活きたペルソナのための「定量的な情報」と「定性的なストーリー」

【作成】2020/09/23   【更新】2020/10/01 

本記事はUserTesting社より許可を得て翻訳したものです。
元記事:”How to build a user persona for your business”, August 21, 2020
著者:Lija Hogan

ペルソナとは、一言でいうと架空のユーザ像を設定することです。

製品やサービスにとって重要かつ特徴的なユーザー像を可視化することによりユーザニーズを把握する手法として、Web開発やマーケティングで近年多く用いられています。また、顧客体験をデザインする上でも、ペルソナは欠かせないと言われています。

本記事では、「ペルソナとはなにか」から、ペルソナ作成インタビューでの実践ポイントまでをまとめた、米国UserTesting社のブログ記事”How to build a user persona for your business”をご紹介します。

出典:UserTesting社

ユーザニーズを明らかにすることは、ビジネスを成長させるために不可欠です。

ペルソナを作ることは、たとえそれが架空のものであっても、ユーザニーズや顧客体験を理解し、ビジネス戦略においてユーザの目的に沿った意思決定を行うために必要な情報を得ることにつながります。

また、ユーザを理解するためには、定性的および定量的な情報をもとに、ユーザの態度・行動・特徴・欲求を明らかにしていくことが重要です。

つまり、ユーザを多面的に捉えるためには、ユーザの目的や好みだけでなく、どのような属性のユーザがどの程度存在するのかを把握するための「定量的な情報」と、ペルソナに命を吹き込み、リアルに感じさせる「定性的なストーリー」のどちらもが必要なのです。

では、具体的な手法をお話する前に、まず、ペルソナの基本について整理しましょう。

ペルソナとはなにか?

1999年、アラン・クーパーはその著書”The Inmates are Running the Asylum”(和書『コンピュータは、むずかしすぎて使えない』 (2000) 翔永社)でペルソナの概念を広めました。

アラン・クーパーは、ペルソナを「ユーザを正確に描写したもので、ユーザが成し遂げたいことを明らかにするもの」と定義し、現実のユーザに会って詳細な会話をしフィードバックを得る調査そのものではなく「調査プロセスの副産物として発見できるもの」と説明しています。

つまり、ペルソナは、「平均的」なユーザを明らかにするのではなく、ターゲットとする「誰か」について、その人物のニーズ、期待、行動を精緻かつ的確に組み合わせることによって、典型的なユーザを理解するために作成するものです。

アラン・クーパーがペルソナ概念を紹介して以降、リサーチャ、デベロッパー、デザイナー、マーケティング担当者など多くの人々が、デザインや開発プロセスにおいて、この手法を利用してきました。

また、ペルソナ作成は、デザインの原則やデザインプロセスを凝縮しているという点からも、非常に重要な手法です。

ペルソナは、人間がどのように感じ考え行動するかを表現し、ユーザの視点を拡張することで、ユーザニーズに対応するサービスや製品、環境などの創出に役立ちます。このようにユーザニーズを浮き彫りにすることで、誰にとってもより使いやすい製品を作ることができるようになります。

3タイプのペルソナ

ペルソナの定義と活用にあたっては、いくつかの異なるアプローチがあります。

ペルソナは「ただの人」ではなく、ターゲットユーザの実際の行動、動機、態度、目標などをモデル化した架空のモデルであり、製品やサービスに深く関連しています。

1.目標達成型ペルソナ(Goal-driven persona)

目的達成型のペルソナは、前述のアラン・クーパーの提唱した概念に基づくもので、最も馴染みのあるタイプでしょう。

目標達成型ペルソナは、あなたの製品やサービスをとおして、ユーザが何をしたいのかに焦点をあてています。つまり、このタイプは、ユーザーがどのように製品を利用し、どのような目的を達成しようとしているかを明らかにすることを目的とします。

2.役割型ペルソナ(Role-based persona)

役割型ペルソナも行動に焦点をあてていますが、目的達成型とは少し異なるところがあります。

このタイプは、ユーザが現実の生活、組織、コミュニティなどにおいて通常どのような役割を果たしているかを調査するものです。人々が日々の生活で果たしている役割を明らかにすることにより、製品開発やデザイン決定に役立つ情報を得ることができます。

3.感情型ペルソナ(Engaging persona)

感情型ペルソナは、可視化できる三次元のユーザを作成するという点で、他の型のペルソナとは異なります。

三次元のユーザ、つまり人々がペルソナを実際のものとして知覚し、ペルソナに愛着を持つほど、デザインプロセス中にペルソナを考慮する可能性が高くなります。

このタイプは、ユーザの感情を調査し、目前のタスクについて意思決定する際に、その心理がどのような影響を及ぼすかを明らかにします。

出典:UserTesting社

活きたペルソナを作成するために必要なこと

ペルソナは、定量的、定性的、両方の調査にもとづいています。

通常、定量的な調査、例えばアンケート分析では、ユーザがどのくらいの人数で、どのようなユーザがいるかといったことを理解するのに適しています。

つまり、データを利用することで、ユーザの傾向やパターンの種類、そのボリュームを明らかにし、性別や年齢といったデモグラフィックな情報と合わせて、ユーザをセグメント分けすることができます。

一方、定性的な調査、例えばインタビューでは「なぜ」「どのように」といったことを明らかにします。

1対1の会話を通して得られたストーリーは、コンテキスト(前後の文脈)が理解できるシナリオであると同時に、ユーザーのより細かいイメージを的確につくりだすのに役立ちます。

ペルソナ作成のためのインタビュー方法

まずはじめに、オープン形式で中立的な質問を用意する必要があります。

インタビューでは、質問をオープン形式にすることで、被験者は判断を恐れずに正直に回答することができます。インタビューの設問を自由に回答できるオープン・クエスチョンにすることで、被験者は「はい」か「いいえ」を厳密に判断する必要がなく、正直に回答することができます。

被験者に「日常的に~~をしますか」という質問のしかたは避けます。代わりに、「直近で~~した際の経験」について具体的な質問をします。この経験が日常的なものかそうでないかは、後で判断します。

さらに、想起質問、例えば、選択肢や写真など何もヒントを与えずに自由回答形式で回答してもらったり(純粋想起質問)、選択肢や写真などを提示して回答してもらったり(助成想起質問)することは、インタビューの場を整え、被験者を心地よくさせ、被験者との信頼関係を築くのに役立ちます。

インタビュー被験者に正直で調査に積極的であってほしいと願うなら、モデレート(司会)の有無に関わらず、モデレート(司会)の有無に関わらず、信頼関係は重要です。

では、被験者に、最近1~3カ月あたりの経験を話してもらうには、どのように聞けばよいのか、少し例をあげてみましょう。

・最近あなたは、~(あるタスク)を実施するためにどのようなツールを使用しましたか?
・そのとき、どこから始めましたか?それはどうしてですか?
・~(あるプロセス)を完了するためにどのような情報が必要でしたか?その情報はすぐに見つかりましたか?
・そのとき、うまく実施できましたか?うまく実施できなかったことは何ですか?

ほかにも次のような観点から質問をしてみるとよいでしょう。

「グランド・ツアー」:最初から最後までタスクまたは目標を完了することについて話をしてもらいます
「ミニ・ツアー」:一部のタスクについて焦点を当てて話をしてもらいます。
具体例:あなたがより知りたいトピックについて話をしてもらいます。
自分の経験:ストーリーまたはシナリオの精度を上昇させるため、どのようなコンテキストで利用したか話をしてもらいます。
普段使いの言葉:経験を説明してもらう際、被験者が普段使う言葉や母国語で話してもらいます。

ペルソナを作成するためのユーザインタビュー方法について基礎がわかったところで、モデレートと非モデレートの違いを理解しておくことが重要です。

どちらのアプローチもユーザのストーリーを調査するのに役立ちますが、異なる特徴がある点は注意が必要です。

出典:UserTesting社

次に、どちらのアプローチを選ぶか決定する際、考慮すべき点について説明したいと思います。

非モデレートインタビューの実践ポイント

インタビューとは基本的には、司会がいる会話のことを言います。

このため、司会がその場にいない非モデレートインタビューの際は、会話の構成で留意しなければならない点がいくつかあります。

時間

通常、非モデレートインタビューの場合、1つの質問に対し回答に要する時間は約1~2分です。

もし、ある質問をより深堀りしたい場合は5分程かかる可能性があります。
あなたがインタビューのスクリプトを作成するとき、何個の質問が必要か、そのうちどの質問が重要か、事前に知っておく必要があります。

流れ

よい会話は、始まり、中間、終わりが明確です。
インタビューのコンセプトについて話し始め、より詳細な情報をヒアリングで深堀りし、次のトピックに移行するよう会話を締めるよう構成しましょう。

質問の順番構成も重要です。最も重要な質問は、被験者がより集中していると思われる前半部分に実施しましょう。多くの被験者は、質問に答える時間が長くなればなるほど、十分で思慮深い回答ができなくなります。

出典:UserTesting社

また、インタビューの構成を考えるときには、金・銀・銅など質問をランク付けすると、フローを効果的に管理できます。

出典:UserTesting社

指示の工夫

被験者の関心を維持するためには、質問に工夫を凝らすことを考えてみてください。

例えば、どのようにサイトを閲覧するのか、どんな情報を探しているのか、または被験者の状況を確認させてもらうなど、被験者の興味を引き続けるための工夫をタスクに含めるとよいでしょう。

他にも、被験者がコンセプトについてどのように感じているかを点数評価してもらったり、複数回答の質問をすることも考えられます。

関心を引きつけるインタラクティブな指示を用意しておけば、効果的なレビューにつながる示唆に富んだフィードバックが得られるでしょう。

まとめと繰り返し

また、インタビュー内で、話を要約したり、再度同じトピックに言及することもおすすめです。

人間はしばらく会話をしたり、あるトピックについて話したあとに、考えていることや感じていることをうまく表現する方法を思いつく時があります。

このため、被験者が一度は話したことがあるかもしれないトピックであっても言及したり、被験者のアイデアを思い起こさせたり、単に被験者の考えを要約したりすることで、思ってもみなかった予想外のことが発見できることがあります。

ペルソナおよび共感マップへの関連付け

どのような調査でもそうですが、具体的な質問をレポートのアウトプットに結びつけ、フィードバックを評価するための戦略を立てることは、非常に重要です。

レポートの各セクションに記載するために必要なデータについて明確なビジョンを作成することで、レポートに必要なフィードバックを被験者から引き出すための質問を明確にすることができます。

出典:UserTesting社

モデレートインタビューの実践ポイント

モデレートインタビューの場合、形式は自由です。

どのような質問でも被験者に尋ねることができるため、ショー&テル(何かを示しその話題について話すこと)も、議論を展開することも、コンセプトテストのような要素を含めることも可能です。

重要なことは、例えば、30~60分のセッションを計画した場合、各質問と回答にかかる時間を予測することです。
これにはまず社内で同僚などとパイロットテストをするほうがよいでしょう。

他のいくつかのポイントは次のとおりです。

調査の構造化

より深く掘り下げる必要がある場合、被験者から情報を引き出すには、質問に工夫を凝らす必要があります。

調査の目的に応じ、また予想外の情報を引き出すことができるような質問を考えなければなりません。

通常、60分のセッションでは、7から10のデプスクエスチョン(より深く掘り下げるための質問)を実施することが可能です。

ある特定のトピックに関するフィードバックを得られるよう、また、あなたが聞きたいことが正確に伝わるよう、フォローアップ用の質問を2-3個用意しておくほうがよいでしょう。

オブザーバーの役割

オブザーバーを利用する場合、オブザーバーの役割を考え、チームをどのように「室内」に配置するのが最適か検討してください。

多くの場合、最も説得力のあるレポートとは、インタビューを直接見ることといえるでしょう。被験者から直接フィードバックを聞くことは、レポートを読むよりはるかに得るものが多いと言えます。

このため、まとめの段階で、オブザーバーがいくつかの質問を用意したり、モデレーターとコミュニケーションができるよう別途チャンネルを用意するなどし、必要に応じて話を転換したり、深堀したりできるようにするとよいでしょう。

まとめ

最後に、インタビューとは、あなたがより深く理解したいと考えている「ユーザ」を代表する人々とつながりを持つ時間であることを忘れないでください。

インタビュー時の会話を反映したペルソナ(成果物)は、あなたのユーザが本当に必要としていることを理解するための具体的な手段となるでしょう。

したがって、ペルソナを作成する調査には、ペルソナを利用するステークホルダーを含める必要があります。これは、ペルソナが「でっちあげられた」ものであるという感情を薄め、ペルソナの価値を認識してもらうためのもっともよい方法です。ペルソナ作成のためのデータがどこからきているかを共有することで、ペルソナへの信頼力があがります。

著者について:
Lija Hogan氏は、米国UserTesting社のカスタマーエクスペリエンスコンサルタントです。幅広いトピックに関して顧客を支援するだけでなく、ユーザビリティ調査方法についてミシガン大学で教鞭をとっています。


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