UXリサーチの実態調査:UXリサーチャー169人の回答を徹底分析!

【作成】2019/12/17   【更新】2019/12/26 

本記事では、米国User Interviews Inc.がUXリサーチャ169名を対象に実施したアンケート調査をご紹介します。UXリサーチャーは、どんな情報や知識を得て、どういったリサーチを実施しているのでしょうか。

元記事:The State of User Research Report 2018 
by Carrie Boyd  ※著者許諾のもと翻訳

ユーザリサーチの実施数は増加し続けています。 そして、ユーザから得たフィードバックやインサイトをサイト内の重要ページに反映する企業は増え続けています。

我々は、2019年の初めに、ユーザリサーチの現状を把握するため169人のUXリサーチャー(就業時間の10%以上でユーザリサーチに従事)を対象にアンケート調査を実施し、ユーザリサーチを実施する上での時間の使い方、手法などを調査しました。

ここからは、調査結果のハイライトと、調査結果の詳細をグラフとともにご説明していきます。

調査結果ハイライト

1. より多くのユーザリサーチをすべき

UXリサーチャーの75%は、自社では十分なユーザリサーチを実施していないと回答しました。また、より賢明な意思決定のためにユーザリサーチをさらに活用できる余地がある、と回答したリサーチャも75%でした。 企業はユーザリサーチをより習慣的に実施するようになっており、業界で勝ち抜くためにはユーザリサーチを最大限に活用できるようリサーチチームを強化することが重要です。

2.ユーザリサーチは「顧客のニーズ理解」「より良い意思決定」に役立つ

UXリサーチャーの40.7%は、ユーザリサーチの一番のメリットはエビデンスに基づき意思決定できることだと回答しています。 また、ユーザリサーチの目的は、「顧客のニーズを理解するため」が最も重要度が高く(5段階評価で4.6)、次いで、「開発の初期段階における仮説検証」(5段階評価で4.4)という結果でした。「顧客ニーズの理解」が第一位となったことは、喜ばしいことでした。

3.UXリサーチャーはユーザリサーチが効果的だと感じている

UXリサーチャーは、ユーザリサーチの実施は非常に有効であると評価しています(10段階評価で7.5)。ただし、この評価と、UXリサーチャーとしての満足度の間には高い相関があります。

ユーザリサーチの有効性について、「仕事が充実している(7段階評価で5以上)」と回答したUXリサーチャは平均7.9と評価した一方で、仕事への満足が低いUXリサーチャは6.5と評価しました。仕事への満足度とユーザリサーチの有効性評価の因果関係については、どちらが原因でどちらが結果なのかの判断は難しいですが、どのようにすれば、リサーチチームが自らの調査をより効果的と感じ、また自らの役割が充実していると感じるかについては後段で述べたいと思います。

4.初期段階の仮説検証が最も重要

UXリサーチャーの88.7%が、ユーザに見てもらえる何らかの素材があった場合、デザイン・プロトタイプフェーズといった初期段階でユーザリサーチを実施したと回答しました。 また、84.5%はデザイン・プロトタイプフェーズより前の段階でユーザリサーチを実施していました。
ユーザリサーチの主目的である「顧客ニーズの理解」に最適なタイミングは、デザインより前のフェーズです。 88.7%と84.5%の違いはわずかではあるものの、今後はデザイン以前のユーザリサーチ実施が100%となるよう願っています。

5.最も利用する手法はユーザインタビューとユーザビリティテスト

UXリサーチャーは通常、さまざまな手法でリサーチを実施していますが、最も多く利用するのはユーザインタビューとユーザビリティテスト(モデレートつき)でした。 ユーザインタビューはUXリサーチャーの95.6%が、ユーザビリティテスト(モデレートつき)は91.1%が、いずれも月1回以上実施していることがわかりました。これらの手法は、リサーチチームの大小を問わず、少額の予算と限られた時間で、誰でも実施することができます。

6.ユーザリサーチの多くは自社ユーザを利用

UXリサーチャーの30.2%は半数以上のリサーチを自社以外のユーザで実施、54.6%が自社ユーザで実施しました。74.5%は自社と他社両方のユーザを組み合わせたと回答しました。 まず調査を実施することが重要なので、定期的な研究を行う上では、身近にいる自社ユーザを利用することは良い方法です。 一方、見込みユーザは、自社製品への思い入れが無くバイアスのかかっていない意見を持っているため、より重要なインサイトを得ることができます。

7.「リサーチャー」でなくてもリサーチはできる

UXリサーチャーの50.5%は、社内にはリサーチ専任者以外にもリサーチをするメンバーがいると回答しました。さらに、35.7%がユーザリサーチはひとつのグループやチームだけで担当しているわけではないと回答しています。 実際、UXリサーチャーの35%は、リサーチ関連の肩書を持っていないにも関わらず多くのユーザリサーチを実施しています。さまざまな領域の専門家がユーザインサイトを発見し活用しているということは、大変興味深いことです。

8.UXリサーチャーの最も大きな不満は予算

UXリサーチャーの最も大きな不満は、予算不足でした。UXリサーチャーの22.1%が、リサーチ実施するための十分な予算やリソースがないことを最も不満に感じていると回答しました。また、UXリサーチャーの20.5%が、月間予算が0〜99ドル(約0~1.1万円/1ドル=108円で換算)であると回答しています。少額の予算でも優れたユーザリサーチを実施することは可能であるものの、自社以外のユーザを対象としたり、定量データ収集し分析するといった場合、月間予算が99ドル以下では厳しいと考えられます。

9.UXリサーチャーは自身の業務に満足している

UXリサーチャーの自身の業務に対する満足度は、平均で7段階中5.1でした。75.2%が満足度を5以上と評価しましたが、この評価には、リモートワークであること、企業規模が小さいこと、社内におけるユーザリサーチの優先度、などの要因が相関していました。

調査詳細1:そもそもなぜユーザリサーチを実施するのか

UXリサーチャーの75%が、十分なリサーチを実施できていないと回答しています。また、76%は自身が実施するリサーチ方法に満足していないとも回答しています。我々も、より多くのユーザリサーチを実施したいと常日頃から思っており、今回初めてこの「ユーザリサーチレポート」をまとめることにしました。

我々は、日頃リサーチャーが感じている不満や、リサーチャーならではの考え方や傾向を知りたいと考えました。本レポートでは、調査結果を掘り下げ、どうすれば適切なユーザリサーチをより多く実施できるかについて解説します。

今回の調査対象としたのは、業務時間の10%以上をユーザリサーチに費やしている169人です。調査対象者の65%が「リサーチ」という言葉を含む役職に就いていました。アンケートはネットで配信し、17か国からフィードバックを収集しました(うち75.9%は北米)。調査の回答者の年齢は25〜74歳で、リサーチャーとしての経験年数を合計すると1,525年以上となりました(以下では回答者を「UXリサーチャー」として記載しています)。

1.「知ること」が好きだから

UXリサーチャーがユーザリサーチを好む理由として最も多かったのは、「エビデンスに基づく意思決定ができるから」(約41%)というものです。ビジネスにおいて価値あるリサーチとは、製品・サービス、プロセス、コミュニケーションをユーザのニーズにより合致させ、継続的に改善を促す方法であり、ユーザリサーチこそ、その唯一の方法だと言えます。つまり、ユーザリサーチは、「どのようなビジネスを構築すべきか?」というビジネス上の最大の意思決定を助けるものなのです。

二番目に多い回答は「チームに顧客の声をもたらすことができるから」というもので、最も多い回答とほぼ同じ割合でした(35.2%)。UX、CX「エクスペリエンスエコノミー」といったコンセプトは、近年注目を浴びはじめ、顧客理解や、顧客理解に基づいたアクションが重要視されてきています。チームに顧客の声をもたらすことは、顧客中心主義の組織になるために最も重要なステップです。パッシブフィードバック(NPS調査やsupport tickets)、アクティブインサイト(ユーザインタビューやユーザビリティテスト)を組み合わせることで、長期にわたり顧客理解を深めることができます。果たしてこれ以上の方法があるでしょうか?

「いろんな人と話せるから」と答えたのはわずか17%でしたが、まさにこの点がリサーチャーという仕事の醍醐味である、というリサーチャーの声は常に耳にします。自分の仕事が好きだといえるのは大事なことですし、どのような分野であれ自分の想像の範疇を超えた人々に接触する機会が持てる、という点で「UXリサーチャー」は非常にやりがいのある仕事であると言えるでしょう。

2.達成したい具体的な目標があるから

前述のとおり、UXリサーチャーがユーザリサーチを好む理由は「エビデンスに基づく意思決定ができること」でした。では、UXリサーチャーは、ユーザリサーチの力を借りてどういった意思決定をしたいと思っているのでしょうか。リサーチの主な目的とその重要性について、5段階で聞いてみました(1=全く重要ではない~5=最も重要である)。

上位ふたつの目的が群を抜く結果となりました。最も重要と評価された目的は「顧客ニーズの理解」(4.6)、二番目がプロトタイプやモックアップといった「初期段階の仮説検証」(4.4)でした。多くの企業において、「顧客が本当に使いたいと思うような、よりよいモノを作ること」がリサーチの主な目的のひとつであるため、これは当然の結果といえます。デザイン思考、ジョブ理論、デザインスプリント、といったコンセプトも現れ、「自社顧客の真のニーズを理解するユーザリサーチ」の人気がこれまでになく高まっています。

実施したユーザリサーチのタイプについてもアンケートをとったところ、57%の回答者が「半数以上のユーザリサーチが、ある特定の課題を探るアドホック調査*である」と回答しています。つまり、ほとんどのユーザリサーチは特定の目的のために作成されており、一般的なユーザインサイトを広く集める目的で実施されているわけではないということです。もちろん、一般的なユーザインサイトを集めて活用するということも考えられますが、明確なゴールを設定するほうが効率的だと言えます。

*訳註
アドホック調査:単発調査。調査設計・調査票の設計・対象者の抽出・実査・集計・分析のすべてが1回限りで完結し、そのときごとにオーダー・メイドで行われる調査。


現行サイトやプロダクトの満足度をユーザに聞いてアドホック調査を補強し、ユーザが日常的に何を感じているのかを知っておくこともおススメです。課題が見つかってから都度リサーチを実施するのではなく、常にユーザリサーチをチーム内の習慣にしておくと、リサーチの先手を打つことができます。

小規模リサーチを実施することはリサーチを習慣づけるのに良い方法です。継続的にリサーチを実施するためのパイプラインを作るのもよいでしょう。定性調査において意味のあるインサイトを集めるにはわずか5名の参加者で十分であることが立証されています。予算の大小にかかわらず、後期段階で検証を実施してみる、聞き取り調査を継続してみる、ユーザリサーチをひとつ追加してみる、などは、より賢明な意思決定を行ったり、ユーザインサイトを集めたりするには有益かつ現実的な方法だと言えます。

3.ユーザリサーチを実施して目標に到達できる頻度はどのくらいか?

回答を見ると、UXリサーチャーがユーザリサーチの効果に大きな自信を持っていることがわかります。ユーザリサーチの効果への評価は、10段階中平均で7.5という結果でした。

このデータをもう少し深掘りしてみると、自身の仕事に対して、満足度の高いリサーチャー(7段階中5以上)と満足度の低いリサーチャー(7段階中4以下)との間に大きな違いがあることがわかりました。

自身の仕事に対し満足度が高いUXリサーチャーが、ユーザリサーチの効果に対してより高いスコア(7.9)をつけた一方で、満足度の低いUXリサーチャーは6.5という低いスコアをつけていました。これは、いわゆるニワトリか先か卵か先かという議論ですが、チームの目標達成にかなうユーザリサーチの実施と、UXリサーチャー自身の仕事に対する満足度やモチベーション維持との間に関係があるのは明らかだと言えます。

事実、積極的に業務に従事しない社員は、積極的に関わっている社員の2倍転職活動をすると報告されています(Gallup State of the American Workplace report)。予算や業務フローの煩雑さといった課題があろうがなかろうが、ユーザリサーチに関わる従業員の満足度を維持したいと考えるのであれば、「よりよい意思決定を行うためのユーザ理解」という目標を達成するために必要なユーザリサーチをしっかり実施できる環境を整えることが大切です。

また、ユーザリサーチのもたらす効果についての評価は、マネージャー職が一般社員に比べやや高いことも明らかになりました(マネージャー職:8、一般社員:7.4)。このデータを企業のタイプ別に分けると、ユーザリサーチの効果について最も高い評価をしているのがAgency/代理店(スコア8)、最も評価が低いのがEnterprise Company/企業(スコア7)という結果になりました。肩書に「リサーチ」という名称が含まれるかどうかでは結果に違いはありませんでした。

調査詳細2:UXリサーチの実施タイミング

ほとんどのチームがデザイン・プロトタイプ作成段階でユーザリサーチを実施しています。このタイミングでユーザリサーチを実施することは、仮説を検証するという目的を考えると、非常に重要なことです。しかしそれ以上に重要なのは、仮説を構築する前のタイミングでユーザリサーチを実施することです。実際、多くのUXリサーチャーはそのタイミングで実施していると思われるため、今回の結果に危機感を感じてはいませんが、ここでは、ユーザリサーチのタイミングについてニールセン・ノーマン・グループが掲げている素晴らしい社内ルールをご紹介したいと思います。

一番よく聞かれる質問は、「プロジェクトのどの段階でユーザリサーチすべきですか」です。考え方は3通りあります:

1. 現状どの段階であったとしても、ユーザリサーチは直ちに実施してください。ユーザリサーチを行うタイミングが早ければ早いほど、その結果がプロダクトにもたらすインパクトは大きくなります。今関わっているプロジェクトで何かをするための一番早いタイミングは、当然、「今日」です。

2. 全ての段階でユーザリサーチを実施してください。どのプロジェクト計画であっても、あらゆる段階において有益なラーニングを得ることができますし、ユーザリサーチのあらゆるステップは、ユーザリサーチにかかるコスト以上にプロダクトの価値を高めます。

3. ユーザリサーチの大半はプロジェクトの早い段階で実施してください。逆に、プロジェクト後半のリサーチ予算は削って追加リサーチを数回実施する程度にとどめてください(このアドバイスは、有用と思われるユーザリサーチの全てを実施する予算が無い、という一般的なケース向けです)。

調査詳細3:ユーザリサーチを実施する手法

ユーザリサーチ手法は数限りなく存在します。ごくカジュアルな日常会話レベルのものから、決められた枠組みに厳密にしたがって実施する調査まで、そのやり方はさまざまです。ユーザリサーチ手法がプロジェクトごとに異なる場合もありますが、ある程度手法を決めているUXリサーチャーも多くいます。

数多くの手法を使うこと自体は最終目標ではありません。1、2種類のメソッドだけで十分なら、それでも全く問題ありません。また、日記調査やカードソートのような、あまり一般的でない手法であっても特定のユーザリサーチにおいては非常に有効な場合もあります。すべての種類のユーザリサーチ手法をいつも利用しないとしても、利用できる状態にしておくほうがよいでしょう。

大多数(95.6%)が月に1回以上実施しているユーザインタビューが最も一般的な手法という結果でした。二番目はユーザビリティテスト(モデレートあり)で、毎月91.1%のUXリサーチャーが実施していました。

UXリサーチャー154名中のうち18名の「スーパーリサーチャー」は、毎月各手法を平均1調査実施していました。この「スーパーリサーチャー」がユーザリサーチにかける月間予算の平均額は37,307ドル(約405万円/1ドル=108円で計算、以下同)でした。調査対象者全体でのユーザリサーチ月間予算の平均額は11,192ドル(約121万円)でした。当然ながら、予算が多ければ多いほど、ユーザリサーチ実施数やリサーチ手法の種類は多くなります。

グラフが示す通り、ユーザインサイトを得るために最も活用されているのはウェブ解析です。UXリサーチャが定性的な手法のみに依存していないのは素晴らしいことです。ユーザインサイトとは、定量とフィードバックなど定性の両面から成り立っているものだからです。現在得られているユーザリサーチ結果を活用し、その中から顧客にとって最善の改善点を発見することで、ユーザリサーチはより効果的で持続可能なものとなるでしょう。

上記の結果では、UXリサーチャーの75%がウェブ分析を利用しており、営業およびサポートの定性調査は56%、NPSまたはCSATなどの顧客フィードバックは55%となりました。これらの数字が今後上昇することを期待しています。 定量調査と定性調査は、相容れないものではなく、どちらもユーザインサイト入手に必要なアプローチです。

調査詳細4:リサーチ対象は自社ユーザか他社ユーザか

ユーザリサーチ対象者の決め方には通常2つの選択肢があります。自社製品にある程度精通している自社ユーザーからリクルーティングするか、製品を使用していない外部からリクルーティングするかの2つで、どちらにも長所と短所があります。

例えば、前者の場合、現時点の機能になにを追加すればよいのか、リピーターになってもらうにはどうすればよいか、また、製品にどのような問題があるのかを検討するのに役立ちます。 さらに、自社ユーザの場合、既に連絡先情報を持っている可能性があるため、直接ユーザに連絡することもできるでしょう。

一方で、新製品のアイデアをテストしたい場合や、同じユーザーを繰り返し対象としないようにテストしたい場合は、自社ユーザーをリクルーティングするのは最良の選択ではないかもしれません。

外部からリクルーティングすることは、新しいアイデアをテストしたり、製品・サービスと市場との適合性を判断したり、新しいユーザーが製品・サービスにどのようにアプローチするかなどを確認するのに最適な方法です。ただし、 外部からのリクルーティングは、自社ユーザよりハードルが高いとも言えます。

ユーザーリサーチの半分以上を外部ユーザを対象に実施しているUXリサーチャーは30.2%、自社ユーザを対象としているのは54.6%という結果となりました。 また、75%は、両方のユーザを組み合わせて調査していました。 外部・自社のどちらを対象とした場合でも、UXリサーチャーは同じ調査方法を利用し、同様の頻度で調査を実施しています。

調査詳細5:リサーチを効率化させるためのツール

UXリサーチャーはさまざまなツールを利用し、より速く、スムーズに、そして調査につきまとう悩みやイライラを少しでも軽減できるように工夫しています。 メモ取り、リクルーティングなど、ユーザリサーチにおいて頻繁に実施する事項について、彼らが最も好んで利用しているツールを調査しました。

通常、UXリサーチャーは、メモを取るためには、PC・ノートアプリ、録画ツール、文字起こしを利用しています。UXリサーチャーが最も利用している組み合わせは、PC・ノートアプリと動画レコーディングで、UXリサーチャーの36.8%が利用していました。一方、 文字起こしは追加費用がかかるため、PC・ノートアプリと動画レコーディングと文字起こしの3つを組み合わせを使用していると回答したUXリサーチャーは26.58%でした。

多くのUXリサーチャーは、ExcelとGoogleスプレッドシートを利用しフィードバックを収集しています。次いで、割合は少なくなりますが、Airtableを利用しているという結果となりました。 この差が今後縮まるのか、競合他社がスプレッドシートやAirtableの市場シェアを削ぎ落としていくのか、またProductboard など他のタイプのソリューションに切り替えが進むのかは、とても興味深い事項です。

また、UXリサーチャーの23.1%は、他の10の選択肢とともに「その他」のツールを利用していると回答しました。「その他」に含まれていたのは、付箋紙やホワイトボードといった物理的なツールです。また、UXリサーチャーがGoogleドキュメントのような簡単に利用できるツールをより好むこともわかりました。

UXリサーチャーが、自社ユーザまたは外部ユーザをリクルーティングする際、一番利用しているのはUserinterviewsでした。サインアップの際、無料参加者クレジットを3クレジット提供していることや、自社ユーザに関してもアンケートを容易に実施・管理できるということが上記の背景だと考えられます。 また、このアンケートを当社の全メールリストへ送付したということも一因だと考えられます。

訳注:本レポートはUserInterviews社の顧客対象で実施されているため、UserInterviewsが最も使われているという結果になっておりますが、必ずしも米国内の実情を反映した結果ではありません。ご了承ください。

多くの人は通常、プレゼンテーションや、共有可能なドキュメントを利用して、調査結果をカタログ化し保存しています。 UXリサーチャの62.4%が、自身の調査結果を共有するために頻繁にミーティングを開催すると回答したのも当然といえます。 プレゼンテーションを行うことで、ステークホルダーが学びの機会を得て、ユーザリサーチに基づいたプロダクトの改修に取り組みやすくなります。

ただし、参加者がプレゼンテーションを楽しみつつ理解できるようにするには、少しのコツが必要です。例えば、データが多すぎると、参加者が自分にとって必要なデータかどうか判断できずに興味を失ってしまう可能性もあります。また、明確な意味を持たない例やデータの紹介は、このユーザリサーチはそれほど重要ではないという印象を与えてしまいます。

参加者が耳を傾ける興味深いプレゼンテーションを作成するためのヒントは次のとおりです。まず、物語のストーリーテリング構造を利用して、調査結果に参加者を引き込み、プレゼンテーションが終わったら何をすべきかがわかるようにします。ユーザリサーチからの引用、動画、または写真を見せることで、ストーリーをより面白くすることができ、たとえ自分でユーザリサーチを実施していなくても、ユーザが感じたことを追体験できるのです。

UXリサーチャーはさまざまな方法でアンケートデータを収集しています。最も人気があったのはGoogleフォームで、UXリサーチャーの46.4%が利用していることがわかりました。 Googleフォームは無料にも関わらず、回答内容に応じて次に出てくる質問を分岐させることのできる「スキップロジック」などの優れた機能があります。 次いで、SurveyMonkeyが利用されています。SurveyMonkeyは無料版と有料版が提供されていますが、有料版では、より高度なアンケート作成やデータフィルターを設定できます。

リモートユーザーテストは近年頻繁に実施されるようになってきています。 User Interviewsのプラットフォームで開始されたプロジェクトのうち、オンラインまたは電話による調査が占める割合は、平均60.25%にもなります。

調査を実施する際、UXリサーチャーは、調査に特化したプラットフォームよりもビデオチャットによるプラットフォームをより好むことがわかりました。 ツールとしては、UXリサーチャーの42.4%がZoomを利用、次いで、2位Googleハングアウト(39.7%)と3位Skype(23.2%)という回答でした。また、「その他」の回答の多く(25.2%)には、GoToMeetingやBlueJeansなどの他のビデオチャットプラットフォームが含まれていました。

調査詳細6:社内でのユーザリサーチの位置づけ

1.「リサーチャー」でなくてもリサーチはできる


UXリサーチャーに、チーム内に、ユーザリサーチ専任のリサーチャーが何人いるのか、また、定期的にユーザリサーチを実施しているメンバーが何人いるかを質問したところ、50.5%のUXリサーチャーが、専任リサーチャーよりもユーザリサーチを定期的にこなすメンバーが多数いる、と回答しました。

これは、たとえ肩書に「UXリサーチャー」という名称がなくとも、ユーザーから直接学びを得ることができるということを意味しています。 もちろん、すべての企業・組織がユーザリサーチに特化したUXリサーチャーをかかえているわけではないため、場合によっては、「UXリサーチャー」という肩書が必要なこともあります。

スタッフ全員がリサーチをやりたいと思っているような環境であったとしても、ユーザリサーチを実施する基準や規定のプロセスを決めておくことも大切です。調査全体に一貫性があり、各個人が抱える課題によって、調査方法が左右されないことは特に重要です。 ユーザリサーチを継続的にうまく実施することは大変ですが、より多くの人々がユーザリサーチに関与することで、リサーチプロセスがよりスムーズに、楽しく、効率的になることでしょう。

2.多数の部門でユーザリサーチを実施

ユーザリサーチ実施部門については、バラエティに富んだ回答がありました。 デザインチームまたは製品チームの一部が実施していたり、複数の部門または役職で横断的に実施していたり、誰もが利用できるようにリサーチ部門が存在していたり、とさまざまです。

本調査では、ユーザリサーチはデザイン部門で実施するのが最も一般的でした。UXリサーチャーの44.6%がユーザリサーチはデザインチームの一部であると回答しています。次いで、35.7%が、ユーザリサーチはさまざまなグループやチームに分散していると回答しており、今後、ユーザリサーチの範囲や利用が拡大するにつれて、この傾向がどのように変化していくのかは興味深いところです。

調査詳細7:ユーザリサーチを難しくさせてしまう要因

1.UXリサーチャーはもっとユーザリサーチを活用してもらいたい

UXリサーチャーの75.2%は、自身が調査したユーザリサーチの社内における利用方法に十分満足しておらず、UXリサーチャーの75%は、もっとユーザリサーチを実施したいと考えていいることがわかりました。 ユーザリサーチは多くの企業に普及しており、「どう活用するか」が重要になってきます。誰にとってもなんらかの有益な気付きがあると考えられる場合、ユーザリサーチを分析し、だれもが閲覧可能で見つけやすいよう共有しておくことが重要です。

2.ステークホルダーはユーザリサーチの閲覧・利用方法を必ずしもわかっていない

ステークホルダーのほとんどは、自身でユーザリサーチを閲覧したり利用する方法を知らないという回答結果になりました。 UXリサーチャは、リサーチ結果の共有や検索に時間を取られ、ビジネス成果向上のためにその結果を活用することにまで手が回っていません。

「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という例えがありますが、UXリサーチャーはステークホルダーに「魚を与える(=結果の検索や共有)」ばかりで、本当に必要な「魚の釣り方を教える(=閲覧や活用方法を教える)」ことができていないのです。このため、ユーザリサーチの利用方法を公式化すること、またはユーザリサーチの共有や検索を担当する人を設置することは、大変有益なことです。

社内の誰もが、必要な時に必要なリサーチ結果を閲覧・利用できることでユーザリサーチの価値はあがり、継続的に活用できる知的資産となりえます。特に、顧客・マーケットの現状、自社のビジネスチャンスなどを探る「discovery research」の結果を資産として社内で共有することは、どの企業においても価値が高いと言えるでしょう。

33人のUXリサーチャーが「76%以上のメンバーがユーザリサーチの閲覧利用方法をわかっている」と回答しましたが、所属する企業の規模や社内での職位、バックグラウンドなどはさまざまでした。

UXリサーチャーは、ユーザリサーチの有効性を10段階で8と評価しており(調査結果ハイライト「3.UXリサーチャはユーザリサーチが効果的だと感じている」を参照)、リサーチ結果を議論するために「いつも会議を開く」と答えたのは72%、「時々会議を開く」が27%、全く会議を開かない人は皆無でした(平均62.4%)。 この割合は、ユーザリサーチ結果についてレポートを作成するかに対する回答と同様となっています。

3.十分な予算がない

ユーザリサーチの平均月間予算は11,192ドル(約121万円)でした。 UXリサーチャーが抱いている最大の不満は、ユーザリサーチに対し十分な予算またはリソースが提供されていないことでした(22.1%)。 これに続いて、上層部の理解がないことに不満がある(20.8%)という結果でした。

調査では、UXリサーチャーの多くは、ユーザリサーチに対する予算は月に0〜99ドル(約0~1.1万円)と回答しました(20.5%)。これは、ほとんどのチームで予算が少ない、または予算が無い、ということを意味します。 彼らの会社の規模は1万人以上で、将来的にはユーザリサーチに割り当てられる予算の増加は期待されるものの、それまでの間は、無料または低コストなツールや調査方法でユーザリサーチを実施するしかないでしょう。

4.時間制約が厳しい

数ヶ月前からユーザーリサーチを計画すると回答したUXリサーチャーはわずか7.3%、また1ヶ月前にリクルーティングを開始したと回答したのは2.4%だけでした。 計画およびリクルーティングの両方において、最も一般的なリードタイムはわずか1〜2週間でした。

これは、ユーザリサーチが短期間で計画から実行に移されているということを意味します。ユーザリサーチを速く実施に移すことのメリットは多いですが、リサーチの規模によっては、製品に沿ったロードマップや、どのようなインサイトが必要なのかをまとめたロードマップを作成することも重要です。

調査詳細8:ユーザリサーチに従事することになった経緯

1.どの部門でもUXリサーチャーになれる

本調査に参加したUXリサーチャー全員が、自身が担当する業務の10%以上をユーザリサーチに費やしていましたが、全員がUXリサーチャーを専業としているわけではありませんでした。 実際、ユーザーリサーチが専任と回答したUXリサーチャーはわずか34.9%でした。 これは、さまざまな役職、部門、チームがユーザリサーチを取り入れていることを意味しています。

社内で誰がユーザリサーチを実施しているかは問題ではなく、ユーザリサーチに関係する人が多くなるほど良いと言えます。 ユーザリサーチを実施してユーザーと対話し、フィードバックをチームに持ち帰るという流れは大切です。チームの全員がユーザリサーチに参加することは、非常に大きなメリットとなります。

2.UXリサーチャーのバックグラウンドは多様

ユーザーリサーチでキャリアを積むには、多くのキャリアパスがあります。 アカウントマネージャー、ライター、教師、サイエンティスト、または他のどのような職業からでも、UXリサーチャーのキャリアをスタートことができます。ただし、どのパスにおいても、共通点が1つあります。それは、人々を理解することに関心があるということです。

UXリサーチャーは、美術史から工業デザインまで、さまざまな学科を卒業しています。 また、大学院で学位を取得したと回答したUXリサーチャーのうち55.7%はユーザリサーチに関連する分野ではないと回答しました。

UXリサーチャーの大半は大学院の学位を取得していますが、 学位の有無は給与の高さや仕事の充実度とは相関していませんでした(仕事の充実度は大学院学位では7段階中4.9、学部では7段階中5.6)。


これからわかることは、ユーザーリサーチに焦点を当てたキャリアを獲得するには、さまざまな方法があるということです。 Jaclyn Perroneは、ポッドキャスト番組でこう言っています。
「あなたが好きなことをしなさい、そこにやるべきことがある」(“Awkward Silences”

3.UXリサーチャーの仕事は満足度が高い

UXリサーチャーには、協力的、共感的、好奇心が強いなど、いろいろな種類の人がいます。彼らは仕事に充実感や達成感を感じているのでしょうか?そうでない人が大半かもしれませんが、本レポートの対象者はその「大半」には含まれていないようです。

Gallup State of the Global Workplaceレポートによると、世界全体でみた場合、積極的に仕事に従事しているのは、従業員の15%にとどまっているという結果でした。ちなみに、Gallup は「積極的に仕事に従事」について「仕事と職場に深く関わり、熱心に働くこと」と定義しています。

UXリサーチャーが職場でどの程度充実感を感じているかを調査した結果、75.2%が充実感について7段階中5以上と評価しました。 Gallupの結果と比較すると、これは非常に大きな差だと思われます。 ユーザを含む多くの人々と話をすること、製品が抱える課題について答えを見つけること、同僚に役に立つ調査結果をフィードバックすること、こうしたUXリサーチャーの仕事は実にやりがいのあることだと考えられます。


充実度の平均評価は、7段階中5.1でしたが、充実感を得るには以下の3つの要素が相関するという結果になりました。

1. リモートワークができること
ほとんどまたはまったくリモートで作業しない人は、充実度を4.9と評価し、リモートで少なくとも週に1日働く人は、充実度を5.3と評価しました。

2. 企業規模が小さいこと
従業員数が200人未満の会社で働く人は充実度を5.3と評価し、従業員数が1,000人を超える会社で働く人は充実度を4.9と評価しました。

3. 社内におけるユーザリサーチの優先順位が高いこと
リサーチャ所属企業でのユーザリサーチの重要性への評価とリサーチャの感じる充実度を確認しました。その結果、ユーザリサーチの重要性を10段階中8以上と評価している企業のリサーチャの充実度は7点中5.6、一方、ユーザリサーチの重要性評価が7以下の企業のリサーチャは充実度を7点中4.4と答えました。

4. 経験を積んでいること
経験の少ない(0〜4年)UXリサーチャーは充実度を4.8と評価しましたが、より経験の多いUXリサーチャーは充実度をはるかに高く評価しました。 5〜10年の経験者は5.2、10〜20年の経験者は5.3、21年以上は経験者は5.4と充実度を評価しました。

調査詳細9:UXリサーチャーの情報入手経路


UXリサーチャーは読むことが好きなようです。 オンラインであろうと、書籍であろうと、UXリサーチャーは、最新の情報を積極的に入手しています。ユーザリサーチに関する情報元の上位はMedium(ウェブサイト)、ブログ、書籍でした。

「読むこと」に続き多かった回答は、「人と実際に会って話すこと」でした。例えば、ミートアップやイベント、Slackチャンネル、会議、またはウェビナーといったことです。 これは、UXリサーチャーがユーザリサーチを実施する上で好きなことが「人々と話すこと」であるという調査結果を考えれば、納得のいくことです。また、ポッドキャストは10位と遅れを取っていることがわかりました。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。調査の結果、ユーザリサーチを取り巻く状況はとても良好だと言えるでしょう。UXリサーチャーの満足度は高いですが、それ以上に、より多くのユーザリサーチを実施したい、リサーチの影響力をより増したい、もっと学びたい、人々と会話がしたい、そして、予算が欲しい、と思っています。

今後、より多くの企業や組織が、予算を増やしてユーザリサーチを実施するようになるでしょう。 短期的な課題として考えられるのは、生の定性データをどのように活用してインサイトを得るか、ということでしょう。また、ユーザリサーチへのアクセシビリティがより向上すること、また同様に、ユーザリサーチの設計がよりアクセシビリティに配慮したものになることを期待しています。

ご意見はぜひ下記までおよせください
Twitter @userinterviews., email erin@userinterviews.com

著者紹介:
Carrie Boyd


米国User Interviews社コンテンツクリエイター。文章を書くこと、旅をすること、新しい何かを学ぶことが好き。自分の顔と同じ大きさのマグカップでコーヒーを飲みながら猫背気味でPCに向かう日々。


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