ユーザビリティテストの基本 ー プロセスや目的・特徴を解説

数あるUXリサーチ手法の中でも最初に始めやすい「ユーザビリティテスト」。本記事では、ポップインサイトが作成した『ユーザビリティテストの基本「設計・実査・分析まで」と「実際の進め方や注意点」』資料と解説動画の一部をご紹介します。
資料や解説動画では、ユーザビリティテストの各プロセスについてわかりやすく説明しているので、興味がある方やユーザビリティテストを業務に取り入れたい方はぜひご覧ください。
【無料ダウンロード】ユーザビリティテストの基本
数あるUXリサーチ手法の中でも最初に始めやすい「ユーザビリティテスト」の「基本的な設計・実査・分析の流れ」と「実施の進め方や注意点」を解説します。
ユーザビリティテストとは?
ユーザビリティテストとは、ユーザビリティやUXの統計的な測定・分析が目的ではなく、具体的にどこに課題があるのか、なぜ課題が発生したのかを明らかにすることが目的の評価手法です。
また、ユーザビリティテストは「ユーザーテスト」に含まれる評価手法のひとつでもあります。
ユーザーテストは、大きく分けて「コンセプトテスト」と「ユーザビリティテスト」の2種類がありますが、今回は「ユーザビリティテスト」について解説します。
ユーザビリティテストとは?基礎知識や評価項目・やり方を解説
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人間中心設計プロセスとの関係性

特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)を参照
ユーザビリティテストを含む「ユーザーテスト」とは、人間中心設計(HCD)というプロセスの中の検証フェーズで行われる調査のことです。
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「人間中心設計(HCD)」「人間中心デザイン」という言葉を目にすることが近年増えています。しかし、実際にはどういうことをするのかイメージできない、という方も多...
「人間中心設計」という単語に聞き慣れない方もいるかと思いますが、これは「製品やサービスの開発に置いて、実際の利用者の要求を満たすことを優先して設計しましょう」というフレームワークのことを指します。人間中心設計は、英語だとHuman Centered Designといわれ、頭文字をとってHCDプロセスといわれます。
<人間中心設計(HCD)プロセス>
- 利用状況の把握と明示:
- ユーザーの要求事項の明示:
- ユーザーの要求事項を満たす設計による解決案の作成:
- 要求事項に対する設計の評価:
さまざまな調査やインタビューにより、ユーザーの行動とその背景や要因を理解する
ユーザーの利用状況を体系的に整理し、そのうえでどのような要件を満たすべきか明らかにする
フェーズ2で定義された要件に基づいて、最適な解決策を生み出す。解決策としてプロトタイプ、試作品を作ることも多い
フェーズ3で生み出されたプロトタイプが要求事項を満たしているのか評価する
ユーザーテストを人間中心設計(HCD)のプロセスに沿って説明すると、フェーズ4にあたります。
要求を満たしていれば実装に移すことができ、満たしていなければ、その程度に応じてフェーズ2やフェーズ3からやり直すこともあります。
このように、ユーザーテストは人間中心設計(HCD)プロセスの「ユーザー体験の評価」を担う重要な要素です。
設計・デザインの評価
ご説明した通り、「4. 要求事項に対する設計の評価」は、フェーズ3で生み出されたユーザーの要求事項を満たす解決策の適切さを段階的に評価・検証するフェーズです。完成品に近い状態のものではなく、コンセプトレベルの段階からユーザーに当て、受容されるかどうかを評価しながらソリューションを磨き上げていくことが重要になります。
<主なデザイン・リサーチ手法>
- プロトタイピング(XDやFigmaレベルのものから、コンセプトムービー、セールスシート、ペーパープロトタイプなどさまざま)
- 専門家評価(ヒューリスティック評価、エキスパートレビュー、認知的ウォークスルー)
- ユーザビリティテスト
- コンセプトテスト(ソリューションインタビュー)
- アンケート
- アクセス解析 など
上記の中でもユーザーテストといわれるものは、大きく分けて「ユーザビリティテスト」「コンセプトテスト(ソリューションインタビュー)」の2つです。
ユーザーテストの種類
冒頭でもご説明した通り、ユーザーテストは「コンセプトテスト」と「ユーザビリティテスト」に分けられます。ここでは、それぞれの手法における概要をご説明します。
コンセプトテスト(ソリューションインタビュー)
コンセプト・アイデアを評価する「コンセプトテスト(ソリューションインタビュー)」は、「提案する製品やサービスのコンセプトがユーザーにどれだけ受け入れられるのか」という観点で調査します。提示したコンセプトに対して、以下の項目で被験者であるユーザーに評価してもらうことが目的です。
- わかりやすさ
- ニーズとの合致度
- コンセプトへの共感度
- 魅力度
- 新規性
- 経験してみたいかどうか
- 購入意向
コンセプトテストは、具体的な形になる前の「サービス紹介パンフレット」やコンセプトイメージ・案などをもとに実施することが多いです。新規事業など、アイデアが固まっていない段階ではコンセプトテストの比重が大きくなることが予想されます。
コンセプトテストでアイデアがユーザーに受容されるということが分かれば、ユーザビリティテストに移っていきます。
ユーザビリティテスト
タスクが達成できるか操作性を評価する「ユーザビリティテスト」は、「ユーザーの要求事項を満たす設計になっているかどうか」を検証することが目的です。具体的な利用シーンを想定し、ターゲットに近いユーザーに実際に操作や閲覧をしてもらいながら、その様子を観察して検証を進めます。
流れとしては、操作中に感じている・考えていることを言葉にして出してもらう(思考発話法)ことで、操作途中の遂行状況を把握します。一通りタスクが終了したあと、行動した内容について質問を投げかけ、行動した理由や真理の深掘りを行います(回顧法)。
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ユーザビリティテストの特徴
ユーザビリティテストの特徴の1つは、定性的な調査であるという点です。行動観察やユーザーの思考発話を通して、課題が発生した理由を明確にすることができます。
ユーザビリティテストに必要な人数
ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士の調査によると、3人の調査で問題点の約65%、5人の調査で80%以上の課題が発見できるといわれています。ニールセン博士は、ユーザー調査による問題点の発見率は次の式で求められると提唱しています。
1 – (1 – L) n
※nは調査人数Lは1人のユーザーをテストして発見できるユーザビリティ問題が全体に占める割合を示している。数多くのプロジェクトを調査した結果、典型的なLの値は平均して31%になることがわかった。
人間中心設計(HCD)のプロセスを思い出すと、ユーザーの要求を満たす設計になっているかわかるまで検証を繰り返していくことが、ユーザビリティテストの特徴になります。
そのため、一度に多くの人数を確保するというよりは、5人程度で検証しながら課題を見つけ、その課題をつぶすためにプロトタイプを改修、また検証のためにユーザビリティテストを実施するという流れが良いと思います。
ユーザビリティテストからわかること

ここまでをまとめると、ユーザーテストは人間中心設計(HCD)プロセスの中で、ユーザーの要求事項を満たす設計になっているかを検証する評価手法です。
ユーザビリティテストをすることで、ユーザーの目から見たプロダクトの課題がクリアになります。そして「なぜ悪いのか」の仮説が立ち、細部まで定性的な良し悪しを把握することが可能です。
ユーザビリティテストの流れ

では、実際にユーザビリティテストを実施したい場合、どのような流れになるのでしょうか。プロセスは大きく分けて4つです。
最初に取り組むのは調査設計で、ここではターゲットに近いユーザーの絞り込みを行います(スクーリング)。その後、実際にユーザーが利用するであろうシーンを想定し、その流れに沿って知りたい情報が取得できるようなテストを設計します(タスク設計)。
次に行うのが実査です。調査設計が完了し、モニタが見つかったら事前準備に移り、実査に進みます。事前の操作説明や、スムーズに実査を進行できるよう動作確認などを行ってから、実際に行動観察を開始します。
実査まで完了したら、分析に進みます。分析プロセスでは、「事実(実査で得た対象者の実際の行動)」を書き出して同一の課題をまとめ、課題の中で重要度を決めます。重要度が決まれば、改善する課題に優先順位をつけ、優先度が高いものから施策を検討します。
ユーザビリティテストの設計・実査・分析
以降の章については、無料でダウンロードが可能な『ユーザビリティテストの基本「設計・実査・分析まで」と「実際の進め方や注意点」』に掲載しています。ぜひダウンロードしてご覧ください。
(目次)
3. ユーザーテストの設計
・ユーザビリティテストの調査設計とは
・タスク設計の流れ
・タスク設計の落とし穴
・ユーザーテストの構成
・タスク作成時のポイント
4. ユーザーテストの実査
・モニター選定のポイント
・実査の事前準備
・ユーザーテストの実査に関するTips
・ユーザーテストのモデレート時のポイント
5. ユーザーテストの分析
・ユーザーテストのテスト記録の作成(分析の準備)
・テスト記録の一例
・ユーザーテスト分析の流れ
・1.「事実(FACT)」を書き出す
・2.同一の課題をまとめる
・3.重要度を判断する
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