Blog
ブログで学ぶUX

アクセス数の少ないサイトが今すぐやるべきコンバージョン改善施策

この記事では、ニューヨークやロンドンに展開するコンサルティング会社『Conversion Rate Experts社』の許可の元、アクセス数の少ないサイトが今すぐやるべきコンバージョン改善施策について書かれた記事を翻訳しご紹介させていただきます。

元記事は、Conversion for low-traffic websitesです。

目次

2017年度版「UX(ユーザーエクスペリエンス)とCRO(コンバージョン率最適化)のためのツール」ボーナスセクション

本記事は一連のUXとCROのためのツールについてまとめた記事シリーズのボーナスセクションです。このシリーズの最初の部分で、なぜこういったテクニックがビジネスを大きく成長させるために最も頼りになるやり方であるのかについて述べました。始めの部分にシリーズの記事全体を1つの図としてまとめたものも掲載しています。

なぜアクセス数の低いサイトのコンバージョンは難しいのか

植物(タンブルウィード)はどう思っているかをあなたに話してくれたりはしません。それと同様に訪問者が少なければ彼らのことを理解するのは難しいことです。

「そもそもサイトのアクセスが少ない場合、どうやって訪問者のことを理解したらよいのか」という質問を多くの読者からいただきます。起業したてだったり会社の規模が小さかったりした場合、以下のようなジレンマ状態にあったりするわけです。

  • 訪問者を得るには高いコンバージョン率が必要
  • しかし、訪問者がいなければコンバージョン率を向上させるのは難しい

アクセス数が少ないウェブサイトには問題点が2つあります。

1.  訪問者を理解しようがない:
例えば訪問者の行動を妨げてしまう原因がつかめない

2.  何が有効なのか測りようがない:
アクセス数が多いサイトは、変更点に統計的優位性があるかどうかA/Bテストで測定することができるが、それができない

ではどうすればいいのか順番に見ていきましょう。


【PR:無料ダウンロード】UI改善の基礎>>
4つのデザイン構成要素を操り、優先順位をつけるための「レイアウト / 配置」「形」「色」「動き」について図付きで解説します(全45ページ)。


アクセス数が少ないサイトが訪問者を理解するのに使うべき7つのtips

このシリーズのテクニック-コンバージョン改善など-のいくつかは、アクセス数が多いことを前提としたものです。しかし、以下で紹介するtipsは、たとえ一日当たりの訪問者数がごくわずかだったとしても使えるものばかりです。会社の規模が小さい場合など、これらのtipsを最大限活用していきましょう。

1.身近な人に使ってみてもらう

ユーザーテストは最も有効なテクニックでしょう。友人もしくは手を差し伸べてくれそうな人に協力を依頼してみましょう。サイトが十分に改善されたら、人口統計学的に、また心理学的にあなたがターゲットとしている人々でユーザーテストを行いましょう。

ユーザーがサイトを閲覧している動画をみる

訪問者のセッション録画を見ましょう。訪問者があなたのサイトをどのように見ているのかについての洞察を得ることができると思います。さらに、新鮮な視点でサイトを見つめなおすことができるはずです。

3.顧客と接している営業マンに話を聞く

あなたと同じタイプの製品もしくは似たようなタイプの製品を対面で扱っている営業マン(我々はVOCアグリゲーター(顧客からの声を集める人の意)と呼んでいます)と話をしましょう

4.競合他社のサイトを分析する

競合他社のウェブサイトを分析しましょう。はっきりとした競合相手がいないのであれば、あなたと隣接する分野で成功している企業のウェブサイトでも構いません。例えばあなたが法人顧客相手にソフトウェアを販売する会社なのであれば、他の企業間取引をしているソフトウェアベンダーのサイトを見てみればよいわけです。

5.サイト訪問者から電話をかけてもらう

すべてのページの上部に目立つように電話番号を記しましょう。たとえあなたが継続的に電話によるアクセスを歓迎していないとしても、番号を書いてさえおけばかかってくることがあるかもしれません。それどころか、早い段階で電話をかけてきた人に長期的なユーザーテスターを依頼できる可能性だってあるのです。

6.インセンティブでユーザの声を集める

調査を成功させるにはインセンティブを増やすのも効果的です。インセンティブを提供すればするほど、ユーザの声を得られる可能性は高くなります。

7.パネル調査

Google Consumer SurveysやPollfishな​​どのパネル調査ツールは有効です。パネルユーザーからターゲットを選択し、質問を入力すれば数時間以内に回答を得ることができます。幅広い層が支持している製品やサービスに最適です。

アクセス数が少ないサイトでもすぐできる!効果的なユーザテストのための戦略とは

アクセス数の少ないサイトにはテストは必要ないと思われがちです。その有意性を実感するのに時間がかかり、結局努力する価値がないと思われてしまうのです。しかしそうではありません。正しいやり方で行われていれば、何度もサイトをテストすることの価値やその効果に気づくはずです。

A/Bテストにどのくらいのコンバージョンが必要なのかは次にあげる要因に寄ります。

現状のコンバージョン率:
 コンバージョン率が少ないほど、テストをするだけの数値を検出にするには時間がかかります。

コンバージョン率の増加率:
 増加率100%であれば、増加率50%の場合より約4倍速く検出することができます。

統計的な信頼性がどの程度欲しいか:
 新しくしたページがたまたま勝利することができなかったということに99.99%の確証を得たいのだとしたら、長い期間が必要です。

そこでアクセス数がそれほどないサイトに必要なユーザテストのための戦略をいくつか挙げてみましょう。

戦略1:規模が大きく大胆なアイディアをテストする

アクセス数が少ないとき、かなりの変化をもたらすような規模の大きい大胆なアイディアをテストすることが重要です。訪問者が関心のあることをテストしてみましょう。彼らが主に目的としていることを改善するのです。彼らが喜ぶことを強調します。オファーを変更するか、あるいは訪問者に対してオファーがどのように表示されるかを変更します。コンバージョンを倍にする事柄をテストするのも半分にする事柄をテストするのも残念ながら大して違いはありません。

戦略2:「マイクロコンバージョン」を測る

コンバージョンのゴールを分布図として捉えましょう。分布図の右軸には理想としてあなたが望むもの―例えば純利益やCLV(顧客生涯価値)といったようなものを持ってきます。こういった指標はタイムリーではないことがあります。本当の価値が分かるのに数か月、あるいは数年かかることがあるからです。分布図の左軸にはCTR(クリック率)あるいはエンゲージメント率を持ってきます。こういった「中間」指標は数がはるかに多く、即座に測定できるものの、長期的な成功と相関関係があるとははっきり言いがたいです。あなたのウェブサイトのアクセス数が少なくなればなるほど、分布図の右側ではなく左側の「中間」指標に頼らねばならなくなります。

戦略3:メインのページでテストを行う

当然ですが、メインのランディングページやチェックアウトファネルページのように、ほとんどのお客様が見るページのみでテストを行いましょう。

戦略4:似通ったページはまとめてテストを行う

10のランディングページがあり、CTAボタンをテストしてみたいとしましょう。同じ変更をすべてのページに行い、まとめて同じテストを行います。中には必要以上にランディングページのある企業がありますが、恐らく彼らは各ランディングページに特定のキーワードがあるように作りたかったのかもしれません。私たちはよくそのようなページを1つに統合し、最適化します。

戦略5:統計的有意性による勝利宣言を減らす

95%の統計的有意性があれば、テストに勝利できたとするのが標準的ではありますが、95%以上ではないから勝ちだと判断できない訳ではないのです。 「95%の信頼性がないのなら、A / Bテストは一切実行しない」と結論づけるのは残念です。「私は完璧主義者だ。もし完璧にできないのならば、私は何もしない」と言っているようなものです。大抵の場合、消費者の「買う」「買わない」といったようなマーケティング判断は何の測定もせず行われているので、テスト終了時90%の信頼性しかない―たとえ85%の信頼性でも―としても可能性を排除しないでください。立ち上げたばかりのページと比較して、最善の結果を望んでいるような状態の場合は、特にです。確かに、誤検出の可能性はわずかに増加するものの、多くのアイデアをテストできるというメリットは、A/Bテストで勝てないページを宣伝するというリスクを低くするよりもはるかに重要なのです。

戦略6:一定期間テストを行う

多くのA / Bテストツールは現在、継続的にテストを監視し、勝者が決まれば教えてくれるようになっていますが、テストごとに最長期間を指定することもでき、その期間で勝者が決まらなければあなたが決定を行います。テスト期間が終了した時点でコントロールになっているもの(現状で最も反応の高いもの)が勝てば、それを宣伝します。挑戦者が勝ち、それが仮説検証に基づいていると確信できるなら、そちらを宣伝します。挑戦者がリスクのある仮説に基づいていた場合、選ばない方がよいでしょう。いずれにしても、このアプローチは経験の浅い企業のほとんどが行う決定方法よりも正確です。

戦略7:一時的でも良いのでテストが行われているページのアクセス数を増やす

たとえ収益を犠牲にしたとしてもです。新しいページに効果が出れば、思っているより収益が見込めるアクセス数になる可能性があります。

こういった計算ツールを使うことでA/Bテストの期間を試算することが可能です。

A/Bテスト以上にやるべきこと

前章で、訪問者を理解するためにユーザーテストを行うことを提案しました。さらにA/Bテストの実施に関わらず、ページの成果を測るためにユーザーテストを行うことを強くお勧めします。A/B-test-duration calculator(訪問者の規模や、目標とするコンバージョン率などを入力することで、最適なテスト期間を算出できるツール)が、すべてのテストを完了するのに6か月以上かかると算出した場合、ユーザーテストのみを行うことをお勧めします。ビジネスの規模が大きくなってきたらA/Bテストをしてみればよいのです。

ユーザーテストにはA/Bテストよりも沢山の、かつ大きな強みがあります

実施にかかる時間が短くて済みます:ユーザーテストなら10分かかりません。

質的な洞察を得ることができます:2か月もかかるA/Bテストはどちらのページがよかったかが分かるだけですが、10分で済むユーザーテストだと、なぜそのページがよかったのかという原因にまで迫ることが可能です。

粒度の細かい洞察を得ることが可能です:A/Bテストは単にどちらのページがいいかを示すだけです。これは全体ページにおいてたった一つの事実にすぎません。しかしユーザーテストならページのどの部分が功を奏しているのかを示してくれるのです。

アクセス数の多いウェブサイトで学ぶ

アクセス数の低いページを改善するのは暗闇の中で作業しているようなものです。フィードバックもなく何も見えていない状態です。だからこそあなたのやっていることを知る必要があります。アクセス数の低いページはCROを高める策を講じるには適していません。アクセス数の多いウェブサイトで学ぶ方が簡単です。

アクセス数が多ければフィードバックをリアルタイムで収集することが可能です。CROをよくしたいのなら高アクセス数のウェブサイトで仕事をする機会を得ればよいのです。アクセス数の少ないサイトがあなたのもので、アクセス数の多いサイトで仕事をするために長い休暇が取れないのであれば、アクセス数の高いページを持っている人物を雇い、この章はスキップします。

フィードバックをリアルタイムで得る価値には2つの理由があります。1つは短期間で繰り返しと改善をすることが可能だから、もう1つはサイトに磨きをかけてくれるからです。

多くの分野でトップパフォーマーは彼らのキャリアの中でリアルタイムにフィードバックを得ています。大成功を収めたムービーコメディアン達は、夜ごと聴衆の前でライブを行うことで、自らの発する言葉や動き、ジェスチャーに対するフィードバックを得て直観を磨いてきたのです。成功したバンドの多くは、聴衆が何が好きで何が好きでないかを聴衆の目の前で演奏しながら学びキャリアをスタートさせました。だからあなたがコンバージョン率を大幅に上げたいのであればアクセス数の多いサイトで働く機会を探し求めなければならない訳です。アクセス数が十分にあり、あなたの素早い行動に柔軟に対応してくれる会社で働くことが理想です。

そうするれば何がコンバージョンを上げ、何が下げるのかというコツをつかむことができるでしょう。

学びを得た後に、アクセス数の低いサイトを改善するのはずっと簡単なことなのだということがお分かりになると思います。

あとは上昇するのみ

この記事で書いたテクニックはとても有益です。起業したての会社やまだ経験の浅い企業が成長するのに近道はありません。敗北感を感じているのなら、成功した企業はみな一度はこのステージを通過しているのだということを忘れないでください。ここからはずっと物事が楽になってゆくはずです。

おわりに

ここから始まったこのシリーズもこれが最後です。

お読みいただいた皆さんはそれぞれのテクニックが持つ意味をご理解いただき、テクニックをどう組み合わせれば必要とする洞察が得られるのかがお分かりになったかと思います。多くのクリエイティブの分野で、実験の精神は大切です。あなたが初めて行う試みはまだ洞察に至っていません。あきらめないで!

トライ、修正、またトライ、修正、洞察を集約する、そして変化が生まれ・・・測定値の上限を超える結果が一つ得られるのです。


【PR:無料ダウンロード】UI改善の基礎>>
4つのデザイン構成要素を操り、優先順位をつけるための「レイアウト / 配置」「形」「色」「動き」について図付きで解説します(全45ページ)。

投稿日: 2017/10/31 更新日:
カテゴリ: LPO・グロースハック, UX改善