UXデザイナー必見。UXデザインを組織にインストールするには
UXデザインの役割を見直す動きが広がりつつある一方で、チームメンバーの共感や意思決定者の理解を得られず、社内にUX体制を浸透・推進していくことが難しい、という声も多く聞かれます。
2020年6月25日のオンラインセミナーでは、株式会社アトラエのデザイナー、竹田哲也さんがご登壇。UIデザイン会社のご経験や、ウェブ広告代理店でのUXデザイン組織づくりのご経験から、UXの価値に対する社内理解の広げ方についてお話いただきました。
本記事では、竹田さんが組織にUXを「インストール」したプロセスをご紹介したハイライトをお届けします。キーワードは、「小さくはじめる」「体験してもらう」「著名人のチカラを借りる」そして、「共通言語を作り出す」。
「『UXデザイナー』という職種は、将来的には必要なくなると思っています」という衝撃的(!?)な予言に隠された竹田さんの真意とは…?社内のUX体制づくりのヒントに、ぜひご一読ください。
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目次
「UXデザイン」は、「体験」を量産・再生産する仕組みを考えるプロセス
デザイナーの竹田哲也さんは、プロトタイピングがまだ一般的ではない2014年頃から、「デザインプロセス」の企業向けワークショップ化、また、ウェブ広告代理店で経営陣とともに会社のビジョン・バリューを再定義したご経験をお持ちです。
現在は、株式会社アトラエにてエンゲージメント解析ツール「wevox」のサービスデザイン、マーケティングやブランディングをご担当しています。
セミナーは、まず「デザイン」という言葉の定義の再確認から始まりました。
「デザイン」が含むのは「意匠」「図案」といった、見た目を整えたり装飾を施したりするプロセスだけではなく、機能や生産工程などを考えて設計・構想するプロセスも含まれている、と竹田さんは説明します。
つまり、「UXデザイン」はユーザにどんな「体験」をしてもらうかを計画することであり、ビジネスでの「UXデザイン」は、この「体験」が量産・再生産される仕組みに落とし込む必要があります。
セミナー前半では、産業の歴史とプロダクト提供価値の変遷、そしてデザイン制作の歴史をひもときながら、プロダクトやサービスの価値を実現するための「価値発見」「表現」「伝達」「提供」のプロセスを行き来することの重要性をお話いただきました。
後半ではいよいよ、竹田さんご自身が実際にウェブ広告代理店時代に取り組まれた、UXデザインを組織に「インストール」する4つのプロセスをご紹介していただきました。
UXをどうやって組織にインストールするか?
「UXデザイン」を実現する組織をつくるには、具体的にどのような手順を踏めばいいのでしょうか。竹田さんが実際に取り組まれたのは以下4つのプロセスです。
1.小さくはじめる
UIデザイナーは当初、竹田さん含む2名のみでした。仲間を増やす(=採用してもらう)ために竹田さんたちがまず着手したのは、デザインの価値を社内に知ってもらう取り組みでした。
その方法はなんと、役員プレゼンのスライドをデザインしたり、営業資料を整えたり、という非常に地道な一歩。「まずはひとりでもできることから進めてみました」と竹田さんは振り返ります。
2.体験してもらう
「小さくはじめる」ことでデザインの重要性への理解が徐々に広がってきた段階で、竹田さんたちは「体験してもらう」ことにフォーカスを置きます。
役員にユーザインタビューに参加してもらい、ユーザの発言を生で聞いてもらったところ、制作スタッフとすれ違いがちだった議論がまとまるようになり、ミーティングでの意思決定が早くなったそう。
3.著名人のチカラを借りる
著名人が登壇するイベントに決裁者を説得し連れていくことも、UXへの社内理解を高める方法です。自分も同じ場に同席し同じ話を聞くことで、学びになることはもちろん、決裁者とその後の会話もかみ合うというメリットもあり、非常に有効な方法でした。
4.共通言語を作り出していく
デザインの重要性への理解が進む中で重要なのは「言語化」です。カスタマージャーニーマップやペルソナといったフレームワークを活用し、情報を可視化していきます。さらにそのフレームワークを「ハブ」として、開発スタッフ、経営層、といったステークホルダーとコミュニケーションをとっていくことが有効です。また、竹田さんの経験上、プロトタイプの共有も有効な方法です。
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将来、「UXデザイナー」は必要なくなる
30年前に出版された書籍「デザイン・マネジメント」では、デザインのインストールの三段階が紹介されています。
質疑応答ハイライト
「休憩しながら社内ユーザテスト」のススメ
Q. Web制作のフローにUXデザインを組み込むには?
A. リリース前に、ターゲットユーザに近い属性の方に、今あるデザインを見てもらうことから始めてはどうでしょうか。
いい反応か、あるいは困った様子かを見て修正材料にすることができます。リクルーティングには手間をかけず、社内スタッフにゲリラ的にお願いし、休憩時間などにコーヒーを飲みながら見てもらうのもおススメです。特にアプリ利用のシチュエーションは「ながら」が多いので、「休憩しながら」はむしろ実際のシチュエーションに沿っているといえます。
サプライズパーティの企画も「UXデザイン」
Q. UXデザインのやりがいとは?
A. UXデザインは、ウェブサイトやアプリなどに閉じた話ではありません。
たとえば、友人の誕生日をサプライズで祝う計画を立てるのも立派なUXデザインです。誰を呼ぶか、何をプレゼントするか、どうすればもっと喜んでもらえるかなどを一所懸命考えて、実際にその友人が喜んでくれたらそれは大きなやりがいです。UXデザインのやりがいは、ユーザの喜びに集約されているとも言えるでしょう。
その小さな一歩がUX体制づくりにつながります
本セミナーの翌日、参加者にご感想をお聞きする機会がありました。
「現在大変ご活躍のたけてつさん(竹田さん)が『役員プレゼンのスライドをデザインする』という地道なところからスタートした、というエピソードがとても印象的。正直「えーっそこから?」と思ったと同時に、その小さな一歩がUX体制づくりにつながることに気づきました!」と感慨深く話してくださいました。
千里の道も、UX体制も、まずは一歩から。
実績を作り、周りを巻き込み、UX向上の価値への納得感を積み上げることで会社の価値向上につながるUXの土壌を広げるという、竹田さん流の「インストール」をぜひ今日から真似してみてください。
なお、
「何から手をつけていいかわからない」
「UXリサーチをもっと回したいがリソースが足りない」
「UXリサーチャーを内製化したいが、採用や育成が難しい」
…こんなお悩みがある際には、ぜひポップインサイトにご相談ください。
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