トヨタ自動車のトップも実践中!「ドッグフーディング」の大切さ
2014年6月12日に放映された「カンブリア宮殿」を久々に見返していました。
ご存知の方も多いかと思いますが「カンブリア宮殿」は、ゲストとして招かれた各界の経営者、著名人と私の大好きな作家でもある村上龍との対談を中心として構成されるドキュメンタリー番組です。
「25兆円企業 トヨタ復活劇の真実!~豊田章男 激動の5年~」と題されたこの回では、章男氏の仕事に向かう姿勢と就任以来多くの試練を乗り切ったトヨタ自動車の内幕が紹介されています。
番組冒頭、一見何気なさそうなシーンに私は非常に強い興味を覚えました。当該部のやりとりを簡単に示します。
(章男氏が小型車Vitzに乗り込み、運転しているシーン)
番組:普通に所用でハンドルを握られるのですか?
章男氏:そういうことは割とありますよ、なんで?
番組:あんまりイメージじゃない…。
章男氏:イメージ、それはマズイと思いますよ。だって自分のところの商品でしょう。よく「車乗るんですか?」と聞かれるが、「何を言ってるんですか?」といいたくなる。
私にはこの「何を言っているんですか?」の後、「ユーザの視点を保つ努力を放棄するなんて、ありえないでしょう?」という言葉が続くかのように思えたのです。
番組中、幾度となく章男氏が自社商品を運転するシーンが映されています。Vitzのような大衆車から、特殊なレーシングモデルの車両まで、いずれもご本人が運転されている姿が強く印象に残った番組でした。
もちろん、章男氏はあらゆる意味で「トヨタ自動車の普通のユーザ」ではありませんし、章男氏がユーザ視点を保とうとしているからといって、もうユーザテストを行う必要がない、ということにはならないでしょう。トヨタ自動車は独自の手法で製品に対するユーザテストを徹底して行っていることと思います。
それとは別に、年商25兆円、従業員33万人という日本最大企業の長である章男氏が自ら「ドッグフーディング」をしており、「ユーザ視点」を忘れずにその日常生活に取り入れているという事実に、改めてその重要さを見せつけられた思いでした。
規模は全く違いますが、「リモート・ユーザテスト」のパイオニアを自認する一企業として、上に示した章男氏の姿勢に通ずる組織文化がポップインサイトには根付いています。
代表的なものを3つ紹介いたしましょう。
経営者自身によるドッグフーディング
ドッグフーディングとは、ツールやサービスなど商品をまずその作成者が利用する行為を指す言葉です。作成者が「作り手」の立場を離れ「使い手=ユーザ」の立場に立つ試みということで、ユーザテストと一脈通じる考え方であるといえます。
弊社CEOの池田はリモート・ユーザテストにおける「効率的な定性分析」を実現するため、オリジナルの分析ソフトウェア「ポップンツール」を開発しましたが、開発後も池田自身によるドッグフーディングと運用現場のスタッフへのヒヤリングを繰り返すことで、「ポップンツール」は日々より使いやすく、より高い効率性を実現するツールへと進化し続けています。
開発チームが自ら運用を担当することによる、より高次元なシステム最適化
CTO喜多を中心とする優れたエンジニアたちによって構成される弊社開発チームは、驚くべきことに運用の一部を実際に受け持ち、調査設計からクライアント企業への納品まですべてのプロセスにタッチしています。
一見すると非合理に見えるこの体制ですが、なにもマンパワー不足などに苦しんだ末にやむなく生まれたものではありません。
「テクノロジーを現場の隅々にまで丁寧に縫い込むことで、業務の創造性は最大化される」というCTO喜多のモットーの表れとして、このような運用体制を敷いているのです。
その結果として、
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- 運用チームから共有された課題は開発チーム内で迅速に吟味され、必要があると判断されれば当日中に問題が解決されることもある
- 運用チームと開発チームの間で「言語の共有」が日々行われており、コミュニケーションのコストが低く、精度が高い
- チームの間に垣根がなく、社内の雰囲気がとても良い
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という非常に風通しの良い社内風土が形作られることとなりました、積年の大問題とも考えられる「現場と技術者間の断絶」を克服することができたのです。
もちろん、開発チームに過度な負担がかからないよう、運用チームとの連帯強化や、ワークロード管理も並行して厳しい視点で行っています。
弊社採用ページを対象とする弊社サービスの活用
弊社サービスの商品力を身をもって確認するため、時折「自社サイト・ページに対する調査」を行っています。
最近では私が担当するインターン採用ページを対象として調査を実施しました。
調査設計から私が担当したのですが、やはり自分の視点だけでは知りえないたくさんの「死角」が浮き彫りになり、冷や汗をかくとともに、強力な改善の手立てを得ることができました。
せっかくですので、以下に実際の調査結果の一部をお見せします。(こちらは弊社調査オプション「発見点マップ」と同様のアウトプットです)
学ぶところが非常に多く、結果としてポップインサイトの調査の威力を再確認する良い機会となったと感じています。
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