今月のUX情報:2022年6月
海外や国内のUX関連の記事や情報を定期的にお届けしています。
目次
- 1 【UXイベント紹介】97 Things Every UX Practitioner Should Know
- 2 子供のためのUXデザイン、子供が気に入るプロダクトを作成する方法
- 3 アプリを再設計する目的と方法
- 4 NPSは有効なのか
- 5 2022年にフォローすべきUXインフルエンサー15人
- 6 UXの10の法則
- 7 【当日レポート】RESEARCH Conference 2022
- 8 【アーカイブ動画公開】RESEARCH Conference 2022
- 9 HCD-Netアニュアルレポート(2021年度版)公開のお知らせ
- 10 良いCTA、悪いCTA
- 11 組織をCX/UX中心に迅速に移行させるための5つのステップ
- 12 顧客の課題解決のために後方(Backward)から取り組む
- 13 eコマースエクスペリエンスのための4つのベストプラクティス
【UXイベント紹介】97 Things Every UX Practitioner Should Know
“97 Things Every UX Practitioner Should Know“の1周年記念として、2022年6月7日(午前4時~)から、著者の6人がトークとQ&Aセッションを行います。時差があるため日本時間早朝も開催ですが、参加無料です。2022年4月21日のポップインサイトのセミナーにご登壇いただいたDanielle Cooleyさんや、弊社ウェブサイトで記事を翻訳させていただいたCindy Brummerさんもご登壇されます。
イベントページ:https://www.eventbrite.com/e/6-ux-things-on-66-tickets-323990222477
子供のためのUXデザイン、子供が気に入るプロダクトを作成する方法
子供たちの大多数はデジタルデバイスを積極的に使用しており、その多くは自分のスマートフォンやタブレットを持っています。
Statista(2021年)によると子供に人気があるのはソフトウェアとビデオコンテンツで、子供に優しいデザインが特に必要とされるのは、エンターテイメントとオンライン学習とフィンテックと考えられます。そして、子供向けのUXデザインは単純ではなく、子供と大人の間で要求の違いを知る必要があります。具体的には、身体的な違いです。
子供の運動能力(特に若い年齢)は、他の年齢層のものとは異なり、たとえば、幼い子供は通常、ゆっくりとタイプするか、マウスの利用も制限されます。これは、デザイナーが子供向けのUIを作成するときに注意しなければならないことです。
また、一般的に、大人よりも忍耐力がなく、インタラクションを望むため、子供たちの関心を維持するためのデザインが必要です。子供たちは広告やプロモーションを実際のコンテンツとほとんど区別できないため、デザインは何が起こるかについてわかりやすくなければなりません。
これらを踏まえた子供向けのUXの5原則は次のとおりです。1:ターゲットの年齢層に合わせたデザイン、2:慎重なカラーパレットとフォントの選択、3:フレンドリーな仮想ヘルパーの設定、4:絶え間なくフィードバックと報酬を与えること、5:可能な限り直感的にすること。
引用元記事はこちら(英文):UX Design for Children: How to Create a Product Children Will Love
アプリを再設計する目的と方法
アプリの再設計する目的は、主に4つあります。
1つ目は、時代遅れの見た目の改善です。Toptalによると 、第一印象の94% はデザインに関連しています。多くの場合、デザインがいまいちだと、ユーザーは簡単にアプリ使用をあきらめる傾向にあります。トップ企業アプリのUIを確認し、アイデアを得ることが大切です。
2つ目は、アプリの低評価、否定的な顧客レビューに対応するためです。ユーザーからのフィードバックは、アプリのどのコンポーネント・機能が適切に機能せず、何を改善する必要があるかを教えてくれます。
3つ目は、新しい機能を追加したりして複雑になっているインターフェイスの改善です。
4つ目は、リブランドです。既存の顧客の興味を呼び起こし、新しい顧客を見つけるために実施する場合です。
そして、アプリの再設計は、UXリサーチと再設計プロセス設定の2つの大きな段階に分かれます。アプリを再設計する場合は、外観(UI)だけでなく、アプリでの体験(UX)も改善する方法をじっくり検討し、最初のステップとしてユーザーが持つ課題を解決するよう最終的な目標を設定しましょう。またプロセスの過程として重要なのはプロダクトのテストと改善の繰り返しです。
引用元記事はこちら(英文):How to Redesign an App: When to Do It and What to Start With
NPSは有効なのか
NPS(ネットプロモータースコア)は、2003年にハーバードビジネスレビューで紹介されて以来、顧客の忠誠心と満足度を追跡し、ビジネス上の意思決定を導くのに役立つ、簡単で比較可能な予測指標として利用されています。
NPSでは、単純な質問「どのくらいこのサービス・プロダクトを友人に勧めますか」を1つ行うことで得られます。しかし、NPSは7,8のスコア、つまりスケールの18%に破棄することになり、カテゴリの区切りは任意、満足度と忠誠心が必ずしも等しくないなど、必ずしも最適な指標と言えない部分があります。
満足度を正確に測定したい場合は、NPSを引き続き使用してもすべての回答の平均を測定しデータを破棄しないこと、新しいユーザーに誰に勧められたかどうかを尋ねること(Netflixはこれで満足度と忠誠心を関連付け)、セグメントごとに回答をみることが必要です。
引用元記事はこちら(英文):10 reasons why NPS is BS (and what you can do about it)
2022年にフォローすべきUXインフルエンサー15人
専門的な成長には、他の人から学ぶことも重要です。注目に値するUXインフルエンサーのリストをまとめました。
キム・グッドウィン(「Designing for the Digital Age」著者)ジェフ・ゴセルフ(「リーンUX」著者)エリカ・ホール(Mule Designの共同創設者、「Conversational Design」著者)ダン・サッファー(著書「Microinteractions」)ジャリッド・スプール(User Interface Engineeringの創設者)リジー・ダイソン(Ladies That UX 共同設立)ケイティ・ディル(Stripeのデザイン責任者)ジュリー・ズオ(Sundial共同設立)クリス・メッシーナ(ハッシュタグの発明者)エリザベス・チャーチル(Googleの現在のUXディレクター)コーリー・レブソン(UXコンサルティング会社であるLebsonTechLLCを設立)イオアナ・テレアンヌ(UX Goodies運営)カトリオ・ナシェッド(Instacartデザインディレクター)アイリーン・オー(hosla Venturesデザインパートナー)ゴールデン・クリシュナ(「 The Best interface is No Interface 」著者)
引用元記事はこちら(英文):Top 15 UX influencers you should be following in 2022
UXの10の法則
人間の心を理解することによって、UXデザイナーはユーザー中心のプロダクトと体験を構築できます。JonYablonski著「Laws of UX」はUXの複雑な法則をより多くのデザイナーが利用できるように整理したデザイナーにお勧めの本です。
ここではそのうちUXの10の法則を紹介します。
1:ヤコブの法則
ユーザーは既知の他のサイトと同じように、そのサイトが機能することを期待しています。既存のモデルを活用することで、ユーザーに新しいモデルを学習させることなく、目前のタスクに集中できるユーザーエクスペリエンスを提供できます。
2:フィッツの法則
ターゲットを取得する時間は、ターゲットまでの距離とサイズの関数で表されます。ユーザーが操作するのにかかる時間は重要な指標です。このためには、ターゲットがユーザーが簡単に識別して正確に選択できるように十分な大きさであること、それらの間に十分なスペースがあること、簡単に認識できるインターフェイスの領域に配置することが大切です。
3:ヒックの法則
利用可能な選択肢が増すにつれて、決定にかかる時間は長くなります。ユーザーインターフェイスだけでなくプロセスにおいても選択肢が多すぎる、情報が多すぎるなど、ユーザーが特定のタスクを正常に完了するための障害となる可能性となります。このため、選択肢を最小限に抑えること、タスクを小さなステップに分割して認知的負荷を減らすこと、インターフェイスまたはプロセスを簡素化することが大切です。
4:ミラーの法則
平均的な人は、作業記憶に7(±2)個のアイテムしか保持できません。このため、コンテンツを小さなチャンクに整理して、ユーザーが簡単に処理、理解、記憶できるようにすることが大切です。ただし、短期記憶は、事前の知識や状況によって、個人ごとに異なることに留意してください。
5:ポステルの法則
ユーザーは常に自分がコントロールしていると感じることを期待しており、必要以上の情報を提供するように求められると、一般的にイライラします。人間とコンピューターは、情報の伝達と処理が異なるため、設計によってコミュニケーションのギャップを埋めなければなりません。ユーザーからの入力に関しては適切なフィードバックを用意しましょう。
6:ピークエンドの法則
ユーザーは体験のすべての瞬間の合計や平均ではなく、主にピーク時と終了時の感じ方に基づいて体験を判断します。ユーザージャーニーの最もピークとなるポイントと最後の瞬間に細心の注意を払うこと、プロダクトが最も役に立つ、価値のある、またはユーザーを喜ばせるデザインの瞬間を特定することが大切です。ユーザーはポジティブな経験よりもネガティブな経験をより鮮明に思い出すことに留意してください。
7:美的-使いやすさの効果
ユーザーは、見た目に美しいデザインを、より使いやすいデザインとして認識することがよくあります。人々はWebサイトを見てから50ミリ秒以内に意見を形成します。審美的に心地よいデザインは、ユーザーの脳に前向きな反応を生み出し、デザインが実際により良く機能すると信じるように導きます。また、プロダクトデザインが美しい場合、ユーザーはマイナーなユーザビリティの問題に対してより寛容になります。
8:フォンレストルフ効果
類似したオブジェクトが複数存在する場合、他のオブジェクトとは異なるオブジェクトとして記憶される可能性が高くなります。例えば、バナーブラインド(広告であると認識する要素を無視する傾向)が挙げられます。このため、重要な情報やアクションを視覚的に区別できるようにすること、視覚的要素を強調する場合は互いに競合しないようにすること、また目立つアイテムが誤って広告として識別されないようにすることが大切です。
9:テスラーの法則
どのシステムやプロセスにも減らすことのできないある程度の複雑さがあります。すべてのプロセスは除外できない複雑さを持っているため、システムでその複雑さに対処するか、ユーザーにその負荷を負わすか、そのバランスを決めなければいけません。
10:ドハティのしきい値
コンピューターとユーザーが(<400ミリ秒以内)のペースで対話すると、生産性が急上昇し、どちらももう一方を待つ必要がなくなります。このため、ユーザーには400ミリ秒以内にフィードバックを提供し、ユーザーの注意を引き付け、生産性を向上させること、アニメーションやプログレスバーなどを使用して応答時間を改善し待機時間の知覚を減らすこと、応答がユーザーの予想より速すぎる場合は意図的に遅延を追加することなどが大切です。
引用元記事はこちら(英文):10 laws of UX
【当日レポート】RESEARCH Conference 2022
2022年5月28日(土)に開催されたデザインリサーチやUXリサーチをテーマとした日本発のカンファレンス【RESEARCH Conference 2022】の当日レポートが公開されています。
▼当日レポートはこちら https://note.com/researchconf/n/n5d8830267f21
引用元記事はこちら:https://twitter.com/researchconfjp
【アーカイブ動画公開】RESEARCH Conference 2022
2022年5月28日(土)に開催されたデザインリサーチやUXリサーチをテーマとした日本発のカンファレンス【RESEARCH Conference 2022】のアーカイブ動画公開されています。
▼アーカイブ動画はこちら https://www.youtube.com/channel/UCxixfADyWsW_xdO-HVBjQsA
引用元記事はこちら:https://twitter.com/researchconfjp
HCD-Netアニュアルレポート(2021年度版)公開のお知らせ
人間中心設計推進機構 HCD-Netより、HCD-Netアニュアルレポート(2021年度版)が公開されています。
HCD-Netアニュアルレポート(2021年度版)はこちらからご覧ください。
https://www.hcdnet.org/organization/news/hcd-1889.html
引用元記事はこちら:https://www.hcdnet.org/
良いCTA、悪いCTA
CTA(Call to Action)は、良くユーザーがアクションを実行できるボタンであると言われます。このアクションとは、例えば、購入の開始、苦情の申し立て、パンフレットのダウンロード、カスタマーサービスへの連絡、または緊急連絡先への電話などです。
しかし、CTAは単なるボタンではなく、道路標識のようなもので適切な場所に配置しないと、ユーザーが行動について迷ったり、遅れたり、混乱したりしてしまいます。悪いCTAはユーザーを誤解させ、時間を無駄にします。CTAの良し悪しについて判断する基準は次のとおりです。
1:意味のあるラベルを書いているか
ラベルの文章は一人称で書き、時制を提示しましょう。
2:サイズが重要
アクションの重要性を定義し、それに応じてCTAのサイズを決定します。通常、10mmx10mmが適切な最小タッチターゲットサイズです。
3:色が重要
色はCTAの成功に決定的な役割を果たします。色の選択は、CTAが配置されている場所とその機能によって異なります。主要なCTAにブランドの色を使用して、認知度を高め、エンゲージメントを向上させます。
4:階層に従う
CTAは情報を伝達します。しかし、情報の流れがバラバラであると、ユーザーは混乱する可能性があります。したがって、階層を理解し、それに応じて設計することが重要です。
5 :ボタンをテストする
A / Bテストを行い、ユーザーインタビューを実施し、データを深く掘り下げて、何が機能し、何が機能しないかを理解します。
引用元記事はこちら(英文):Good CTAs, Bad CTAs
組織をCX/UX中心に迅速に移行させるための5つのステップ
組織を顧客中心主義に迅速に移行し、UX/CXという考えをいち早く取り込む5つのステップを紹介します。
ステップ1:CX/UXのプロを雇う。CX/UXは簡単に得れるスキルではありません。最低2年以上の経験は必要です。
ステップ2:エンジニアリングとほぼ1:1の比率でCX/UX担当者を採用する。
ステップ3:UX担当者が意思決定権を持つようにする。UX担当者が、他の意思決定者に確認・調整するための会議に長時間費やすことはやめましょう。
ステップ4:CX/UXに割く時間をしっかり見積もる。CX/UXはすべての作業に影響を与えます。ビジネス分析、製品開発、エンジニアリング、CX/UXが平等な時間配分となるようにしましょう。
ステップ5:CX/UXリサーチ、デザイン、エンジニアリングの3つが協調し、互いにフィードバックを進めながら開発を進めるようにしましょう(Tri-Track Agileと言われます)。
引用元記事はこちら(英文):How To Make CX/UX Agile In 5 Steps
顧客の課題解決のために後方(Backward)から取り組む
顧客がなにを必要とし、顧客になにを理解してもらえばよいかを知るために良い方法があります。
それはREFAQと呼ばれるAmazonによって普及したアプローチです。簡単に言うと、プロダクト開発の最終結果を視覚化することです。
プロダクト開発後のプレスリリースで何を伝えるか、またはよくある質問(FAQ)にどのように答えるか想像するということです。これを実施することにより、最終的なロードマップをチームに提供でき、その後、プロダクトの開発に逆戻りします。
まず、プレスリリースを書くことによってプロダクト開発の結果を視覚化します。 プロジェクトを際立たせる大きなアイデアとポイントを具体化することができます。プレスリリースおよそ1ページに関連するすべてを書き込みましょう。
次に外部向けFAQのドラフトを作成します(別名PREFAQといいます)。ジャーナリストをメディアイベントに招待していると想像してみてください。ターゲットオーディエンスに重点を置くことで、内部プロセスや実現可能性調査に飛び込む前に問題を分析できます。これもおおよそ1ページほど作成します。
そして、最後に社内の利害関係者のための「社内のFAQ」のリストを作成します。これは2〜3ページにすることをお勧めします。
顧客にとって重要なプロダクトを開発しようとしているとき、このようにプロセスを逆方向に作業することはチームの焦点を絞り、効率的な演習となります。
引用元記事はこちら(英文):Working backward to solve customer problems
eコマースエクスペリエンスのための4つのベストプラクティス
eコマース市場は急速に成長し続けています。消費者の間でデジタルリテラシーが高まり、市場にさらに新しいプレーヤーが参入することにより、優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)の水準も上がってきています。eコマース市場で優れたCXを提供する4つのポイントを紹介します。
1.一貫性が鍵
オムニチャネル傾向は今度も続くでしょう。ビジネスが運営されているチャネル全体で一貫したメッセージング、トーン、優れたサービスを維持することが重要です。
2.人とのインターアクションに投資する
ほとんどの顧客は可能な限り実在の人物と話すことを好みます。カスタマーサービスに対し技術進歩に頼りたくなるかもしれませんが、人間のタッチポイントは、顧客の信頼を勝ち取るのに大いに役立つ可能性があります。
顧客が、実在の人物と話すことができ、重要な存在と思われていることを感じることは、顧客に安心感を与え高い評価につながります。
3.カスタマージャーニー全体の透明性
顧客は通常、サプライズをそれほど好みません。顧客とのコミュニケーションにおいて、情報の透明性を重要し、顧客が一目でそれらを見つけることは、高く評価されます。
4.市場に出す前に、顧客からのフィードバックを得る
まず、アイデアが、ビジネスのすべての部門によって支持されているか、顧客中心のビジョンと一致しているかどうかを確認しましょう。そして、早い段階でフィードバックを収集しましょう。リモートユーザー調査のおかげで、推測するのではなく、確かな結論を導き出すことができます。
引用元記事はこちら(英文):4 best practices for delivering top ecommerce experiences
無料DL|ユーザビリティテストの基本
数あるUXリサーチ手法の中でも最初に始めやすい「ユーザビリティテスト」の「基本的な設計・実査・分析の流れ」と「実施の進め方や注意点」を解説します。