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導入事例

【事例】組織にUXデザインを浸透させる・NTTコミュニケーションズの顧客志向経営

NTTコミュニケーションズは、「顧客志向経営」というキーワードを掲げ、経営戦略としてUXデザインの全社展開を推進しており、その1つの施策としてユーザーテストに取り組んでいます。

本記事では、法人向け、個人向けともに数多くのサービス・ソリューションを手がける同社が、「顧客志向経営」を推進していく中で、ユーザーテストをどのように活用しているのか、UXデザインをどのように組織に浸透させているのかについて紹介します。

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
経営企画部 デジタル・カイゼン・デザイン室
嵯峨田様(写真右) 池様(写真左)

はじめに

---経営企画部 デジタル・カイゼン・デザイン室のミッションについてお聞かせ頂けますでしょうか?

池様: デジタル・カイゼン・デザイン室という名前だけあって、大きく3つあります。

デジタルでは、働き方改革や生産性の向上などに資するデジタルトランスフォーメーションの推進を、カイゼンでは、全社のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)やカイゼン活動の推進、カイゼンマインド浸透の活動を主に行っています。

そして、私達が今取り組んでいるのがデザインの部分です。社員がお客様目線で仕事に取り組み、お客様に最高の体験を提供することで顧客ロイヤリティを高める、「顧客志向経営」と私達は呼んでいますが、これを全社に推進していくことに取り組んでいます。

この取り組みの具体的な施策の1つとして、ユーザーテストを活用しています。

---なるほどですね、いつ頃できた部署なのでしょうか?

池様: 今の組織になって今年で3年目になります。現在メンバーは全体で18名、私達のデザインチームとしては9名ですね。

ユーザーテストの価値は、社内での合意形成のしやすさと、組織のお客様視点の意識向上

---ありがとうございます。顧客志向経営を進めるにあたって、なぜユーザーテストを施策の1つとして取り入れられているのでしょうか?

池様: まず、ユーザーを通して課題がどこにあるかが一目でわかるので、社内で解決に向けた合意形成が行いやすいという点です。

多くのサービスは、組織を横断して開発しており、携わるメンバーが多岐にわたります。関係者全員がユーザーの行動を見ることで、どのようにサービスをよくしていけばいいか共通の理解が得られるという点で、ユーザーテストはとても効果が高いと考えています。

次に、組織のお客様視点の意識向上という点です。

サービスの開発でユーザーの声を聞くのは大事だということは、社内の誰もが頭では理解していると思うんですが、開発に携わっているメンバー達が、本当にお客様に会ったり、お客様が自分達のサービスをどういう風に使っているか見たりしたことがあるかというと、なかなかそういう機会は少ないのが現状です。

そこで、まずはユーザーを見る、声を聞く機会を作って、サービスの提供側では気付かない課題や改善のヒントを発見して実際のサービスを改善していくのとともに、ユーザーに接することの大切さを感じてもらいたいと考えています。

そして、今の施策でユーザーテストを実施した後も、自分達でユーザーの声を聞きながらサービスを開発していくような意識、行動が芽生えればというのが私達の思いとしてあります。

社内で行うユーザーテストの課題

---そんな中、ポップインサイトにご依頼頂いた背景について教えて頂けますでしょうか?

池様: 私達の社内でユーザーテストを実施してきた経験はこれまでにもありました。

ただし、先ほどお話ししたようにそんなに人数も多いチームではないので、全社に推進していくとなると、どうしてもリソース不足でスピードが追いつかない。効率よく展開していくというところに課題がありました。

---社内で行うユーザーテストはどのようにされていたのでしょうか?

池様:> リクルーティングに関しては、一般のお客様をお呼びしてというのは難しいので、モニターは弊社の社員に依頼しています。

例えば、社内のそのサービスに関わっていない、実際のお客様に近いであろう人に協力してもらってユーザーテストをするということをやっていました。 一般のお客様をリクルーティングするのが難しい理由はなんですか?

嵯峨田様: 派遣という形態ではなく、弊社が直接誰かにお金(テスト協力の謝礼)を払うというのがなかなか難しいんです。派遣の形態をとるにしても、派遣法の兼ね合いで、1時間だけ人をピックアップしてというのがまた難しく…。そういった意味でもポップインサイトさんを通すとスムーズになります。

また、弊社の社員は6,500名ほどおりますが、やはりコンシューマー向けのITリテラシーがあまりない方や、BtoBtoXのケースでドンピシャにお客様に近い人はなかなか自前だと集まらない。そこにも課題感はありましたね。

ポップインサイトを活用して出た成果は?

---ポップインサイトのサービスを活用して出た成果があれば教えてください。

池様: 直接的な成果でお話しすると、やはり、サービス改善に向けた合意形成のスピードが速くなったと感じています。

ユーザーテストを実施した後、サービスに関係するメンバーが集まって、テストで得られた発見や課題をポップインサイトさんから説明していただく報告会の機会を設けています。報告会で説明を聞いてから10日くらいでサービスに反映できたりとか、場合によっては先に見学したユーザーテストでの発見点を受けて、報告会前にWebサイトへの反映が完了していたりするケースもありました。

開発に携わるメンバーも実際にユーザーが使っている様子を見ているので、共通の課題感が持てているのだと思います。

---なるほど。報告会に来られない方もいると思うのですが、その場合はどのようにテスト結果を共有されてらっしゃるのでしょうか?

池様: 今は、ポップインサイトさんから頂いた報告書ベースで事業部の中で共有してもらうという形をとっています。

報告書の中で、重要な課題を挙げて頂いているので、「じゃぁそれって具体的にどういうことが起こっているの?」と感じた際に、すぐにテスト動画を見られるようリンクされているのはとても重宝しています。

全部動画を見なくてもいいですし、「どこだっけな」と焦りながら説明をするということもなくなりました。

今後の取り組み

---今後、「顧客志向経営」をさらに推進していく中で、デザインチームで取り組んでいきたいことについて教えてください。

池様: お客様の声を聞くことの大切さをもっと多くの社員に実感してほしいです。ユーザーテストを実施することでその大切さに気付いてもらって、自分達の業務プロセスの中に、必ずユーザーの声を聞いてきちんと検証するというフローを取り入れられるのが理想です。

また、全ての社員がお客様と接するような立場で仕事をしているわけではないのですが、社内で仕事をしている人も必ず顧客相当の相手がいて、例えばスタッフの組織の人だと社員が自分達にとってのお客様ということになると思います。そういうところを常に心に留めて、お客様の立場に立って考えながら仕事ができるようになっていけたらいいなと感じていますね。

嵯峨田様: お客様を見るというのがなかなか徹底できないということもある中で、今回のユーザーテストの取り組みで実際のお客様の様子を見た方からその事業部内に横展開をしてもらうとか、今回取り組めなかった事業部についてもユーザーテストをやってみるというのは直近で行っていきたいですね。

今回の取り組み以上にBtoBtoXの要素が強くなってくるので、お客様が見るお客様みたいなものをうまく見つけて組めるのかなど、今までやってきたスキームとは違う形でのチャレンジングな取り組みをポップインサイトさんと一緒にしていきたいと考えています。

※ページ上の各種情報は2018年7月時点のものです。

投稿日: 2021/11/05 更新日: