第12回「食に対する意識モデル」
第11回では、「お金に対する考え方」モデルと「投資動機」モデルについて考えて参りました。
第12回の今回は、同じく13のスタンダードモデルの中から「食に対する意識モデル」について、特に食との関係がみられそうな(このコラムの第10回でご紹介した)「健康に対する考え方」及び「受療意識」モデルとも関係付けてご紹介して参りましょう。

あなたは週にどのくらいの頻度で自分もしくは家族のために食事の支度をしていますか?
コロナ禍による外出自粛期間に自炊頻度は急増、近年ではリモートワークや物価上昇の影響でさらに自炊頻度が増えているようです。
また、自炊作業そのものの時短や効率化を想定した調味料・ミールキット・レシピサービスなど効果的に負担を軽減しようとする傾向も見られます。
「食に対する意識モデル」は、そもそも人が食というものをどのように捉えているのかに基づくユーザーモデルです。
ちなみに、「食に対する意識」モデルの作成にあたっては、何らかの頻度で食事を作ることを想定した設問への回答が必要なため、性別・年代・地域で割り付けた20~60代の男女1200サンプル(インターネット調査)に対して、事前に「あなたは、あなた(もしくは家族)のためにどのくらいの頻度で自分で食事を作っていますか。」を問い、「8」以外(下図参照)を選択した1063サンプルを対象にしています。

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この「食に対する意識」を表出させるために73の設問を設計しました。
これらの設問群に対する回答結果を因子分析することで得られた10の因子にそれぞれ因子名を付与したものが下表となります。

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この10の因子に対する因子得点を使って導出した5つのクラスタが下図となります。

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最も多いのは“話題となった食品に興味をもつ傾向”(因子1)は適度にあるし“食事を一人ですることも気にしない”(因子6)、もちろん“賞味期限や添加物を気にする傾向”(因子8)はあるけど、ことさら“産地や原材料を気にする傾向”(因子3)はない[適度に普通でいい派](クラスタ5)(35.0%)で、男性[**]に多くなっています。
次に多いのは、“生活の中で食べることを大切に考える傾向”(因子9)や“産地や原材料を気にする傾向”(因子3)が非常に強く、“食事作りを面倒だと感じる傾向”(因子2)や“食べることに対する興味の低さ”(因子4)は非常に低い(食事作りを面倒だと感じることもないし食べることにはとても興味を持っている)[食べることを大切にしたい派](クラスタ4)(26.5%)で、女性[**]・60代[**]・既婚(子供あり)[**]に多いようです。
これに対して[こだわりのない効率重視派](クラスタ3)(16.3%)は、“産地や原材料を気にする傾向”(因子3)や“食べる時にカロリーを気にする意識”(因子5)が低く、“食べることに対する興味の低さ”(因子4)や“食事作りを面倒だと感じる傾向”(因子2)が非常に高い(食べることそのものに対する興味が低く食事作りは面倒だと感じている)クラスタとなっており、30代[**]・未婚(子供なし)[**]・会社員[**]に多くなっています。
それでは、この「食に対する意識」モデルと、食との関係が分かり易くみられそうな「健康に対する考え方」及び「受療意識」モデルの間の関係をモザイクプロットを使って組み合わせてみてみます。
モザイクプロットは、対象となるユーザーモデルのクラスタ同士をクロス集計した結果で、モザイクの面積がその組合せの対象者の人数の割合を表しています。
まずは「食に対する意識」モデルと「健康に対する考え方」モデルの関係をみてみましょう。

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面積が最も大きい(対象者の人数の割合が大きい)のは、食に対する意識が[適度に普通でいい派]で健康に対する考え方が[健康は運次第派](15.1%)(シェード)となっています。
次に「食に対する意識」モデルと「受療意識」モデルの関係をみてみましょう。

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面積が最も大きい(対象者の人数の割合が大きい)のは、食に対する意識が[適度に普通でいい派]で受療意識は[たいして努力もしてないので結局普通に通院派](22.8%)(シェード)となっています。
食に対する意識が[食べることを大切にしたい派]は、手間をかけて料理を作ることも楽しいし、忙しくても食事はできるだけ家族と一緒に食べたい、食に対して前向きな人といえますが、健康に対しても自分で気をつけて自分の体に気配りする[健康は自分次第派]で、受療の必要な場合でも[特に何もしていないけどとにかく病院へは行きたくない派]や[たいして努力もしてないので結局普通に通院派]は少なくなっています。(※1)
これに対して、食べること自体にあまりこだわりがないので食事はなるべく簡単に済ませたいし、忙しいと食べることを忘れてしまうこともある[こだわりのない効率重視派]には、健康に対しては[深く考えない派]で、受療の必要な場合でも[特に何もしていないけどとにかく病院へは行きたくない派]が多くなっています。(※2)
食に対する前向きな気持ちは、健康や受療時の意識に対する肯定的で積極的な気持ちと強く関係しているようです。
次回からは、13のスタンダードモデルの中から、さらにいくつかのモデルを紹介して参りましょう。

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次回(第13回)は、「ファッション意識」モデルについてご紹介して参ります。
著者

小澤 一志
ユーザーモデリングラボ 代表
富士ゼロックス株式会社研究技術開発本部シニアリサーチャー、慶応義塾大学SFC研究所を経て、2019年ユーザーモデリングラボを開業、日本感性工学会会員。
様々な分野を対象に、ユーザーモデリングやユーザーモデルを活用したコンサルティング、UX(User eXperience)リサーチやUX改善コンサルティングに従事。