ABテストのやり方。ABテストで成果を上げるために、押さえるべきたった1つのこと
Webサイトの改善にはABテストが有効らしい…それはわかっているけど、具体的にどう進めたらいいか、何から始めれば成果があがるのかと二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、
・どのようなポイントを押さえれば成果があがりやすいか
に着目し、ABテストで成果を出すために必要なたった1つのことをお伝えします。
ABテストの成功事例と失敗事例
成功事例
まずは、ABテストの成功事例をひとつご紹介しましょう。
<企業目線の文言をユーザー目線の文言に変更してクリック率をあげた事例>
出典元:MARKEiT
以下のように課題を洗い出し、仮説を立てて、改善案を作成してABテストを行うことで、クリック率1.35倍にした株式会社ガイアックスの事例です。
(課題)
サイト上の資料ダウンロード数を増やすため資料ダウンロードページへの遷移率をあげたい
(仮説)
ダウンロードページを開くためのヘッダーメニューの文言が[資料ダウンロード]という企業目線のものであるためプレミアムコンテンツであると認識されていないのではないか
(改善案)
ユーザー視点に立って文言を[お役立ち資料]とする
(テスト結果)
Aパターン:[資料ダウンロード] 4.57%
Bパターン:[お役立ち資料] 6.17%
▼ABテスト事例-「ダウンロード資料」の名称変更でクリック率1.35倍(MARKEiT)
このような成功事例がある一方で「やってみても思ったような結果がでない」というケースもたくさんあります。成果があがるABテストを実施するポイントはいったいなんでしょうか?
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数あるUXリサーチ手法の中でも最初に始めやすい「ユーザビリティテスト」の「基本的な設計・実査・分析の流れ」と「実施の進め方や注意点」を解説します。
ABテストの全体の流れ
ABテストは次のような流れで進めます。
仮説を立てる
サイトの現状と課題を分析し、テストを実施するページとテスト箇所を決め、仮説を立てます。
<例>
・課題=トップページの直帰率が高い
・仮説=ファーストビューにあるキャッチコピーがユーザーのニーズにあっていない
テストパターン作成
仮説に基づき、テスト用のページをAパターン・Bパターンにわけて作成します。
<例>
キャッチコピーのみを変えて、その他は同一のページを2パターン作成
ABテスト用のツールを使う場合は、この時点で用途に合わせてツールを選定します。ツールによってテストパターンの作成方法が異なる場合があるので注意しましょう。
テストを実施
テスト時期やテスト期間などを決めてテストを実施します。
テスト結果を検証
最後に、テストの結果を検証します。最初に立てた仮説が正しかったか、想定したような結果が出なかったとすれば何が原因かを検討します。そして検証した結果を次のテストに活かします。
この流れを繰り返すことで、サイト全体の改善につながっていきます。
仮説を立てる流れ
全体の流れのなかで最も重要なのは、一番最初の仮説を立てる工程です。テスト前にどれだけ良質な仮説を立てられるかが、ABテストの成果を左右します。的外れな仮説でやみくもにテストを乱発しても成果は出ません。
では、仮説の立て方についてさらに詳しく見ていきましょう。
<仮説を立てる流れ>
現状分析と課題の洗い出し
アクセス解析を使ってサイト内でのユーザーの動きや離脱率、クリック率などを調べ、サイトの現状を把握し、課題を洗い出します。
テストするページを決める
把握した内容をもとにテストするページを決めます。テストページの見極めも成果を左右するポイントの一つです。テストの効果が大きいページを選びましょう。
仮説の決定
テストするページが決まったら、課題を解決するためにページ内のどこを変えればいいかについて仮説を立て、どれを採用するか決めます。なお、1回のテストに際して仮説は1つだけというのが鉄則です。
改善アイデアを出す
仮説を立てたら、テストパターンを作るための改善アイデアを出していきます。
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成果が上がる仮説の立て方
仮説を立てる際には、どのようなポイントを押さえれば成果があがりやすい仮説になるのでしょうか。
複数の視点で課題を洗い出す
課題の洗い出しでは、「自社の視点」「専門家の視点」と「ユーザーの視点」の3つからサイトの現状を分析することがポイントです。
自社の視点
サイトを運営するなかでこれまで蓄積してきた課題や、社内の担当者から見た課題を洗い出します。WEB担当者のみではなく、ユーザーと接点のある部署の意見を取り入れると視点が広がり、様々な課題を発見することができます。
専門家の視点
専門家の視点で課題を洗い出す方法として「ヒューリスティック分析」があります。ユーザビリティの専門家にチェックしてもらうためコストがかかりますが、素早く課題を洗い出すことができます。自社内に改善ノウハウを蓄積するという意味でも有効です。
ユーザーの視点
サイトを利用しているユーザーにヒアリングやインタビューを行ったり、ユーザーテストを実施して、ユーザー視点での課題を洗い出します。冒頭の成功事例でもご紹介したように、ユーザー視点で考えることは、ユーザーのニーズに沿った改善を行うためには外せないポイントです。
【押さえるべきたった1つのこと】行動データと心理データの両方から仮説を立てる
課題の洗い出しや仮説立案の際は、行動データと心理データの両方を把握することが重要です。行動データのみでは「ボタンの改善」「レイアウトの変更」といった浅い仮説とユーザー視点に欠けた改善アイデアにとどまってしまいがちですが、心理データを把握することでユーザーのニーズを汲んだ精度の高い仮説と改善アイデアを出すことができます。
行動データとは
行動データは、「サイトの中でユーザーがどのように動いたか」を示すデータです。
行動データを分析するには、アクセス解析やヒートマップを使います。アクセス解析はサイト単位・ヒートマップはページ単位でユーザーの行動を分析できます。
例えば、アクセス解析を使うと、ユーザーがどのページを通ってコンバージョンページにたどりつくのかという経路を調べ、各ページの離脱率を見ることでボトルネックとなっているページがどこであるかの仮説を立てることができます。
ヒートマップを使うと、ボタンやバナーなどの要素をページ内のどこに配置するのが最適かといった仮説を立てることができます。
心理データとは
一方、心理データは「ユーザーがなぜそのように行動したか」を示します。どんなことを思って、どのような考えでボタンをクリックしたのか、ページを離脱したのかという理由付けのデータです。
心理データを分析するには、実際にサイトを使ってもらって様子を見るユーザビリティテスト(ユーザーテスト)が有効です。
アクセス解析ではどこを改善すればいいかを数値的に把握することはできますが、どのように改善すればユーザーのニーズにマッチするかという仮説を立てることは困難です。
そのため改善アイデアは担当者の勘に頼るということになりがちですが、ユーザビリティテストを実施してユーザーの声を聞くことで「どのように改善すればいいか」という改善案が出しやすくなります。
また、アクセス解析やヒートマップのみでは「現状サイトにあるもの」を分析することしかできませんが、ユーザビリティテストでは、”ここでこういう内容が知りたい”といった「現状足りないもの」も課題として把握することができます。
スピード感を持って数をこなしていくことも大事とされるABテストですが、最初だからこそ精度の高い仮説をもってテストを行い、成果を出したいものです。初回のテストでわずかでも改善できればプロジェクトにはずみがつきますし、失敗したとしてもその知見を活かすことで2回目以降につながっていきます。いろいろな側面からサイトの課題や改善箇所を見極めて、仮説を立ててみてくださいね。
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ABテスト国内外の事例
ABテストの流れや重要ポイントがわかったところで、事例を見てさらに理解を深めていきましょう。
オバマ前大統領が実際におこなって成果をあげた7つのABテスト事例
参考記事:日本のネット選挙は6年遅れ!オバマ大統領による7つのA/Bテスト、ウェブ活用事例を一挙紹介!
選挙時にネットを有効活用して成功したことで有名なオバマ前大統領。メルマガ登録率40.6%、コンバージョン率14%アップといった成果をあげたABテスト内容が紹介されています。ボタンの名称や画像の変え方といった具体的な調査方法が参考になります。
国内での成功事例8つがわかるまとめ記事
参考記事:【成功事例】日本国内で成果が出ているABテスト8選
国内で成功したABテストの事例がわかります。文言を変えるだけで大きな成果をあげている事例もあり、すぐにでも取り入れられるヒントが手に入りますよ。
ABテストがさらにわかる!おすすめ記事
ABテストでより充実した成果をあげるために、調査前に読んでおきたい記事をご紹介します。
ABテストの前おこなうとリスクを減らせる仮説構築とは?
この記事では宣伝会議社より発売されている『マーケッターとデータサイエンティストが語る 売れるロジックの見つけ方』をもとに、LPO施策のためには仮説を立てユーザーテストで調査することが重要であること、そしてそのポイントや調査の注意点がわかりやすく紹介されています。
成果を出すためのABテストの方法~やみくもにA/Bテストを連発してはいけない3つの理由
ABテストでつまずきやすい3つのハードルを乗り越える方法
ABテストを行う上でハードルとなる3つのポイント「仮説立案力」「優先順位の説明力」「テストパターン実装力」について、解説と対応方法が書かれています。ABテスト成功のための5つのステップも合わせてご覧いただけます。
Optimizely創業者に学ぶ、ABテストの成功を阻む3つのハードルと対応方法
Google Optimizeの利用前にチェックしてほしいポイント
出展/引用:WPJ
2016年10月14日〜10月20日(※一部期間例外)に公開されたWebマーケティング関連記事をポップインサイトのスタッフがピックアップしてご紹介しています。「A/Bテストの9割が失敗!? Google Optimizeを使う前に知りたい5つの誤解」は必読です。
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