メンバーズがポップインサイトをM&Aした理由
ポップインサイトは2017年4月に株式会社メンバーズのグループ会社になりました。(※2020年10月合併により「株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニー」に社名変更)
この記事のシリーズは、なぜメンバーズはポップインサイトをM&Aしたのかその理由を探るべく、メンバーズの役員・社員にインタビューをおこない、その内容を発信するものです。
今回は、EMC(エンゲージメント・マーケティング・センター)と呼ばれるメンバーズのデジタルマーケティング運営支援サービスを推進する、高野さん、池上さんにお話をお聞きしました。
高野明彦 株式会社メンバーズ 常務執行役員(写真中央)
一橋大学卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。その後、2005年に株式会社メンバーズに入社し、2016年4月常務執行役員に就任。2006年11月の株式公開を始めとし、リーマンショック後の全社変革プロジェクト、人事制度改革、中期経営計画の策定・実行、ミッション・ビジョンの浸透プロジェクト、東京証券取引所市場第二部上場など全社的な重要プロジェクトの推進を数多く担う。
池上斉弘 株式会社メンバーズ EMC推進室 グループ長 兼 経営企画室(写真右)
2013年4月、株式会社メンバーズに新卒入社。EMCサービスの強化部門にて、各種業務プロセスの標準化や、研修等を通じたナレッジシェア、各案件に対するアドバイザリー活動など、全社横串でのプロジェクト推進を複数行う。
佐藤静 株式会社メンバーズ(写真左)
2016年4月、株式会社メンバーズに新卒入社。2016年6月から運用ディレクターとして大手銀行さまに常駐。サイト更新運用業務に加え、PDCAでのサイト改善提案、施策実施、レポーティングなどを行う。
はじめに
高野:
経営企画室と、全社の横串・ミドルオフィス部隊であるEMC推進室という2部門の責任者をしています。経営企画で言うとメインでは分かりやすく経営管理とか予算管理、またIRやM&Aなども行っています。
EMC推進室では、メンバーズの主力サービスであるEMC(エンゲージメント・マーケティング・センター、大規模クライアント向けのデジタルマーケティング支援専任チーム提供サービス)のサービス強化をミッションとして、その部門の責任者をしています。
池上:
私も担当領域は同じですが、業務内容はどちらかというとEMC推進室の比重が大きく、EMC推進室のマネージャーを現在務めております。
解析ツールとは違うユーザテストの価値
池上:
メンバーズで過去にポップインサイトのサービスを使ったことがあるコンテンツプランナーがいまして、その者の紹介で一度お話を伺ったのが最初ですね。その後、今度は高野さんを含めて代表の池田さんからプレゼンを受けまして、そしたらぜひEMC案件の中にどんどん入れていこうという話になって進んでいきました。
池上:
私自身の個人的な背景もあり、少し話は遡るんですが、3年ぐらい前はWeb運用を通じたマーケティング成果を創出する方向性として、データを活用したKPI立案とPDCAサイクルを強化しようと会社では言っていたんですね。なので、成果創出に向けてはログ分析が最も重要だと考えていたんですけれども、それだけでは不十分かなと、私個人としては感じていました。
池上:
結局データを表面的にだけ読み解いてしまうと、このボタンがクリックされてないとか、このボタンは上よりも下に設置する方がいいとか、色味を変えたらクリック率が上がったとか、マーケティング上の知見が貯まらず、施策だけがどんどん回っていくっていう課題がありまして。
ユーザのことを知った上で、そのユーザをどういうふうに導いてあげたら気持ち良く動いてくれるかっていう点も考慮した上で、PDCAを回していきたいなっていうのはあったんですね。
ユーザテストやユーザインタビューも、実はとある案件で実際のモニターを呼んでやったこともあったんですけど、本当に大変で。
テスト設計から、呼んでくるのから、その場の当日の対応から、初めてだったということもあって相当な時間を使ったんですけど、その割に初めてだったのであまりうまくできずに、そこまで有効な示唆とかも出せず。
やるべきだと強く思うんだけど、もっとライトにしたいなと考えている中で、ポップインサイトのツールはそこにまさに当てはまるものでした。
全てのEMC案件でこのツールを広めるべし!という意思のもと、業務提携を進めさせていただいた感じですね。
現場クリエイターがPDCAを回すのに最適なツール
高野:
色々な観点があると思いますけど、サービス強化の観点としてはクリエイターのマーケティングPDCAってこれだなと。
普通イメージするPDCAって、コンサルタントやデータアナリストが数字分析してレポートを出して、というものですが、私達がやってる仕事のバリューって結局クリエイティブなわけですよ。そもそも現場のクリエイターがいて、Webサイトを作ることをお仕事としていて。その人たちがマーケティングPDCAを回すと言ったときに、ユーザの声を取り入れることのほうが圧倒的に簡単かつ効果的ということがすごく腑に落ちました。
もちろんリモートという特性も活かしてスピーディーにユーザテストが安くできるというところでいくと、経営的観点で言えばもっと全面的に導入したいと。
EMCのクライアントは大企業で新しい取り組みの話や課題はそこここにあるので、全EMCのクライアントで毎週ユーザテストをやっているぐらいのレベルまで行くと、EMCのサービスとして圧倒的に強くなると思うんですよね。クリエイター集団である制作会社が毎週勝手にPDCAをやるというのが実現できるなっていうイメージが湧きました。
そこまでやろうと思うと、スポットでばらばらと発注するとかっていう話ではなくて、本格的にポップインサイトに対して私達も投資をしてひとつのグループとなった上で進めるレベルの話だと。経営としての合理性もありました。
池上:
そうですね、社内でツールを広げるという試みは、私の知っている範囲で、今までに3、4回は少なくともメンバーズでやってきているんですが、中々上手く行ったことがないんですね。
色々なツールを見ていたんですけれども、その中で1つポップインサイトのツールがよいと思ったのは、上の職級のプロデューサーや管理職だけではなく、現場のクリエイターないし若手の社員が自分の意志をもって勝手に実施できるっていうのが、やっぱり使い勝手が良いと感じました。
本当に現場の人間が使えるのか、サービス強化になるのかという点を試したくて、現場のメンバーにユーザテストをやってもらい、それを元にしてPDCA提案を実施するということもやりました。そうしたことに取り組む中で、現場のクリエイターと一緒にアウトプットを分析して、示唆出しやPDCAを回せる土台が作れるってめちゃめちゃ大きいなと感じたんですね。
なかなかログ分析だけだと、そういう風にならないんですよ。その点では、ユーザテストはドハマリだし、かつユーザ分析の世界が、かなり奥深いというか、ものすごい突き詰めていくと運用内でのPDCA活動だけでなく、究極にはサービスデザインの領域にも踏み込んでいけて。そこを追い求めることはEMCの方向性においても間違っていないんだろうなという感覚がありました。
もっとがっつりやっていきたいですという中で、M&Aという選択肢があるよと高野さんに言われまして笑。そんなことできるんですかという驚きはありましたが、その後池田さん(ポップインサイト社長)と共に、話が進んでいったという感じでしたね。
ツールはあくまで道具。裏側にある思想や世界観に共感
池上:
それもありますが、最近やはり思うのは、ツールっていうのはあくまで、何かしらのマーケティングプロセスを生産性高く実現する道具であって、それ自体で新しいマーケティングや活動ができたりするわけではないと感じています。どちらかというと、その裏側にある「どういうプロセスを効率的に実現したいのか」っていう思想の方が大事だなと。
ポップインサイト社のツールも、ユーザ視点をどうPDCAに活かすか、という世界観に強く共感したのが最初で、それを実現する道具として・・・という文脈だから、すんなり推進できたというのはありますね。
高野:
基本、ツールを適宜使うみたいな世界から、もっと上手くめちゃくちゃ活用するという世界に早く全社的にしていきたいと思っています。
色々ポップインサイトにサポートの機能はあるにせよ、やっぱり最後は現場のクリエイターがその観察を通じて何か気づきを得る、改善施策を作るといった領域は最後まで残るかなと。そこをもっと全社が活用できるようになれば、世界一はもうちょい先かもしれないですけど、国内一は近いうちににいけるんじゃないかなと、そんなところを目指したいと考えていますね。
その他、メンバーズとポップインサイトでは数多くの展開を考えていますので、今後の展開に乞うご期待ください!