の把握でした。A/Bテストだけではユーザーがどのように感じているか、どういった理由でクリックや離脱をしているかわかりません。ユーザーテストによって改善につながる課題や気づきを収集することでした。

その結果で、TOPページについては、ナビゲーション機能の改善ができました。

今回のユーザーテストでモニターからあがったコメントは、「TOPページを見ただけでは、自分が買いたい商品が見つからない気がした」というものでした。つまり、実際に商品を買う為の導線がわかりにくかったということです。そこで「コンテンツが多く打ち出されており、こちらのモニターの方にはECサイトである印象を受けられなかったのではないか。」と仮説を立てました。商品検索を行う箇所はナビゲーションメニューと検索窓部分ですので、ここから、販売商品へのナビゲーションをユーザーの目に留まりやすいように表示する、という改善方針が見えてきました。 「ナビゲーションをタップする」という、商品購入につながるアクションを増やすことを改善のポイントとされたのですね。

はい。トップページにおいて商品へのナビゲーションが気付きにくいという課題にフォーカスを当て、改善に着手しました。

とはいえ、大がかりな変更を加えたわけではありません。実際に行ったのは、「検索ナビゲーションに少し色を付ける」「ボタンの幅を狭くする」「虫メガネアイコンを黒から赤に変える」といった、ちょっとした変更です。A/Bテストの結果、ナビゲーションのタップ率が3%改善するという効果がでました。ナビゲーションの小さな改善で導線を少し良くすることができました。

ユーザビリティテストから得られるモニターの声

ありがとうございます。では、商品検索結果画面の改善についてはいかがでしょうか?

商品検索結果画面については、ユーザーテストをもとにしたA/Bテストを行った結果、ユーザ一人当たりの売上高(RPV)が6.33%UP、CVRが2.84%UP、直帰率が1.64%改善という大きな成果が出ました。

改善前は商品検索結果一覧の画面に、クリック率・CV率が高かった「ブランド名と金額」を表示していましたが、モニターからは「商品画像だけ見てもわからない」「情報が足りない」などの意見を頂きました。こうした意見を基に、情報として何を表示すべきかを検討しA/Bテストを重ね、商品名等の追加情報が必要との結論に至りました。その結果、一人当たりの売上高(RPV)が9.1%UP、CVRが5.89%UP、お気に入り登録率が4.39%改善することができました。

ユーザーテストは、アクセス解析だけでは見えてこない改善のヒントが得られる

ありがとうございます。では最後に、ポップインサイトのユーザーテストの価値についてどのようにお感じでしょうか?

今回のユーザーテストでは、モニター3名で実施した動画を3本提供していただきました。動画1本あたり20分、3本で合計60分の動画は見応えがあり、非常に多くの検討ポイントを作る事ができました。

ユーザビリティテストは年齢・性別・デバイス等の指定をした上で、モニター調査の指示を行います。今回は注文完了するまでのフローを調査範囲とし、ユーザーテストを実施しました。トップページと商品一覧画面に関する検討ポイントを集め、例に挙げられる小さな改善や、開発を必要とする案件を立項し、現在でもPDCAサイクルを回しています。

一部のモニターからは厳しい意見が上がる事もあります。すぐに改善が難しいが、実施が必要な事がわかっている点に対する指摘には、「やはりお客様も不便(不満)を感じていらっしゃる」と再確認にもつながりました。

そのような声から今後の改善の大きなヒントが生まれた経緯は印象的でした。「再検索」ボタンについて多くのモニターから「認識できない」という声が上がるなかで、あるモニタが「カラフルなボタンが近くにあるから視線が行って気付いた」と発言され、「再検索」ボタンがユーザーの目に留まるよう工夫する、という方向性を確認することができました。今後、この点を含めた改修も予定しています。

「ユーザーの声を直接聞く」という手法は、今後の改善につながるヒントを得ることに非常に大きく貢献していると思います。これは、アクセス解析などの定量的な効果測定だけでは決して把握できない重要なポイントです。今回調査は、「課題点の洗い出し」と「改善につながるヒント抽出」の両方を同時に適える取り組みであったと満足しており、実際にユーザーの声を直接聞くことの価値を再認識することができました。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

※ページ上の各種情報は2019年4月時点のものです。

投稿日: 2021/11/05 更新日: