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なぜ営業フックとしてユーザーテストが有効か

ユーザテスト(ユーザビリティテスト)は「クライアントから受注した上で実施するもの(売り物)」という認識が一般的だと思います。しかし最近弊社では、クライアントへの売り物ではなく、クライアントの信頼獲得ツールとして販促費用でユーザテストをご実施頂くケースが増えています。

今回は、営業フックとしてのユーザテスト活用が増えている背景や、効果的な理由をご紹介したいと思います。

ユーザテストについて
ユーザテストって何?という方は、「ユーザビリティテストはなぜ重要か」の記事で詳しく解説しています。

「刺さる営業フック」が求められている

ウェブ系サービスの営業では、「クライアントにWeb知識がない」「競合との差別化が難しい」といった外部環境と、若い業界で「営業経験者が少ない」という内的環境から、営業においてクライアントからの「信頼を得るのが難しい」業界と言えます。

そのため、営業現場では「強力な営業フック」が求められており、そのツールとしてユーザテストが使われるケースが増えているのです。

具体的な活用例としては、提案段階で、1~2名程度の少人数のユーザテストを勝手に実施し、その結果を元に課題指摘&改善提案を行うことが多いです。


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「使える営業フックツール」の4つの条件

なぜユーザテストがこのような営業フックとして使われているのでしょうか? その理由を考えるために、「使える営業フックツールの条件とは何か」を考えみます。

営業フックの条件1. 顧客起点である

最も重要な要件は、顧客の視点や前提知識に沿って話がしやすいツールであることです。

多くのWeb系ツールは、難しいテクノロジーや專門用語が多くあることで、多くのクライアントからすると「よくわからない」と感じられてしまいます。

一方で、ユーザテスト結果は、「クライアントにとっての顧客」の視点で課題指摘ができ、Webの専門用語でなくクライアントの業界用語で課題指摘ができるため、お客様にとって「分かりやすい」形で課題が提示できます。

営業フックの条件2. 新鮮な情報である

お客様は様々な企業から営業を受けています。そのため、ありきたりな情報や、どこかで聞いたことがある事例を並べても、関心を高めることはできず、これまで知らなかった情報、目から鱗がでる情報提供ができる必要があります。

例えばSEO商材などは、多くの競合企業が日夜営業活動に勤しんでいる結果、多くのクライアントにとって「よくある話」になってしまっています。

一方、Webサイトを運営している企業の中でユーザテストを行っている企業(行ったことがある企業)は非常に少ないため、動画という目新しさも相まって、とても「新鮮」な情報に見えます。課題指摘の内容が当たり前のものであっても、「やっぱりそうだよね」とクライアントの認識を強化する手助けになります。


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営業フックの条件3. 具体的な情報である

ウェブ業界は、アドテクを中心に日進月歩の世界で、様々な理論や方法論が日々創出されています。しかし、お客様からすれば、小難しい理論を話されても全く理解できません。

営業を成功させるためには、クライアントが「具体的に、何が課題か」「何をすればいいか」がイメージしやすい必要があります。

ユーザテスト結果は、「何が課題か」が極めて明快な形で提示されるので、同時にどう改善すればいいかも提示できるケースが多いです。

営業ツールの条件4. 全体観がある

ほとんどのお客様は「ウェブでの成果」全般を担っているため、「集客を増やす」「直帰率を減らす」等の個別事象よりも、「いかにウェブの成果をあげるか」に関心があります。そのため、個別領域に終始した提案でなく、ウェブマーケティング全体を捉えた話が出来る必要があります。

ユーザテストは、「ある1人のユーザの視点における集客~接客までの流れの中での課題」を提示できるため、特定領域に偏った話ではなく、全体感を提示しやすいという利点があります。

ユーザテストは成功の4条件を満たす営業フックツール

ユーザテストを、クライアントに依頼されずに自主的に行うことで、紹介した4つの条件を全て満たすことができます。

1. ユーザテストは「顧客の顧客」の話ができる

ユーザテストを行うと「顧客の顧客」の心理や気持ちを把握することができます。これにより、顧客の言葉で、顧客にとって関心がある話をすることができます。

前職時代に「卒業式用の着物」を扱うウェブサイトに提案することになりました。しかし、男性の私には着物の選び方や何を気にするか等、全く分かりません。
そこで、自分の母親に対して、妹の着物をどのように選ぶかを聞くために、簡単なユーザテストを実施しました。
その結果を簡単にまとめ、「母親の言葉」を借りながらクライアントに対して改善提案を行うと、その直後にクライアントから「着物について、よく勉強してますね」と感激の声を頂戴しました。実際のところは、私は母親の言葉をそのまま使っただけで詳しいことは知らなかったのですが…。全く知らない業界であっても、「その業界のユーザ」の言葉や心理を知ることで、短時間に顧客起点の話しをすることができます。


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2. ユーザテストは「新鮮」である。

ほとんどのお客様は、ユーザが実際に自分のサイトを操作している様子を見たことはありません。

そのため、ユーザテスト結果(動画)を少し見せるだけでも、極めて新鮮な印象を受けます。

3. ユーザテストは「具体的」である。

ユーザテスト結果では、ユーザが顧客サイトや競合サイトを見ながら、良い点・悪い点・その理由を画面とともに具体的に話しています。そのため、誰もが直感的に理解できる具体的な情報となります。

4. ユーザテストは「全体観(シナリオ)」がある。

ユーザテストは、単に自社サイトを使うだけでなく、その前提として検索サイトを使ったり、競合サイトを閲覧することができます。そのため、特定のページや要素だけの話をするのではなく、検討行動全体を捉えた上での課題を指摘しやすいのです。

提案前ユーザテストの実施方法

提案前ユーザテストは、大きく2つの実施方法があります。

実施方法1. 自前で行う

提案に行く前に、同僚や友人・家族などに対してユーザテスト(簡易テスト)を行う方法です。「コストがかからない」「慣れれば小一時間程度の時間で済む」「テストを通じて同僚や家族の色々な側面を知れる(仲良くなる)」といったメリットがあり、入り口としてオススメな方法です。

自社で行う際の具体的な実施方法やコツは、「スタートアップのためのユーザテスト入門」としてご紹介しておりますので、ぜひご参考に!

実施方法2. 手軽なリモートユーザテストを行う

提案用途に絞ったユーザテストとしてご発注頂く方法です。

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今回は、営業提案フェーズで、「フック」としてユーザテストが活用される背景や理由をご紹介しました。実際に、この方法を取り入れることで、提案後の成約率が10%以上改善した企業や、受注金額が1.5倍に引き上げた(付加価値を高められた)成功例が多数でてきております。ぜひともご活用頂ければ幸いです!


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投稿日: 2016/09/20 更新日:
カテゴリ: ユーザーテスト、ユーザビリティテスト