UX改善に必要なUXリサーチャー・デザイナーの人数比率とは?

【作成】2020/03/11   【更新】2020/06/19 

本記事は米国MeasuringU社より許可を得て翻訳したものです。
元記事:WHAT IS THE TYPICAL RATIO BETWEEN DESIGNERS AND DEVELOPERS?
著者:Jeff Sauro,PhD
2017年7月11日掲載

ユーザエクスペリエンスは、「そのうち自然と改善される」ようなものではありません。 より良いユーザエクスペリエンスを実現するには、適切な人材を適切なポジションに配置する必要があります。

とは言うものの、FacebookやGoogleといった大企業でもない限り、適材適所を実現するために必要なだけ人を雇うことは難しいはずで、UXチームとしてどのくらいの人員が必要なのかの根拠を示す必要があります。

「どのくらいの数のUXスタッフが必要なのか」の見積もり方のひとつとして、デベロッパーとUXスタッフ(リサーチャーおよびデザイナー)の人数比率を調査するという方法があります。

ただし、デベロッパー対UXスタッフの理想的な(あるいは一般的な)比率の答えは、誰も知りません。「この比率を知ればUXチームの人事マネジメントが最適化される」とは断言できませんが、他社のスタッフ配置の例はヒントのひとつになるかもしれません。

そこで、 本稿では、デベロッパーとUXスタッフの最も一般的な比率はどのくらいなのか、UX業界を調査した結果をご紹介します。

調査概要

本調査は、UX成熟度に関するアンケートの一部を抜粋したもので、「あなたの会社におけるUXリサーチャー・デザイナーおよびデベロッパーの人数比率はどのくらいか」について調査・分析しています。

データ収集期間は2016年12月から2017年6月で、非確率スノーボールサンプリング法(注)を利用し、世界中のUX経験者(リサーチャー、デザイナー、マネージャー)150人が回答しました。

(注)ある回答者から知人を紹介してもらい雪だるま式にサンプル数を増やしていく方法

調査結果:リサーチャー1人あたりのデザイナー人数は5人

回答にばらつきが見られるものの、最も典型的な比率は以下のとおりです(かっこ内は回答者に占める割合)。

・リサーチャー:デザイナー= 1:5(35%)
・デザイナー:デベロッパー= 1 : 20(21%)
・リサーチャー:デベロッパー=1:100

図1:最も一般的なリサーチャー・デザイナー・デベロッパーの人数比率

ただし、上記のパーセンテージ(35%、21%)からもわかるとおり、これは回答者の大部分に該当する比率ではありません。このため、回答の度数分布(図2)もあわせて確認することが重要でしょう。

図2を見ると、リサーチャー対デザイナーの人数比率の度数分布にばらつきがあることがわかります。半数以上(57%)は「リサーチャー1人に対するデザイナーの人数は20人以下である」と回答しています。 また興味深いことに、回答者のかなりの部分(27%)が「リサーチャー対デザイナーの人数比率がわからない」と回答しています。

図2:リサーチャー1人に対するデザイナーの人数比率(度数分布)

デザイナー対デベロッパーの人数比率については、約半数(49%)が「デザイナー1人に対するデベロッパーの人数は20人以下である」と回答しました(図3)。

また、デザイナー1人に対し5人のデベロッパーがいると回答したのは10%、デザイナー対デベロッパーの人数比率がわからないと回答したのは19%でした。

図3 デザイナー1人に対するデベロッパーの人数比率(度数分布)

次に、企業の規模や業界、企業の成熟度(新規参入企業か既存企業か)、UX成熟度などを考慮した場合に、この人数比率がどのように変化するかを確認しました。

スタートアップ企業ではデザイナー比率が高い傾向

成長の初期段階にある企業(新規参入企業)は後期段階にある企業(成熟企業)と比較した場合、デザイナー対デベロッパーの比率が高い傾向にありました(図4)。

図4からわかるように、未成熟企業の71%は、デザイナー1人に対するデベロッパーの人数は20人以下であると回答しています。 このデザイナーの比率は、成熟企業(40%)と比較すると高い数値です。

図4 企業成熟度別:デザイナー1人に対するデベロッパーの人数比率

中小企業ではデベロッパ―に対するデザイナーの比率が低い傾向

中小企業(従業員1万人未満)は、大企業に比べ、デザイナー対デベロッパーの比率が低い、つまりデベロッパーに対してUXスタッフの人数が少ない傾向があります。

具体的には、デザイナー対デベロッパーの比率が1:20以下、つまり20人のデザイナーに対するリサーチャーが1人以下と回答した大企業が23%であるのに対し、中小企業における数値は61%と高くなっています。

一方、リサーチャー対デザイナーの比率は、大企業と中小企業で大きな差はなく、リサーチャー対デザイナーの比率が1:20以下、つまり20人のデザイナーに対してリサーチャーは1人以下と回答したのは、大企業では50%、中小企業では59%でした(図5)。

また、大企業のほうが、デザイナー対デベロッパーの比率を知らないという傾向がありました(大企業では25%、中小企業では13%)。

図5 企業規模別:各人数比率が1:20を下回る割合

業界やUX成熟度とデザイナー比率に有意差はなし

調査対象とした業界は16と多岐にわたりますが、業界別の人数比率に有意な違いは検出されませんでした。なお、回答者の属する主な業界は、ソフトウェア(27%)、銀行/金融(13%)、小売(11%)業界でした。

また、意外なことに、企業の「UX成熟度」(注)による大きな差もありませんでした(訳注)企業内のUX改善体制の確立度、浸透度などを指すと思われ、「企業成熟度」とは別の指標です

最大の違いは、「UX成熟度」が低い企業は、リサーチャー対デザイナーの比率がわからない割合が高いということでした。具体的には、リサーチャー対デザイナーの比率がわからないと回答した割合は、UX成熟度が低い企業が36%であったのに対し、UX成熟度が高い企業では10%という結果でした。言い換えれば、比率を知らないということ自体、UX成熟度が低いことを示しているといえるでしょう。

まとめ

調査結果およびデータ参照時の注意事項を以下にまとめます。

1.UXスタッフ数の必要人数は、プロダクトや企業のニーズによって異なります。したがって、本稿で示した比率は、新しいデザイナーやリサーチャーの採用可否を判断するのに必ずしも適切な指標ではない場合があります。

2.本稿では、「20人のデベロッパーに対し1人のデザイナー」「100人のデベロッパーに対し1人のリサーチャー」が最も一般的な比率としましたが、結果にはばらつきがあった点を留意する必要があります。

3.多くの企業ではUXリサーチャーよりもUXデザイナーのプライオリティが高いようです。本調査でも、専任リサーチャー1人に対し少なくとも5人のデザイナーが所属している企業が大多数でした。

4.多くの人が、自社のスタッフ間比率を知りません。本調査でも、回答者の約5人に1人がデザイナー対デベロッパー、またはリサーチャー対デベロッパーの比率を知らず、大企業では比率を知らない割合がより高いことがわかりました。大規模な組織の場合、何人デベロッパーを雇用しているかを知るのは難しい可能性があり、またUX部門と開発部門など部門で情報の隔たりがある可能性もあります。デベロッパー自身が必要なUXスタッフの人数を把握しているかどうかははなはだ疑問です(将来的に調査してみるのも興味深いかもしれません)。

5.中小企業かつ初期段階の企業では、大企業または成熟企業よりも各UXスタッフの人数比率が低くなっています。大企業は通常、より高い給与でより多くのUXスタッフを雇用する予算を持っていますが、小規模で初期段階の企業は、デベロッパーに対しUXスタッフ(デザイナーおよびリサーチャー)を少人数で構成する傾向があるようです。これは、企業の規模が大きくなり成熟度が増すほど、UXにより重点を置き、価値を見出しているということかもしれませんし、大数の法則の結果という可能性もあります。一方で、UXスタッフにおいては収益が減少する可能性もあります。例えば、より成熟した企業においては、プロダクトの変更が少なく、デザインやリサーチの必要性は少なくなりますが、メンテナンスに対応するデベロッパーは依然として必要ということもあるでしょう。



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