UXデザインで「顧客の声は鵜呑みにすべきでない」理由とは?
「UXデザイン=ユーザの意見を尊重すること」と認識されている方は多いのではないでしょうか。 しかし、「ユーザーを理解すること」と、「ユーザーの声をそのまま聞く(鵜呑みにする)こと」は大きく違います。
「鵜呑みにしない方がよい」ことの理由としてよくされる説明は「ユーザは、自分の考えを言語化できない」というもので、これは非常に重要です。
- 「意見」ではなく、「行動」でユーザーを知ろう
- ユーザーの「意見」はあてにならない
本記事では、さらにもう1つの理由として、「ユーザが考えを適切に言語化できている」場合であっても、なお「鵜呑みにしない方がよい」理由を考えたいと思います。
目次
ユーザの意見を鵜呑みにすべきでない、もう1つの理由
たとえばあるWebサイトに対して、以下のような要望があるとします。
- もっと商品画像を増やしてほしい
- 画面が長いので、短くしてほしい
- カテゴリ検索機能をつけてほしい
これらの言葉を鵜呑みにすると「画像を増やそう」「コンテンツを減らそう」「機能を追加しよう」ということになりますが、果たしてこれらを行うことで、ユーザの「要望」は本当に満たされるのでしょうか?
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「課題」と「要望」は違う
ポイントは「課題」と「要望」を異なるものとして考えることです。 「要望」に対して、「なぜ?」と理由を把握する過程で「課題」が浮かび上がるという言い方もできるでしょう。 先ほどの例では、以下のように考えることができます。
「要望」は「サイトをこうしてほしい」というサイトの話をしているのに対し、「課題・理由」では「~したいのにできない」というユーザの話をしています。
「課題」に対して、「改善方法(UX設計)」は無数にある
課題・理由は、一見ただの要望の裏返しに見えますが、実は全く異なります。 1つの課題に対して、改善方法は無数にあるのです。要望は「数ある改善方法の1つ」に過ぎません。
ユーザは専門家ではないので「最適な改善方法(UX)」は分からない
ユーザが何らかの困っていること(課題)がある場合、たいていは「こうすればいいのに(要望)」も思いつきます。 しかしその要望は、課題を解決するための数ある改善方法の1つに過ぎません。 当然ながら、ユーザは専門家ではないので、複数の改善方法を考えることはしませんし、その責任もありません。
課題に対して、様々な改善方法の中から最適な改善方法(最適なUX体験)を見出すのは、サービス提供者の責任です。 しかし、実際のビジネスの現場では、要望から課題に遡るプロセスを経ずに「ユーザが~が欲しいと言っているから作ろう」となってしまっているケースが散見されます。 これでは「要望の裏にある課題を捉える」「課題に対する最適な改善方法を考える」という、問題解決者としての責務を果たせていないということになってしまうでしょう。
まとめ
ユーザの意見を鵜呑みにすべきない理由として、3つの理由が挙げられます。
・「課題」と「要望」を異なる
・「1つの課題」には「無数の改善方法」がある。「要望」は数ある改善案の1つ
・ユーザは専門家ではないので「最適な改善方法」は分からない
そして、ユーザから「要望」をもらった場合は、
1.要望の裏にある課題・原因を確認
2.課題・原因の改善方法を考える
3.改善方法のうち最適なものを選ぶ
というプロセスを行うことが肝要です。
だから、定性的なリサーチアプローチが大事
上記のように「要望」と「課題・理由」を分ける発想を持つと、アンケートだけに頼ることの危うさがよく分かります。 店舗でのアンケートや、ネット問合せデータをご覧になったことがある方ならわかると思いますが、これらの回答データはほとんどが「要望」になっており、その裏にある課題・理由は推察しかできません。
ポップインサイトでは、上記の考え方に則り、しっかりと「課題・原因」が分かるような調査設計・実査・分析を行うことで、短期・低コストでありながら、アンケートとは一線を画すインプットを提供可能です。
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