第11回「「お金に対する考え方」モデルと「投資動機」モデル」」
第10回では、「健康に対する考え方」モデルと「受療意識」モデルについて考えて参りました。
第11回の今回は、同じく13のスタンダードモデルの中から「お金に対する考え方」モデルと「投資動機」モデルについてご紹介して参りましょう。

お金は、良くも悪くも、現代社会の中では、人の行動に大きな影響をもつ存在であることは明らかです。
社会的な地位・様々な欲求・仕事や業績の評価などあらゆるものと関連し、自己評価につながったり、人を動かす手段としての働きや動機付けの原因にもなります。
今回は、人の様々なお金に対する意識や考え方について、「お金に対する考え方モデル」と「投資動機モデル」でみてみましょう。
まずは「お金に対する考え方モデル」です。
「お金に対する考え方モデル」は、そもそも人がお金というものをどのように捉えているのかに基づくユーザーモデルです。
この「お金に対する考え方」を表出させるために30の設問を設計しました。
これらの設問群に対する回答結果(性別・年代・地域で割り付けた20~60代の1100サンプル、インターネット調査)を因子分析することで得られた5つの因子にそれぞれ因子名を付与したものが下表となります。

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この5つの因子に対する因子得点を使って導出した4つのクラスタが下図となります。

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最も多いのは相対的に“お金のネガティブな側面を意識する度合い”(因子3)が強い[お金で揉めたくない慎重派](クラスタ4)(34.3%)で、女性[**]に多くなっています。
次に多いのは、“お金のネガティブな側面を意識する度合い”(因子3)は弱いが、“お金が何より重要なものであると考える度合い”(因子5)も非常に弱い[お金より大切なものもある派](クラスタ2)(30.1%)で、男性[*]・60代[**]・自営業 [*]に多いようです。
次に「投資動機モデル」について考えてみましょう。
「投資動機モデル」は、人が何らかの投資行動を取ろうとする際の動機に基づくユーザーモデルです。
この「投資動機」を表出させるために49の設問を設計し、これらの設問群に対する回答結果(性別・年代・地域で割り付けた20~60代の1100サンプルの中の投資経験のある500サンプル、インターネット調査)を因子分析することで6つの因子が得られました。

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この6つの因子に対する因子得点を使って導出した4つのクラスタが下図となります。

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最も多いのは、“資産を保全したいと考える度合い”(因子6)や“生活の維持向上を意識する度合い”(因子3)が弱く、“わくわく感や高揚感を感じる度合い”(因子2)が強い[気軽にワクワク感楽しむ派](クラスタ4)(41.0%)で、未婚(子供なし)[*]に多くなっています。
逆に、“わくわく感や高揚感を感じる度合い”(因子2)は弱く、“資産を保全したいと考える度合い”(因子6)や“生活の維持向上を意識する度合い”(因子3)が非常に強い[着実な保全による生活防衛派](クラスタ2)(24.6%)は60代[*]に多くなっています。
それでは、この、相互に関係していると思われる「お金に対する考え方」と「投資動機」の間の関係をモザイクプロットを使って組み合わせてみてみましょう。
モザイクプロットは、対象となるユーザーモデルのクラスタ同士をクロス集計した結果で、モザイクの面積がその組合せの対象者の人数の割合を表しています。

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面積が最も大きい(対象者の人数の割合が大きい)のは、お金に対する考え方が[楽天的なお金は天下の回りものだ派]で投資動機が[気軽にワクワク感楽しむ派](15.6%)、続いて[お金で揉めたくない慎重派]で[気軽にワクワク感楽しむ派](11.8%)、さらに[お金より大切なものもある派]で[着実な保全による生活防衛派](10.8%)となっています。
お金に対する考え方の[楽天的なお金は天下の回りものだ派]は、お金に対する重要性は感じながらもそれほど無理をして稼がなくてもなんとかなると思っている楽天的な人であるといえますが、投資に対しても、ちょっとしたワクワク感で気軽に投資を続けている人[気軽にワクワク感楽しむ派]が多く、投資を生活防衛と考える人[着実な保全による生活防衛派]は少ないようです。(※1)
また、お金を稼ぐのは大変だし、時にトラブルの原因になることもあるが、やっぱり一生懸命働いて得るのが大切と考える[お金は大変でも働いて得るものだ派]には、投資を気軽にワクワク感で続ける人[気軽にワクワク感楽しむ派]は少なく、投資を将来に向けた重要な資産形成と考える人[将来に向けた上昇志向派]が多くなっているようです。(※2)
…とても感じが良く判りますね。
次回(第12回)は、13のスタンダードモデルの中から「食意識モデル」についてご紹介して参ります。
著者

小澤 一志
ユーザーモデリングラボ 代表
富士ゼロックス株式会社研究技術開発本部シニアリサーチャー、慶応義塾大学SFC研究所を経て、2019年ユーザーモデリングラボを開業、日本感性工学会会員。
様々な分野を対象に、ユーザーモデリングやユーザーモデルを活用したコンサルティング、UX(User eXperience)リサーチやUX改善コンサルティングに従事。