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「『UX』って意識高い系?」ゼロからはじめたUX文化社内浸透の取り組み

2018年11月27日、パーソルキャリア株式会社 大手町オフィスラウンジにて、ポップインサイト主催「第2回UX Potato」が開催されました。

「UX Potato」とは、「ポテトを食べながらライトにUXを学ぶ」場。UXをテーマに、いろいろな「人」や「取組み」と出会うことで、 UXをより実践していけるきっかけとして楽しんでもらうライトニングトーク会・勉強会です。

この記事では、「第2回UX Potato」の登壇内容を3回にわたってご紹介します。第2回は、株式会社ぺいじずで社内にUX文化を広めた取組みについての発表です。

株式会社ぺいじず デザイナー 島 翔氏

Webデザイナーとして就職。デザインやコーディング、ディレクションなどを兼務。 「作って納品するだけ」の受託制作に限界を感じていたとき、UXと出会う。 その後、2017年にUX DAYS TOKYO 認定 セルフユーザビリティテスト検定に合格。 現在は、リニューアル案件の提案や仕様策定に携わることが多い。 UXの社内勉強会を企画するなど、社内にUX文化を広めるため日々活動中。

「ただ作るだけ」でいいのか。「金額勝負」でいいのか。

本日は、ゼロから社内にUX文化を取り入れた経験をご紹介します。

UXを知る前、いくつかの悩みがありました。一つ目は、「Webをただ作るだけになってしまう」ということです。個々のデザイナーの判断でいいデザインが出来てはいるものの、これは本当にユーザーのためになっているのか、という疑問です。しかも(デザイン内容は)デザイナーの個々のスキル、判断力、センス、考え方に頼っていて、社内での共通認識が出来ておらずブレがあるような状況でした。これはデザインする組織としては辛いな、これでいいのかな、という思いを常に抱えていました。二つ目は、切実な問題として、金額勝負が多い、ということです。もちろんお客様にメリットはあるんですけれども、金額以外になにかもっとデザイナーとして価値を提供出来ることはないか、金額以外でも勝負出来る力を付けよう、と思っていましたね。こうした悩みを抱えていた時に出会ったのが、UXでした。

UXを紹介したら「意識高い系?」と言われた

最初に「UXというものがあるよ」と紹介した時の社内の反応は、まず、「技術的にウチでできるの?」というもの、また、上司からは、「予算と時間がね…」と言われました。さらに、完全にイメージだけで「意識高い系?」と言う人もいました。こういう反応は、自分自身の理解不足・説明不足にも原因があったと思いますし、内容や必要性が浸透していなかったという点もあると思います。

こういったところから始めたUXの取り組みですが、まず社外の取り組みとして、まず自分がもっと勉強する必要があると感じて、社外の勉強会に積極的に参加するようになりました。主に参加したのはUX DAYS TOKYOの勉強会です。座学だけでなく、ワークショップなどもあり、わかりやすい内容でした。また、こちらの勉強会では、「セルフユーザビリティテスト検定講座」も受けて資格を取得しました。

1回20分でもいいから社内勉強会をとにかく毎週続ける

社内の取り組みとしては、報告会を行いました。外で勉強してきた内容について、ミーティングなどメンバーが集まる時間を狙って報告し、内容を共有しました。また、とにかく記録を残そう、ということでレポートも作成し、バックログのWikiに蓄積して、報告の場にいなかった人、後で知りたい人などが閲覧できるようにしました。

一番効果が高かったのは社内勉強会です。勉強会自体は前年度から、私が提案して違うテーマで始めていたという下地がありましたので、この機会に「UX」をテーマにしてやってみようと改めて提案し、週に1回1時間と決めて開催しました。勉強会のスタイルは、UXに関する書籍を使った読書会と、自由なディスカッションです。「ノンデザイナーでも分かるUX+理論で作るWebデザイン」という、UX DAYS TOKYOの主催者の方が書いた書籍を全員に配布しました。デザイナーだけではなくて、職種や役職を越え、代表はもちろん、デザイナー、コーダー、ライター、営業と、とにかくいろんな人に参加してもらいました。

週1で1時間、と決めてはいたものの時間がない時もありました。しかし、そういう時でも、20分でも30分でもいいからやる、と決めていました。とにかく続けないと消えるなと思って、とにかく続けました。

1年以上じっくり続けて、ついに社内から「ユーザーテストやりたいね」の声が

こういったことを約1年以上続けた結果、効果が出始めました。社内の声の変化として、「ユーザーテストやりたいね」と。この言葉を聞いた時、すごく嬉しかったですね。時間は掛かったけれど取り組み続けて本当に良かったなと。さらに、予算を取る立場の人間も、「クライアントに提案しよう」「予算を取ろう」という動きになり、実際にクライアントに提案して予算を取るところまでこぎ付けてきました。理解して必要性を認識出来たからこそ、こうなったのかなと思います。

まとめますと、1番目が、じっくり活動を続けるということです。組織全体の意識が変わるのは時間が掛かります。ですので急がない。勉強会も忙しいとついやめそうになるんですけれども、わずかでも毎週続けることで、少しずつ意識が変わってきました。

2番目は、資格を取るということですね。セルフユーザビリティ検定講座を取った話です。社外へのアピールになることはもちろん、社内メンバーへの説得力にもなります。「UXの勉強しようよ」と声をかけた時に、この人はちゃんと勉強してるんだな、ということが相手にも伝わり、ついて来てもらいやすいと自分の経験から思います。

3番目は、UXについて話し合うということです。これは勉強会ですね。これがやはり一番大きかったかなと思います。社内のメンバーも、やはり勉強会があったからこそ、ここまでこれたんだよねと言っています。メンバーがそれぞれ自分自身で考えて話し合ったからこそ、共通の認識が出来たんじゃないか、必要性が生まれてきたんじゃないかなと思います。

UXが自分達の仕事に直接どう結びつくのか、分からないところからスタートし、「聞くだけ」でも「読むだけ」でもなく、自分達でディスカッションすることで必要性を感じるようになりました。自分達ウェブ制作会社の業務の中で(UXに)どういう必要性があるのか、ということをくみ上げた、ということです。

こうした取組みで本当に仲間が増えました。ゼロから、これから、社内にUX文化を取り入れたいと思っているかたや、もうちょっと理解者増やしたいというかたがいらっしゃいましたら、ぜひ参考にして頂ければ嬉しいです。

ありがとうございました。

 

投稿日: 2019/01/29 更新日:
カテゴリ: UX改善