サイボウズのデザイン&リサーチマネージャーに聞く「メンバーが能力を発揮するUX組織とは」
急激な世の中の変化に伴い、組織も変化に合わせた柔軟性をもった変化を求められています。そんな中、ユーザー視点をプロダクト開発や改善に取り入れ、国内でも一歩先に進むUX組織があります。
サイボウズデザイン&リサーチ マネージャーの柴田 哲史さんは、30年近くプロダクト開発やデザイン・リサーチに取り組まれています。そのご経験から、サイボウズでチームができた約6年間のチーム変遷から、現在のチームでの取り組みまで、多様なメンバーが能力を発揮し、魅力を引き出す組織づくりについてお伺いしました。
自己紹介
サイボウズの柴田哲史と申します。災害支援チームのリーダーとデザイン&リサーチグループのマネージャーを兼務しています。
本日は、これまでの経験と現在のチームでの取り組みについてお話したいと思います。
大学時代~企業インターンの日々~
大学時代は日本のメーカー企業でインターンとして働き、製品のプロトタイプ作りやユーザビリティテストをしていました。
当時、日本に入ってきたばかりのアップルのマッキントッシュで、HyperCardというノーコードツールを使い、簡単にUIがデザインできました。「テレビリモコンやFAXのUI画面が作れて、事前に使いにくいところがわかる」ということは、それまで企業でやっていなかったので、色々な企業からデザインの依頼が殺到しました。
アルバイトの延長線上でマイクロソフトの仕事もしていましたが、ある時「マイクロソフト本社があるシアトルに行ってユーザビリティテストのやり方を覚えて、日本で移植できる人がいないか」という人探しを頼まれました。数か月間、アメリカで英語を使って仕事が出来る人がいなかったので「僕が行きます!」と言って、シアトルで修行し、その後、日本に戻ってきて、調布市にユーザビリティラボを作って、技術を移植しました。
Microsoft時代~ユーザビリティラボ新設~
当時のシアトルのマイクロソフト本社と、インターンで働いていた日本の企業は全然環境が違うんですね。日本の企業とは雲泥の差で、10年や15年先を行っており「日本でやっている場合じゃない」と思い、そのままマイクロソフトに入社しました。
私は学生時代から野球をやっていまして、マイクロソフトでも野球部採用で半分は野球をやっていました。入って翌年は主将になり、練習を倍増して色々な大会で優勝して、札幌ドームの全国大会でも優勝しました。野球の合間に仕事をしていたようなスタンスでした(笑)。
実際に仕事としては、リサーチ組織の立ち上げをしました。当時のミッションは「Wordを徹底的に使いやすくしよう」でした。というのも、日本には一太郎という最強のソフトウェアがあったので、日本だけWordが負けていたんですね。それを聞いたビルゲイツが「日本でWordを何とかして」ということで僕が雇われて、ひたすらWordのユーザビリティテストをしていました。
プロダクトデザイナーの苦悩
その活動を繰り返していたら、色々なメーカーの社外デザイン部署のプロダクトデザイナーから「うちでは社内のデザイナーやリサーチャーの価値を理解してもらえない!」という相談が多くきました。
当時の日本のプロダクトデザイナーは企画事業部の下請けでしたので、ある程度形が決まった段階でデザイン部に話が来て、アイコンを作って色を決めます。最後に品質評価をしますが「問題点が見つかってももう直せない。直せるのは2年後」という状態が続いていました。
当時のマイクロソフトはどうなっているの?というと、マイクロソフトはデザイナーとリサーチャーがプランニングフェーズから参加します。PM(プロジェクトマネージャー)と、PG(プログラマー)と、UX担当が最初から加わっているので、日本とは雲泥の差です。これを日本の人に説明していました。
象徴的なのが、写真にあるビルはシアトルに100以上あるんですが、開発部隊は、1階にユーザビリティラボがありリサーチャーやデザイナーがいます。2階と3階にPMやPGがいるというのが、典型的なレイアウトです。なぜかというと、ラボでユーザーが日々ユーザビリティテストをしているので、それをPMやPGが簡単に観察出来るようなレイアウトになっています。これは当時では画期的で当時のマイクロソフトはリサーチが徹底されていました。
9年ぐらいマイクロソフトにおり、その後独立しハワイでIT企業を作りましたが、今日はその話は省きます。
サイボウズ所属~UX組織 絶賛育成中~
サイボウズには2015年に入社しました。ここでも基本、野球ばかりしているのですが(笑)、息子の少年野球チームのコーチをしたり、現在はサイボウズの野球部の監督をしています。
本題に戻り、サイボウズのデザイン&リサーチチームの組織の話をしたいと思います。
入社当時は5、6名のチームメンバーでしたが、7年間で22名になりました。毎年採用しており、特にグローバルやアクセシビリティ、リサーチャーの採用を強化しました。いろいろな国のデザイナー、バイリンガル、全盲のエンジニアなど多様性にあふれています。リサーチャーも5人いますので、リサーチャー比率も割と高いのではないかなと思っています。
サイボウズのUX組織で最初に何をした?
2015年入社当時、実際に何をしたかという話をしたいと思います。
コミュニケーション量を倍増
まず、コミュニケーション量を倍増しました。入社当時、チームで誰が何をしているのかが見えなかったために取り入れたのが社内SNSです。1分毎につぶやくイメージで投稿することを「分報」と言い、常につぶやくことを推奨しました。
つぶやくのは何でもいいんです。「ミーティングでここに気が付きました」とか「これからランチいきますか?」とか、たわいのないことをみんなでつぶやきます。これをすることで、状況を共有できましたし、分からないことを投稿するとすぐに誰かが答えてくれます。日報だと問題の解決に1日かかるけど、「分報を使うと一瞬で解決する」。これを使ってチームのコミュニケーションを倍増させました。
理想のデザインプロセスの探求
2つめは、理想のデザインプロセスの探求をしました。プランニングフェーズから参加して、プロトタイプを作って、ユーザビリティテストを繰り返す。これを当時のデザイングループの売りにしようと、スローガンも「プランニング&デザイン」にして活動をはじめました。
デザイングループに新しい風
次に、新しい風を吹かせようということで、特に日本、アメリカ、中国のユーザー企業を訪問して「製品がどのように使われているのか?」を、実際にユーザーと触れて気づきを得て製品に活かす、という活動をしていました。
他部署を巻き込んだデザイン思考ワークショップ
あとは、デザイン思考を取り入れて開発本部やサポートの人達を巻き込み、デザイン思考のワークショップをして「一緒にアイデアを考えましょう」という活動もはじめました。これによって社内でも「デザイングループが新しいことを始めたぞ」とジワジワとリサーチを浸透させました。
開発メンバーを連れてグローバルIT企業へ訪問
また、当時サイボウズの開発メンバーはアメリカでの業務経験が少なかったので、「刺激を受けよう」ということで、シリコンバレーの最先端の企業に訪問したりもしました。
例えばマイクロソフトのマウンテンビューにある家庭向け製品のユーザビリティラボで話を聞いてかなり最先端なことを持ち帰ったり、アドビのリサーチマネージャーとランチをしてリサーチについて気軽な感じで話を聞いたり、新しい風を社員に感じてもらおうと考えていました。
もっと気軽にリサーチ~プロトを作り、UTを繰り返す。目標年40回~
また、「もっと気楽にリサーチしよう!」ということで、ペーパープロトタイプでユーザビリティテストを繰り返すことをしました。2015年に日本橋のオフィスに移転した際に、ユーザビリティテストが出来るラボを作り、マジックミラー越しにユーザーを観察して「困っているところを改善していく」回数も増やしていきました。
実際に2018年当時は年40回のリサーチをするようになりました。2019年は若手を育てようということでチーム再編をしました。(コロナ渦でリサーチ回数はだいぶ減りましたが)今年は40回に向けてリサーチャーも補強してガンガンやっていこうと思います。
これからUX組織で何をする?
では、今年何をするかをお話します。
デザイン&リサーチOpsチームを新設
デザイン&リサーチOpsチームを新設しました。「採用、育成、相談、チームづくり、効率化」を徹底しようと考えています。人数が増えてきたので、わからないことや疑問を整理して、みんながスムーズに仕事に集中できるような環境にしようという活動をはじめています。
若手キャリア相談~新人へのオンボーディングを強化~
それから、リモートになると新人や若手が話す機会が減ってしまうので、オンボーディングを強化しようと、オンボーディングガイドを作り、最初の1か月ぐらいは1on1で一緒に話して不安を解消するようにしています。
また、若手のキャリア相談では、マンダラシートを使います。真ん中に目標を立てて、そのためにやりたいことを周りに書き、さらにブレイクダウンして何をやっていくかを周りに書いてもらいます。これを見ながら「今、この部分を強化している」というようなことを1on1で確認しています。
実際使っているテンプレートがこちらです。「5年後にプロダクトデザイナーで活躍」を目標に掲げて、そのためには「デザインやリサーチの経験を積んで、PMやエンジニアと連携する」「製品の知識を身に着ける」この辺をバランスよく鍛えようね、など、あせる必要はないので、1年目はこの辺、2年目はこの辺を強化して、「5年後の活躍を目指していこう」という話をしています。
Q&A
柴田さんのこれまで
学生時代はどんな研究室でしたか?
千葉大学の人間工学研究室で、使いやすさの研究や座りやすさの研究をしていました。もともとモノづくりが好きだったのですが、モノづくりに根拠をもって、「この画面にこういう風にデザインするんだよ」と理由を持ってやることが楽しかったので没頭していました。それをアルバイトとして企業に提供していました。
インターンからその後、お仕事など、どうやってたくさんの企業と出会いましたか?
最初に行ったのはNECデザインさんでした。OBが多くて横のラインがつながっているので、僕がプロトタイプを作っていることが伝わり、企業からの仕事がくるようになりました。
マイクロソフト時代に日本拠点の立ち上げはどんなことをしていましたか?
調布にマイクロソフトのラボが出来たばかりで、ゼロからラボづくりをしていました。設計や機材調達をして、ユーザビリティ調査が出来るような環境にするために1、2か月間かけて、ほぼ泊まり込みでやりました。
柴田さんはなぜサイボウズに行かれたんですか?
開発部長が元同僚で話は聞いていたのですが、ちょうどサイボウズが日本橋にオフィスを作るときに「ラボを作るから」ということで入りました。組織を立ち上げることに魅力を感じました。
サイボウズデザイン&リサーチのこれまでとこれから
デザイン&リサーチチームのはじまりと困難はありましたか?
最初はどのメンバーがどんな役割や特長を持っているのかが見えなかったので、3か月ぐらい時間がかかりました。1on1で話すようになって「その人には何が響くのか」「得意技は何か」が理解できるようになりました。
半年目ぐらいからは色々な相談が来た時に「これであればあの人だ」と振れるようになってきました。その中でも「分報」は誰が何をやっているのか見えるので、かなり役に立ちました。分報が投稿出来ない時は余裕がない場合が多いので、キャッチをして1on1を入れて「何かモヤモヤある?」と声をかけて解決するようにしました。
UXリサーチの取り組みが根付いていない企業の場合、どのようなことから始めるのが良いでしょうか?
まずは外部講師を呼んでセミナーをすることが王道だと思います。「リサーチをするとなぜ良いのか」ということを社内の多くの人に知ってもらうことですね。
組織の中での立ち位置、他部署との関係性や連携について教えてください。
デザイン&リサーチチームは開発本部にあり、各プロダクトチームのデザイナーを兼務しています。センター機能としてOpsチームを作り、ノウハウを貯めて、メンバーは各製品チームに入って活躍しています。製品チームに入り、製品のUIがはじまると「分報」をする余裕が無くなってきたり、何をやっているのか、何に悩んでいるのかも分からなくなることが多いので、センターでノウハウを貯めてバランスよくやろうとしています。
あとは、サイボウズは雑談をする文化があるので、何かあれば雑談をします。特長的なのは、新卒が入社する前の学生の時から週1ぐらいで雑談をしていることです。たわいのないことから、「何を勉強しておけばいいのか」などは必ず聞かれるので、本を1冊用意しておいて「これをやっておけばいいよ」というようなことを話しています。雑談をしておくと入社した後にすぐにスタートダッシュが出来ます。
UXリサーチをプロダクトに反映するフローや組織体制はどのようになっていますか?今の現状を作るまでに苦労したところはありますか?
サイボウズも数年前から製品のアジャイル化がはじまっており、リサーチも「いかに早くサッとやるか」が重要になりました。ただ、完成形はない気がするので、開発チームと二人三脚でやっています。スピードをあげるための工夫としては、レポートをなくしました。テストをやった後、1、2週間経ってレポートが出てきても遅いので、テストをみんなで見ながら、次のアクションを決めています。
プロジェクトにおいてUTやリサーチのマイルストーンを決めていく際はPDMと意思決定をすることが多いですか?
基本的にはPMと一緒に動くことが多いです。PMがバックログを作る時に、「ここはどうなんだろう」と思うところをサッとリサーチします。とはいえ、それだけだとリサーチャーが受け身の体制になってしまうので、メンバーには「先行リサーチをやろう」と話しています。サイトビジットをしてユーザーの生の姿を見て、何が課題なのか自分で感じ取ることが必要だと言っています。
また、リサーチタスクにおけるプロジェクトメンバーとの合意形成はリサーチチーム主導で進める感じでしょうか?
基本はPM主導のほうが製品に反映されやすいですが、リサーチチーム主導でも動けるように意識はしています。中にはPMからの発信待ちになってしまうリサーチャーもいるので「自分から考えてネタ帳作って、どんどんリサーチをしよう」という話はしています。「このあたりが使いにくそう」とか、「ここはユーザーが困っていたな」などをネタ帳に貯めておき、時間が空いたら解決するためのリサーチをすることをアドバイスしています。
利用者が多岐にわたるシステムのサービスデザインはどのように行いましたか?
サイボウズのkintone(キントーン)という商品は様々な方に使っていただいています。繰り返し繰り返しすばやくリサーチすることが大切だと思います。
デザイン&リサーチOpsの立ち上げ背景を教えてください。
チームメンバーが15人を超えたあたりから、デザイナーやリサーチャーが雑務などで自分の作業に集中できないという声が聞こえるようになったので、そういうのを一緒にまとめて解決しようとOpsを立ち上げました。
ユーザー視点と内部の感覚・衝動の折り合いをつけるような場面はありますか?(デザイン思考とアート思考のせめぎあいと言いますか)
感覚的にはあまりないと思っていますが、たまに声の大きい人には「ユーザー視点で判断しましょう」といったことは言います。
とある機能やサービスを改善する場合に、細かなUI改善と抜本的なUX改善の両輪をどう回していますか?(体制、振り分けの判断ポイント、あるいはデザイナーのステップアップをどうしているかなど)
一般的に製品チームに入っていくと細かいUI改善にシフトしがちで、抜本的なUX改善はしにくくなることはありますので「細かい改善ではユーザーインパクトはあまりないから、もう少し大きいところでやってみない?」など、1on1でアドバイスすることはあります。
UXリサーチャーです。リサーチャーが多めの部署だというお話ですが、サイボウズさんがリサーチャーに求めているスキルセットはどのようなものですか?
最近はユーザビリティテストの経験がある人を採用しています。課題の発見やタスク設計が出来て、その部分を繰り返しやってきたことのある人や、サイボウズはBtoBなので製品の改善が好きな人を採用しています。
私自身、得意技を自分で見つけるのが苦手なんですが、そんな人が部下にいたらどんなアドバイスをしますか?
アドバイスというより雑談から入ります。たわいない話にも糸口があるので深ぼっていきます。ある新人が「水餃子が作るのが得意」という話になったので、「では来週、水餃子の作り方勉強会を社内でしよう!」という話をして、自分の興味のあることでスライドを作ったりプレゼンをしてもらい、少しずつ自信をつけていってもらうようにしています。
多様なメンバーが能力を発揮する組織づくりとは
柴田さんのこれまでの組織づくりの土台になっているものは?
野球チームづくりですね。「誰にどのポジションを任せるか、打順をどうするか」などその人の個性を見ながらポジショニングすることは昔からやってきたので、今のデザイン&リサーチの組織づくりも全く同じですね。
面接からすべてリモート、チームに加わり活動もリモート中心となりますが、そこでの取り組みなどを教えてください。
ここ2年は5回も出社していないぐらいリモートです。まだ1度も会っていない中途のメンバーもいますし、新卒にもリアルでは会っていません。ですので、オンボーディングガイドは気合を入れて作りました。最初の1か月間で1on1をするのですが、「今までのチームの流れや経緯」「チームが大切にしていること」「こんなメンバーが多くて、雑談とか自由にしていいし、知らないことがあったら躊躇せずに聞いてね」という会社の文化を伝える資料を作りました。リアルだとランチを一緒に食べるだけでも伝えられるんですが、今は1on1で伝えています。
組織の成長においてメンバーの育成は必須かと思います。OJT以外での育成はどのような方法を採用されていますか?
基本はOJTですが、スキルマップを作って、メンバーで見ながら、それをベースに「次何しようか」と話していますね。
スキルマップはどういう経緯で作ったかというと、少年野球で教えていた時の学びからです。育成は「技術と自信とのバランスが大切」です。この図は、横軸が技術、縦軸が自信になるんですが、Aの子は小学校3年ぐらいになると急に「ピッチャーやりたい!」という子が出てくるんですね。そういう子には少しづつピッチャーになるための技術的なことを教えて、右のほうに寄せていってあげるんですね。一方、Bの子は「いい振りはしているけど、自信がなくて打てない」感じなので、ちょっと打順を下げて7番、8番ぐらいで自由に打て、1回打ったら褒めまくると成長ラインに乗るんです。成長ラインに乗った子は結果を出せるようになります。これをスキルアップに応用したりしています。
上の図は、自分のスキルマップですけれども、横軸が技術や知識で、縦軸が自信とか願望になります。サイボウズで作ったのは、「UT分析・レポート作成が出来ますか?」とか「仕事でこういうことをやりたいですか?」など、72項目のアンケートに答えていくことで、自分のスキルマップが出来上がります。これをメンバーと見ながら、「自信のあるのはこの辺だね」とか分かると、「じゃあ、次はこの辺を伸ばそうとか」など相談が出来ます。
新人は左側の「技術はないけど、やりたいことは沢山ある」ので、1つずつ何をやればいいか教えて、右のほうに持っていきます。一方、右下の「出来るけど自信がない」というエリアもあるので、どんどんトライさせて小さな成功体験を作ってあげます。成功したら褒めて自信を持ってもらうと右上のほうに固まってきて、仕事で発揮するようになります。
メンバーの悩み相談を受けることが多いのですが、どんなふうに聞き、どのように解決をして育成をしてきましたか?
スキルマップもそうですが、先ほどお見せしたマンダラをベースにしたり、「今何をやっているか」「何が終わったか」をカンバン形式で画面を共有しながら、具体的に次は何をしようという話はしていますね。カンバンというのは3レーンあって、一番左に「これからやるタスク」があり、真ん中に「今やっているタスク」を移す、終わると右のレーンに持っていく、その一画面を見るとその子が今何をやっていて、次どんなタスクがあるか分かります。
柴田さんのマネジメントのバックグラウンドに野球があるというのが面白かったです。柴田流マネジメントはどのように引き継いでいかれますか?
マネジメントはその時のマネージャーやリーダーが自分なりのやつを作ればいいと思うので、僕のやり方はあくまでも僕のやり方であって、強制はしません。時代によって違うので、「時代とメンバーと向き合って考えてね」という感じです。過去の成功体験が今良いわけではないので、変に過去の成功体験に縛られることはないとリーダーには話しています。
自分としてはキャッチボールをどう上手くするかが大事だと思っています。キャッチボールは「自分のスピードをアピールする」のではなく、「相手の取りやすいボールを投げてあげる」のが大原則なので、相手の取りやすい位置で投げてあげることで、だんだん上手くなっていって活躍してくるようになるので、そういったことを意識すれば良いと思います。
セミナーの内容は以上です。
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