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UXリサーチ会社。海外主要UXリサーチ会社の新型コロナ対応まとめ

新型コロナウイルスというグローバル危機の中、ユーザが本当に必要としている有意義な顧客体験(UX)を提供することの重要性がますます高まっています。

コロナによって世界が大きく変化した今、BtoB企業、BtoC企業のいずれも顧客ニーズの変化をいち早く把握し、顧客との関係を継続するためにどのような対策が効果的か、また、発したメッセージが顧客に正しく伝わっているかを効率よく調べる必要に迫られています。

本稿では、こうしたニーズに対応すべく、海外の主要なUXリサーチ会社(注)が早々に提供を開始している新たなサービスをまとめて紹介します。

(注)池田朋弘「世界のUXリサーチ市場のキープレイヤー13社をまとめて紹介!」| note 参照

UserTesting社:”COVID-19 Human Insight Portal”

アメリカのリサーチ会社UserTesting社では、新型コロナパンデミック下でも顧客とのつながりを継続するために役立つ情報やインサイトをまとめたポータルサイトを公開しています。

出典:UserTesting社

コロナ禍で急増したリサーチのテンプレートを提供

パンデミック下では、以下を対象としたリサーチ件数が激増しています。
同社のポータルサイト”COVID-19 Human Insight Portal”では、こうしたリサーチについて顧客からフィードバックを迅速に収集できる調査テンプレートを提供しています。

リサーチが激増している調査対象:

 

  • 宅配サービス
  • ウイルスに関連する広告のメッセージや画像、伝え方に対する顧客の心情的な反応
  • イベントのキャンセル料や日程変更ポリシーに対する顧客の反応
  • 商品の購入計画や手続きに対する顧客の不安
  • ウイルス関連のコンテンツや情報に関するWebサイトの使いやすさやナビゲーション

3種類のテンプレート

調査テンプレートは以下の3種類です。

1.「コロナが顧客行動に与えた影響」の調査テンプレート

  • 自社の顧客はコロナ禍にどんな反応をしめしたか
  • コロナ禍によって自社の顧客にどのような行動変容が起こったか
  • コロナ影響下で人々は自社に何を期待しているか

2.「自社のコロナ対応への印象」の調査テンプレート

  • 自社の顧客はどういったコロナ対応を期待しているか
  • 人々は自社のコロナ対応にどんな感想を抱いているか
  • 自社のコロナ対応は人々の期待に応えたか
  • 自社のコロナ対応によって、人々は自社の見方を変えたか

3.「自社のメッセージへの印象」の調査テンプレート

  • メッセージによって何が伝わったか
  • 人々はメッセージを理解したか。どのように感じたか
  • 人々は行動を起こすことを強いられたと感じているか
  • メッセージが与えた印象は自社ブランディングにとって適切か

44の業界に特化したテンプレートも拡充

さらに2020年4月中旬には、「小売・食料品」「旅行」「レストラン」「金融」といったさまざまな業界に特化した44種類のテンプレートの提供も始めています。

例えば、「小売・食料品」業界においては、以下のような項目を調査するテンプレートが提供されています。

    • パンデミックによる人々の欲求や買い物習慣の変化
    • 新規顧客がWebやアプリでスムーズに注文するための改善策
    • 顧客が安心・安全に商品を受けとる方法(宅配、またはネット注文した商品の店舗受け取り)

qualtrics社:”COVID-19 Customer Confidence Pulse”

qualtrics社“COVID-19 Customer Confidence Pulse”新型コロナによる顧客信頼度への影響を調査し、レポート作成、配布、定期的な更新およびアップデートまでできるプラットフォームを提供しています。バージョン2.0と1.0があり、多言語対応のバージョン1.0では日本語でも利用できます。

出典:qualtrics社

コロナ禍が自社の信頼度に与える影響を調査するプラットフォーム

調査は 2分程度の「クイックチェックイン」と5~7分の「信頼性評価」の2つから構成されています。

「クイックチェックイン」では、自社のコロナ対策が顧客の期待にどの程度応えているかの満足度を測定します。

「信頼性評価」では、顧客ニーズを把握した上で、顧客とのコミュニケーションや自社の対策と顧客の期待とのギャップを特定し、改善すべき箇所の把握とその優先順位を提示します。

このほか、リモート環境での従業員の状況(業務に必要な環境や機材がそろっているかなど)を調査する”Remote Work Pulse”や、教師が生徒のリモート環境を確認するための”Remote Learning Pulse”なども提供しています。

Survey Monkey社:”SurveyMonkey’s resources for the coronavirus crisis”

Survey Monkey社では、コロナウイルスパンデミック下で需要が高いと考えられる4種類の調査についてテンプレート“SurveyMonkey’s resources for the coronavirus crisis”を提供しています。

出典:Survey Monkey社

 

1.”Coronavirus leadership check-in”

企業の経営幹部チーム用テンプレート。
従業員の健康状態を常に把握し、リモートで業務にあたるうえでのサポートができるよう設計されています。

2.”Working from home check-in”

企業のマネージャー用テンプレート。
リモートで業務にあたる従業員が適切なサポートを受けているかどうかを評価するために定期的に送信できます。

3.”Coronavirus leadership check-in”

学校関係者用テンプレート。
児童・生徒や保護者にとって最適なリモート学習環境を評価するために活用できます。

4.”Coronavirus B2B customer pulse survey template”

BtoB企業の顧客へのコロナの影響を調査するテンプレート。
クライアント企業がコロナによってどのような影響を受けているか、自社製品/サービスが課題解決に役立っているか、クライアントが自社製品/サービスに求めていることはなにか、など7つの設問で構成されています。

出典:Survey Monkey社

その他:UserZoom社、UsabilityHub社

ほかにも、UserZoom社は、自社サイトのコンテンツやメッセージングに特化したUXサーベイ用テンプレート“UX test your Covid-19 messaging and content”を提供しています。

出典:UserZoom社

 

また、UsabilityHub社のように、新規顧客には年間プランの45日間の無料トライアルを提供したり、モニター参加者の報酬を2倍とするといったかたちで、コロナパンデミック下における支援を実施している企業もあります。

「アフターコロナ」をみすえたビジネス戦略にはUXリサーチが必須

上記のサービスは、いずれもアカウントを作成すれば無料で利用できるものが多いのも特徴で、海外の主要UXリサーチ会社が、新型コロナパンデミック下またはアフターコロナを見据えた顧客獲得・顧客との関係強化にいち早く取り組んでいることがわかります。

海外と同様、アフターコロナを見すえたビジネス戦略は、日本でも急務の課題であり、そのためにも顧客ニーズの変化をいち早く把握するためのUXリサーチが必要と言えます。

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投稿日: 2020/05/19 更新日:
カテゴリ: 海外の最新UXを学ぶ