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Booking.com流! 民泊評価システム開発のロードマップとUX戦略とは

【作成】2021/04/15 【更新】2021/06/22

サービスやプロダクト開発において「ユーザーを理解しユーザーに寄り添うこと」が最優先事項という認識は、近年、浸透しつつあります。

一方で、チームや部署にUX(ユーザーエクスペリエンス)というマインドセットをどのように導入し、開発のロードマップで役立てていけばよいか、という悩みにぶつかる方は少なくありません。

2021年3月11日のオンラインセミナーでは、世界最大の宿泊予約サイトBooking.comでシニアUXリサーチャー兼チームリーダーをされているロベルタ・ビルジさんがご登壇。本稿ではそのダイジェストをご紹介します。

セミナーでは、民泊の評価システム開発の事例を交えながら、UXという考え方をどのようにチームに浸透させ新サービスを共創していったのか、また、開発のロードマップでどのようにユーザーニーズを把握し問題解決に導いたのかをご説明いただきました。

ぜひご一読ください。

【オンラインセミナー動画】Booking.com流! 民泊評価システム開発のロードマップとUX戦略とは

まずユーザーにとっての価値を考える

ホテルからフライトまで多くの商品を扱うBooking.com。ロベルタさんが所属するのは、宿泊施設件数の約25%、700万件を占める民泊用施設(バケーションレンタル)を担当する部署です。

民泊用施設を探すユーザーの体験向上に努めるなかで、今回担当されたプロジェクトは、民泊用施設のグレードを見分けるための評価システムの開発でした。もともと、ホテルのランクは5つ星など星の数で評価するシステムがありましたが、そのシステムは民泊施設には適用していなかったからです。

開発にあたり、まず考えたことは「ユーザーにとってこのプロダクトの価値はなにか」を整理することでした。

つまり、民泊用施設を探す「ゲスト」、宿泊施設を提供する「パートナー」といったユーザーにとってプロダクトが提供できる価値はなにか、言い換えれば、現在プロダクトが存在しないことでユーザーが感じているペインポイント(悩み)はなにかを、まず考えました。

わかったのは、次のようなペインポイントです。

ゲストのペインポイント:(星の数でのランキングが適用されていないため)自分なりに比較検討しなくてはならず、時間がかかる

パートナーのペインポイント:星の数によるランキングを利用し、ゲストが宿泊施設を選ぶ場合、パートナーの提供する施設が検索結果ページから除外されており、表示されない

上記2つのペインポイントに

Booking.com自身のペインポイント:提供する民泊施設の一覧を表示できていないために予約を取得する機会を逃している

を加え、このプロダクトの価値をWin-Win-Winという図に可視化しました。

*デザイン思考:ユーザーを理解し、仮説を立て、問題を解決(または再定義した問題をさらに解決)しながら、プロジェクトを進めていくという考え方です。

デザイン思考のプロセスは「理解」「探索」「創造」「学習」という4つのフェーズからなります。以下、フェーズごとに掘り下げてご説明したいと思います。
*B&B(Bed and Breakfast):寝室と翌朝の朝食のみがつくスタイルの民泊施設

次のステップは、パートナー向けのプロダクト導入です。
実装したプロダクトをパートナーに紹介し、フィードバックを収集することで、将来にわたってプロダクトを改善していく方法を理解するようにしました。

その後、再度、ユーザー調査を行い、先述した施設タイプの違いや、ゲストの期待値について具体的な調査を実施しました。A/Bテストを実施して、すべての施設タイプに新しい評価制度を拡大することが十分可能だと判断したのち、導入に至ったのです。

最後に、パートナー側の機能をより向上させる機会を設けました。パートナーに対して、例えばコーヒーマシンの購入をパートナーに提案するなど、宿泊施設の機能や設備、アメニティを提案することで、彼らの評価があがりうるというアドバイスをしました。

民泊施設の評価制度は、このようにして開発されました。
評価というシンプルなアイコン開発の裏側には、400超もある様々な要素について、機械学習を活用した頻繁なモデルアップデートがあったのです。

組織でUXを推進するために大切なのはコミュニケーション

今回のプロダクト開発では、ゼロからUX体制の導入について戦略を立て準備しなければなりませんでした。

UX体制の導入について重要なのは「コミュニケーションスタイルを柔軟にし、謙虚にフィードバックを求める」ことです。

準備を十分に行い、プレゼンテーションを実施するだけでなく、人によってコミュニケーションのスタイルが違うことを踏まえ、誰かを納得させたいのであれば、相手にとって何が大切なのか、どのように話をするのが好きなのかを考えておくことが重要です。

最後に、今回のプロジェクトから学んだ、自身のステップアップを叶えながらプロダクト開発を進めるための5つのポイントを共有します。

・全体観を持ってデザイン思考プロセスをプロダクト開発に取り入れる
・ユーザーのニーズを重視しつつ、ビジネスのニーズとのバランスをとる
・コミュニケーションスタイルを柔軟にし、謙虚にフィードバックを求める
・職務範囲ではなくてもチームの戦略には必ず関わる
・会社にとっての重要事項を踏まえて影響力を発揮する

まとめ

セミナーでは、ロベルタさんからの「ぜひ先頭に立って、プロダクトを牽引していきましょう」という励ましの後、白熱したQ&Aセッションが45分にもわたって続きました。

「デザイン思考プロセスを活用しつつ、デザイン実装やプロダクトローンチまで結びつける秘訣はなにか」
「ロードマップを実現する過程で、部署やチーム間で、開発担当者など工数の取り合いにならない工夫はあるか」
「各職種(UXデザイナー、UXリサーチャー、エンジニアなど)の適正な人数構成は?」

など現場からの悩みに率直にご回答いただきました。
ぜひ、Q&Aセッションの一問一答もご覧ください。

▶当日のQ&Aセッション一問一答はこちら

【オンラインセミナー動画(Q&Aセッション)】Booking.com流! 民泊評価システム開発のロードマップとUX戦略とは

▼当日のスライドはこちら
Design thinking process and strategy for a new product_JA

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