DX成功のカギは「UX」
本記事はmillermedia7社より許可を得て翻訳したものです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させることは容易ではありません。
従来型企業の多くは、新たな局面をどうにか乗り切ろうと努力していますが、どうすればDXを実現できるのか、また、DXがどのような変化をもたらすのかについて理解しているのは一部の企業だけです。
企業が最も犯しがちな過ちの一つは、テクノロジーに注目しすぎて、ユーザーエクスペリエンス(UX)の役割を過小評価してしまうことです。
この記事では、DXによって素晴らしい成果を得るためには、なぜUXに焦点を当てることが重要なのかを説明します。
また、顧客に優れたデジタル上でのエクスペリエンスを提供するためのヒントもご紹介します。
元記事:”User Experience and Digital Transformation: The Why, What, and How”, July 13, 2020
なぜUXをDXの中心に据えなければならないのか
顧客のニーズを無視しては、ビジネスは成り立ちません。しかし、DXを進めていく中で、うっかり顧客のニーズを忘れてしまう企業があるのも事実です。これは、実店舗ビジネスで効果があった戦略が、オンラインでも同じように通用すると考えているためです。
デジタル空間における人々の行動は、現実世界での行動とは異なっています。つまり、オフラインでのコミュニケーション方法のほとんどが、インターネット上では必ずしも有効ではありません。
例えば、人がオンラインでの購買を決定する際には、非常に多くの要素が影響を与えています。数多くの選択肢、レビュー、ほとんど手間をかけずにできる価格比較、納期やコストといったその他の条件など、非常に多くのさまざまな要素が影響しています。
そして、こうした要素は、お客様の期待値をすでに大きく高めてしまっています。
同じような商品を販売している他のオンラインショップを見つけるには、数回クリックするだけで十分です。そのため、たった一度でも顧客満足度の低い体験をしてしまうと、インターネットでの商品購入を取りやめてしまう可能性があります。
UXに基づいたデザインは、こうした問題を解決することができます。素晴らしいUXデザインは、顧客のエンゲージメントを高め、顧客とのインタラクションをシンプルにし、最終的には売上を伸ばすことにつながります。
統計によると、適切なUXを実現するための投資は、1ドルにつき100ドルのリターンがあると言われています。一方で、オンラインショッピング利用者の約88%が、UXが悪かったウェブサイトは二度と利用しないと答えています。
つまり、DXを実現しビジネス目標を達成するには、プロセス全体を顧客つまりユーザー中心にすることが最も重要なのです。
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UXを中心としたDXをどのように始めたらよいか
インターネット上の激しい競争を勝ち抜くためには、優れたプロダクトを作るだけでは必ずしも十分ではありません。
差別化を図るためには、顧客のみなさんに喜んでいただくことはもちろんのこと、少なくとも購入までのプロセスをスムーズにする必要があります。
そのためには、顧客のニーズを深く理解することが重要です。
以下では、オンラインへ移行するプロセスにおいて、どのように適切なUXを構築すればよいか、いくつかのヒントをご紹介します。
まずはUXリサーチを実施してみる
UXリサーチの主な目的は、どうすればユーザーがモバイルアプリやウェブサイト上で快適なインタラクションを実現できるかを明らかにすることです。
デザインチームは、すでに導入している、あるいは導入を予定している機能やソリューションに対して、UXリサーチを実施することで、ユーザビリティに関する課題を特定することができます。
そして、この段階で収集したインサイトなどの貴重な情報を、さらなるDXを進める上で反映させていくことができます。
UXリサーチでは、次のようなことを実施します。
- 顧客がなぜそのような行動をとるのかを知るインタビューなどの定性的な調査
- パターンを発見したり定性的な調査の仮定を検証する、統計や分析ツールを用いた定量的な調査
企業は、こうしたUXリサーチの手法を、DXのプロセス全体において適用する必要があります。
例えば、後半のフェーズでは、導入したソフトウェアが使いやすいか、主要なプロセスやワークフローにボトルネックが起きていないかを確認するのに、UXリサーチが役立ちます。
ワイヤーフレームは必ず作成する
ワイヤーフレームやプロトタイプがない状態で開発プロセスを急ぐのはお勧めしません。
たとえ厳しい納期の中でDX戦略を実行しなければならないとしても、望ましい結果をもたらさないカスタムソフトウェアの構築にリソースを浪費するよりも、タイムラインを見直した方がよいでしょう。
ワイヤーフレームは、情報アーキテクチャとユーザーインターフェースの関係をわかりやすくするのに役立ちます。
つまり、ワイヤーフレームは、ユーザーが簡単に課題を解決できるナビゲーションを備えているかどうかを確認する最も安価で迅速な方法といえます。
また、ワイヤーフレームを作成することで、デザインチームは、コンテンツを画面に表示するさまざまな方法を試すことができます。これにより、ユーザーの課題解決に最適なUXを選択するチャンスを得ることができます。
この段階で重要なことは、全体的なデザインシステムを構築することです。そうすれば、構築したシステムルールを適用することで、たとえ異なるプラットフォームであっても、ブランドの視覚的表現に一貫性を持たせることができます。
UXの最適化に継続的に取り組む
DXは継続的なプロセスです。
ITインフラを設計・開発しても、UXの最適化を考慮していなければ、企業に長期的な利益をもたらすことはできません。
DX、つまりビジネスをデジタル空間へ移行することは、最新のトレンドを把握して継続的に改善をくりかえす必要があることを意味します。
言い換えれば、デジタルカスタマーエクスペリエンスを最適化することが最も重要となります。現代の顧客は要求するレベルが高く、顧客を大切にする姿勢を見せないブランドは許容されなくなってきています。
一方で、DXは、社内における課題解決のためのインフラ導入も含まれています。
つまり、会社のスタッフにもユーザーフレンドリーであるツールを提供すべきでしょう。そのようなツールを使えば、スタッフは仕事をより速くこなすことができ、会社の生産性と収益性を高めることにつながります。
考慮すべきUXデザイントレンド
新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの日常生活にさまざまな変化をもたらしました。
当然のことながら、カスタマーサービスや、オンラインで商品やサービスを販売する企業に期待されることも変化しました。
UXの現状を把握するために、プロダクト開発プロセスで考慮すべき、主なトレンドをご紹介します。
動画コンテンツ
パンデミック禍では、動画コンテンツの人気が高まりました。
今日、企業はライブストリームからオンラインコースまで、あらゆる種類の動画を使って顧客にメッセージを伝えています。
オンラインへの移行を成功させたいのであれば、質の高い動画コンテンツに投資することが重要です。
動画コンテンツを提供することで、比較的短期間で、より多くの視聴者にリーチし、興味を持ってもらうことができるでしょう。
スムーズなインタラクション
バーチャル空間におけるスムーズなインタラクションへのニーズは、パンデミック以前にも増して高まっています。
パンデミック下では、在宅の時間が増加する中、日々こなさなければならないあらゆる仕事がさらにオンライン化されました。
今や人々は、食料品の購入、仕事、健康上の問題が発生した場合の医師とのビデオ通話など、文字通りあらゆる問題をインターネットで解決しています。
だからこそ、シンプルかつ情報量を多くし、コンピュータースキルの異なるユーザーのニーズに対応することが重要となっています。
UXライティング
パンデミック下で、過多な情報への対処が大変だったことは記憶に新しいと思います。
多くの人々は、日々、インターネット上で、常に膨大な量のニュースや何千ものメッセージにさらされています。
製品やサービスを販売する企業にとって、文章の内容を明確かつ簡潔にすることは不可欠です。
注意をそらしてしまったり、曖昧さや混乱を招くことなく、平易な表現でわかりやすく書くことを心がけましょう。
DXにおけるUXの役割
DXとは、単にソフトウェアツールを増やしたり、ITインフラをアップグレードしたりすることではありせん。
事業活動にテクノロジーを導入することは、顧客との関わり方が変化していくことを意味します。
このため、UXに十分な注意を払わなければ、プロセス全体が失敗となる可能性があるでしょう。
企業のDXを成功させるためには、ユーザーを中心とした、全体的なアプローチを構築することが重要です。
つまり、UXというマインドセットがDXを成功に導くには不可欠なのです。
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