【2021年版】銀行業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)
医療業界などと異なり、金融業界では構造化された定量データを扱うことが多いため、プロセスのデジタル化や自動化がしやすいといわれています。
しかし、これは諸刃の剣といえます。金融機関は、他の業界に比べてより効果的なデジタルトランスフォーメーションの取り組みを行うことができる一方で、外部者が金融機関に参入することも容易なのです。
本記事はAIMultiple社より許可を得て翻訳したものです。
元記事:”Digital transformation for banking in 2021: In-depth guide”, January 1, 2021
数多くのテックジャイアントやフィンテック企業がビジネス進出しようとしていることを考えると、銀行はデジタルトランスフォーメーションの取り組みをより強化し、機械学習、自動化、ブロックチェーンなどの技術を迅速に採用する必要があります。
目次
なぜ金融サービスにおいてデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要なのか?
銀行は顧客体験の変化に適用していく必要がある
テクノロジーの進化に伴い、お客様の行動や期待も変化しています。
Everfi社のレポートによると、金融機関利用者の半数以上(53%)が主な金融機関を変更しており、さらに9%が変更を検討していると答えています。
銀行は、既存の顧客を維持するために、顧客が求めるものを提供する必要に迫られています。
顧客が望んでいるのは、自分がいる場所に銀行が来てくれることです。
17,000人以上の金融機関利用者を対象としたDeloitte社の調査によると、22%の利用者は、月に10回以上、オンラインやモバイルアプリのチャネルを利用しています。
つまり、利用者が最も頻繁に利用するチャネルはデジタルになっており、金融機関はデジタル分野にもっと投資したほうがよいことがわかります。
金融機関はポテンシャルを十分に発揮できていない
銀行員は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を認識しているものの、デジタルを最大限に活用するにはまだ長い道のりがあると考えています。
BCGが金融機関を対象に実施した調査結果では、回答者の86%がデジタルテクノロジーへの投資は競争力を得るために正しい戦略であると答え、43%が自分の組織のデジタル活用能力はマーケットリーダーには程遠いと考えています。
また、回答者の86%は、技術インフラが複雑で、それが利用者とのコミュニケーションの妨げになっている可能性があると回答しました。
ゴールドマン・サックスのような大手銀行は、テクノロジーへの投資を積極的に行っています。下のグラフは、ゴールドマン・サックスの採用状況を示したもので、採用した人材の半数がテクノロジー関連の職務に就いていることがわかります。
デジタルネイティブな外部参入者やテックジャイアントとの競争が激化
銀行でも他の業界と同様に競争が激化しており、GoogleやAppleなどのテックジャイアントも金融サービス業界に参入する機会をうかがっています。
2019年、Appleはクレジットカードを発売し、Googleは消費者向け銀行口座の導入を計画しています。
テックジャイアントが銀行に関わることは、銀行にとって脅威です。なぜなら、これらの企業はDXやデータ分析に関する専門家でもあるからです。
彼らは膨大な個人のデータを持っており、その利用方法も知っています。もしテックジャイアントが金融サービスへの投資を続ければ、銀行が競争力を高めることは難しくなるでしょう。
下のグラフは、銀行業務の収益ベースの魅力と、テックジャイアントがどの程度適合するかを示しています。リテール預金、中小企業向け決済、顧客資産管理、企業預金、銀行間決済などが、テックジャイアントが投資したいと考える銀行業務です。
現在、銀行が提供するほぼすべてのサービスを提供できる参入者が多数存在しています。下の図は、ある銀行のウェブサイトと、そのデジタルネイティブな競合他社を示しています。
金融機関におけるDXの意味とは?
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、市場や変化するビジネス要件に対応するために、デジタル技術をビジネスのあらゆる側面に統合していくプロセスです。
この目標を達成するために、組織はシステム、プロセス、組織、文化を更新する必要があります。
銀行のDXでは、オンライン化やデジタルサービスへの移行に加えて、デジタル化と自動化を推進するためのバックエンドの仕組み変更が必要です。
デジタルネイティブ企業に対抗するために、銀行は必要なテクノロジーを統合し、エンドツーエンドのデジタル体験を顧客に提供する必要があります。
金融機関が優先的に取り組むべきデジタル戦略の目標は?
マッキンゼーの調査によると、世界の金融サービス企業の経営者は、DXプロジェクトの最優先事項は顧客体験の向上であると考えています。
回答者の16%がDX戦略において生産性やオペレーションコストの削減を優先するとしている一方、76%は顧客への投資を重視しています。
まとめ
いかがだったでしょうか。金融業界のDXはまだまだ膨大な可能性が秘められた領域です。
他社の取り組みを真似するだけで破壊的イノベーションから逃れることはできるでしょうか?フットワークの軽いfintech企業が行うDXと、信頼やネットワークを強みとしてきた大手銀行が行うDXが同じでよいのでしょうか?
本文にあった通り、見つめるべき共通点は「顧客が望んでいること」を適切に、迅速に掴んだ企業が成功を収めているということです。
顧客の欲求が尽きてなくなることはあり得ません。まだ満たされていない顧客の欲求を発見し、自社だからこそ提供すべき顧客体験の創造・変革を行うことが重要です。
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