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ブログで学ぶUX

第9回「生成AIを利用する際のユーザーモデル活用イメージ」

第8回では、施策やデザイン等を決定する段階でよく登場するABテストを実施する場面でのユーザーモデルの活用について考えて参りました。
第9回の今回は、生成AIを利用する際のユーザーモデルを活用するイメージについて考えてみましょう。

生成AIのブームが続いていますので使っている人は多いと思います。
確率的に単語から次の単語を予測しているだけですから、時に信頼性や正確性に欠けるといったネガティブな側面もあるようですので、ミッションクリティカルな度合いが高い事柄にはまだ何らかの形での人の関与は必要となると思いますが、使えそうな時にはあくまでも一つの技術として活用していけば良いと思います。

…ということで、今回はイメージしやすい活用の一つとして、「ユーザーモデルで得られた各クラスタの心理特性に応じたお薦めの提示」にChatGPTを使ってみましょう。
想定した場面は、「ある旅行代理店のマーケティング担当者が様々な旅行動機を持つ対象者に自社サイトでお薦めの観光スポットを提示しようとする場面」です。
この“旅行動機に対する考え方の違い”には「旅行に対する動機に基づくモデル」を使用します。

旅行に対する動機に基づく4つのモデル

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プロンプトは以下のように作成しました。
対象者には、今回は「気ままに楽しみたいのんびり派」(CLUS-3)と判定された対象者を想定してみます。

(プロンプト)
あなたは旅行代理店のマーケティング担当者です。
あなたが運営する旅行情報サイトにアクセスのあった対象者の旅行動機に基づいてお薦めの観光スポットを提示する仕組みを作ることを計画しています。対象者は、旅行に対して下記「…」のような動機をもっている人で、薦める観光スポットとしては東京から2時間程度で到着可能な場所に限定します。
「…」
対象者が当社のサイトから提示された観光スポットに興味をもってもらうためのコンテンツに使いたいので、インパクトのある見出しを20文字以内で作成した後、本文を300文字以内で作成をお願いします。

プロンプトの「…」にはユーザーモデルの各クラスタのプロファイルを挿入し、アンダーライン部分の条件を「東京から2時間程度」「東京都内」「大阪から2時間程度」に入れ替えて3通り指示(Chat GPT4o miniを無料で使用可能な範囲で使用)してみました。

[対象者のプロファイル]

(CLUS3) 【気ままに楽しみたいのんびり派】のんびり自然を楽しみながら色々なものを見て回ったり、現地の人の暮らしぶりにも少しは触れてみたいとは思いますが、あまりがっちり計画するよりは、気ままに過ごせるくらいの旅行がいいです。

東京から2時間程度でお薦めするなら…

「気ままに自然を満喫!」東京から2時間で、のんびりと自然を楽しみながら過ごせる場所がたくさんあります。例えば、日帰りで行ける秩父では、山々の美しい景色を眺めながら、温泉や地元の食材を楽しむことができます。特に秩父鉄道沿線の風情ある街並みをぶらりと散策するのもおすすめ。道中、地元の人々と自然な会話が生まれ、気ままな旅行の中で少しだけ現地の暮らしを感じることができます。また、茨城の袋田の滝では、大自然の中でリフレッシュしながら心穏やかな時間を過ごせます。決まった計画はなくても、自由な旅の楽しさを感じられるスポットです。

東京都内限定でお薦めするなら…

「気ままに東京散策」東京で自然を感じながら、気ままに過ごす旅なら、まずは新宿御苑がおすすめ。広大な庭園を散歩しながら四季折々の花や木々に癒され、静かなひとときを楽しめます。近くのカフェでゆったり休憩し、現地の人々と自然な会話を楽しむのも良いでしょう。さらに、代々木公園では、広がる緑の中でリラックスした時間を過ごしながら、軽い散策を楽しむことができます。表参道周辺では、地元のアートやショップをのんびり見て回り、東京の街並みに触れることができます。計画に縛られず、自由に楽しめるスポットが満載です。

大阪から2時間程度でお薦めするなら…

「気ままに楽しむ、自然と暮らし」大阪から2時間圏内で、自然を感じながら気ままに過ごせる場所をご紹介します。例えば、兵庫の有馬温泉は、温泉に浸かりながら自然の中でリラックスできるスポット。静かな町並みを散策し、地元の人々と触れ合いながら、穏やかなひとときを過ごせます。また、滋賀の長浜は、古い町並みと湖の景色が楽しめ、無理なく歩きながら地元の暮らしに触れることができます。計画に縛られず、気ままに過ごすことで、リフレッシュできるひとときをお楽しみください。

出来栄えはいかがですか?
ChatGPTへの指示は提示したプロンプトでの1回きりですから、もう少し“インパクトある見出し”になるような工夫もできたかもしれませんが、初稿としては結構いい感じに表現されているようです。
このくらいに表現できれば、「ユーザーモデルで得られた各クラスタの心理特性に応じて、ChatGPTで作り分けたお薦めスポットを、所属クラスタを判別した対象者それぞれに向けてそれぞれの内容で提示する」…のようなことを想定したメッセージのアイデア出しには困らなそうですね。

但し、活用にあたっては、少なくとも下記については充分に検討しておく必要はあるでしょう。

ChatGPT(生成AI)に、どのように作り分けるのかの意図や対象者の心理特性の違いを正しく指示できること。

⇒ ChatGPT(生成AI)に「意図」はありません。
指示する人が、意味のある意図を効率的・効果的に伝えて正しく生成してもらう必要があります。

生成されたどの内容のコンテンツをどのような心理特性をもつ対象者に提示するのかを個別に予測できること。

⇒ ChatGPT(生成AI)は生成したものを誰に提示するかは「判断」できません。
生成したコンテンツを誰に提示すれば良いかは指示した人が決めてあげる必要があります。

仕組みにするとすればこんなイメージでしょうか。

ユーザーモデルと生成AIを組み合わせて個別のコンテンツを提示するイメージ

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さらにいえば、プロンプトとして投入するプロファイルに、言語情報だけでなく判別設問から同時に予測される因子得点を利用したり、判別設問を提示して反応を得るインタラクション部そのものへの生成AI活用も考えられそうです。

生成AIはこれからももっと進化していくでしょう。
但し、例えば今回のように従来相応の手間や時間がかかっていたアイデア出しの相手には現段階でも充分なれそうですが、アイデアが手軽に潤沢に得られるからこそ、「意図」を明確にして、どんな心理特性を持った人にどんなコンテンツを提示するのかを「判断」できることそのものが競争の源泉になってくるのは言うまでもありません。

次回からは、様々なユーザーモデルをより具体的にイメージして頂くために、既にある13のスタンダードモデルの中からいくつかのモデルを紹介して参ります。

13のスタンダードモデルのイメージ

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まず次回(第10回)は、「健康に対する考え方」モデルと「受療意識」モデルからご紹介して参りましょう。

著者

小澤 一志

ユーザーモデリングラボ 代表

富士ゼロックス株式会社研究技術開発本部シニアリサーチャー、慶応義塾大学SFC研究所を経て、2019年ユーザーモデリングラボを開業、日本感性工学会会員。
様々な分野を対象に、ユーザーモデリングやユーザーモデルを活用したコンサルティング、UX(User eXperience)リサーチやUX改善コンサルティングに従事。

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カテゴリ: UX/UIデザイン
タグ: ユーザーモデル