第14回「消費傾向モデルと衣食住のモデル」
第13回では、「ファッションに対する意識モデル」について考えて参りました。
第14回の今回は、このコラムでも時々登場しております「消費行動傾向モデル」について、衣食住との関係も含めてご紹介して参りましょう。

「何を買う時にもつい当たり障りのないものに目が行ってしまう」
「人がどう言っているのか結構口コミばっかり気になる」
「新しいものを見るとどうしてもすぐに手に入れたくなる」
…普段の生活の中で何かを買おうとする時には、様々なことを考えているのではないでしょうか。
「消費行動傾向モデル」は、人が消費行動を取ろうとする際にどのようなことを意識しているのかに基づくユーザーモデルです。
この「消費行動傾向モデル」を表出させるために78の設問を設計しました。
これらの設問群に対する回答結果(性別・年代・地域で割り付けた20~60代の男女1500サンプル、インターネット調査)を因子分析することで得られた9つの因子にそれぞれ因子名を付与したものが下表となります。

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この9つの因子に対する因子得点を使って導出した4つのクラスタが下図となります。

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最も多いのは、“情報収集を積極的に時間をかけて行う傾向”(因子3)や“計画的で几帳面な傾向”(因子4)も弱いので、“人の意見や情報に影響”(因子6)を受けて“実用性や機能性”(因子7)があまりなさそうなものを買ってしまうこともある[こだわりのない成り行き派](クラスタ3)(32.1%)で、男性[**]・未婚(子供なし)[*]・会社員[**]に多くなっています。
次に多いのは、“人の意見や情報に影響”(因子6)をあまり受けないし“消費意欲や欲求”(因子5)はそれほど強くないが、何かを購入する際には“実用性や機能性を重視”(因子7)する傾向の強い[とりあえず実用性重視派](クラスタ2)(27.7%)で、20代[**]・30代[**]・未婚(子供なし)[**]に少なく、50代[*]・60代[**]・既婚(子供あり)[**]に多くなっているようです。
この「消費行動傾向」は一般的な意味での傾向性ではありますが、様々な対象に対する購買行動に何らかの影響を及ぼしていると考えられます。
そこで今回は、この「消費行動傾向」モデルと、普段の生活においては切り離せない【食】「食に対する意識」・【住】「住まいや家庭に求めること」・【衣】「ファッション意識」の各モデルとの関係をみてみます。
まずは「消費行動傾向」モデルと、そもそも人が食というものをどのように捉えているのかに基づくユーザーモデルである「食に対する意識」モデルの間の関係からモザイクプロットを使ってみてみましょう。
モザイクプロットは、対象となるユーザーモデルのクラスタ同士をクロス集計した結果で、モザイクの面積がその組合せの対象者の人数の割合を表しています。

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最も人数の割合が多いのは、食に対する意識が[適度に普通でいい派]で消費行動傾向が[こだわりのない成り行き派](22.4%)、続いて、食に対する意識が[食べることを大切にしたい派]で消費行動傾向が[とりあえず実用性重視派](10.0%)、食に対する意識が[楽しく食べて健康維持派]で消費行動傾向が[開放的な積極的社交派](6.9%)となっています。
次に、「消費行動傾向」モデルと、人が住まいや家庭にどのようなことを求めているのかに基づくユーザーモデルである「住まいや家庭に求められること」モデルの間の関係をみてみましょう。

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最も人数の割合が多いのは、住まいや家庭に求めることが[普通に暮らせれば充分派]で消費行動傾向が[こだわりのない成り行き派](19.9%)、続いて、住まいや家庭に求めることが[暖かい家庭団らん派]で消費行動傾向が[開放的な積極的社交派](9.3%)、住まいや家庭に求めることが[自分らしい生活重視派]で消費行動傾向が[とりあえず実用性重視派](8.3%)となっています。
最後に、「消費行動傾向」モデルと、人が自らのファッションを決める際にどのようなことを考えているのかに基づくユーザーモデルである「ファッション意識」モデル(ファッション意識モデルは[女性]のモデルを使いました)の間の関係をみてみましょう。

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最も人数の割合が多いのは、ファッション意識が[無難が落ち着く派]で消費行動傾向が[こだわりのない成り行き派](17.6%)、続いて、ファッション意識が[何はともあれ慎ましさ重視派]で消費行動傾向が[なんとなく定番派](8.4%)、同じくファッション意識が[何はともあれ慎ましさ重視派]で消費行動傾向が[とりあえず実用性重視派](8.0%)となっています。
ここで、「消費行動傾向」モデルと各モデルとの関係をより具体的にイメージするために、特定のクラスタ(今回は[とりあえず実用性重視派](クラスタ2)(黄色のセル)に注目して下さい)を通してみてみましょう。
消費行動傾向の[とりあえず実用性重視派]は、“人の意見や情報に影響”をあまり受けないし“消費意欲や欲求”はそれほど強くないが、何かを購入する際には“実用性や機能性を重視”する傾向が強いタイプです。
食に対する意識においては[適度に普通でいい派]は少なく[食べることを大切にしたい派]が多くなっており、住まいや家庭に対しては[普通に暮らせれば充分派]は少なく[自分らしい生活重視派]が多くなっています。
また、消費行動傾向が[とりあえず実用性重視派]の[女性]には、ファッションに対しては[無難が落ち着く派]は少なく[何はともあれ慎ましさ重視派]か[周りは気にしない派]が多くなっていることが判ります。
次回(第15回)は、「労働に対する価値観モデル」についてご紹介して参ります。
著者

小澤 一志
ユーザーモデリングラボ 代表
富士ゼロックス株式会社研究技術開発本部シニアリサーチャー、慶応義塾大学SFC研究所を経て、2019年ユーザーモデリングラボを開業、日本感性工学会会員。
様々な分野を対象に、ユーザーモデリングやユーザーモデルを活用したコンサルティング、UX(User eXperience)リサーチやUX改善コンサルティングに従事。