デジタルトランスフォーメーション(DX)とはなにか?海外ケーススタディとベストプラクティス
本記事はAIMultiple社より許可を得て翻訳したものです。
元記事:”Digital Transformation: What it is, case studies & best practices”, April 18, 2021
VUCA(予測不可能)の時代と呼ばれ、ビジネス環境の急激な変化への対応が求められる昨今、その解決策の一つとしてデジタルトランスフォーメーション(DX)がよく取り上げられるようになりました。
DX施策として、データやデジタル技術の活用を推進しようとする取組はよく聞きますが、そこに顧客の存在しない、形だけのDXが多く見受けられるように感じます。
しかし、置き去りにされている顧客の体験価値こそがグロースの基軸であり、変革の出発点です。顧客のニーズに基づいた適切なDXを推進・支援するために、DXの事例や考え方を紹介するとともに、顧客理解の重要性を今一度一緒に考えていきたいとの思いから、今回、海外DX情報の翻訳記事を発信することにしました。
ぜひご一読ください。
1980年代のパーソナルコンピュータ台頭により、企業は製品・サービスの向上とコスト削減のためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めてきました。そして、2020年現在、DXの導入は、より一層の高まりをみせています。
現在、89%の企業が、すでにデジタルファーストのビジネス戦略を採用しているか、その計画を立てており、87%の企業がデジタル技術が自社の業界に大きな変革をもたらすと考えています。
この数字は、経営者がすでにDXの重要性を認識しており、デジタルテクノロジーへの需要が今後も増加することを示しています。
しかし、大手コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニー(以下、マッキンゼー)の調査結果によると、DX導入において成功した事例は30%以下に過ぎません。
いまや、DXは、企業の成功の鍵です。しかし、それを達成するには、組織ぐるみで足並みをそろえ、デザイン思考をおこない、最先端のテクノロジーを導入することが必要です。
目次
デジタルトランスフォーメーション(DX)とはなにか?
まずは、私たちのDXの定義からご説明します。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、市場や日々変化するビジネス上の課題に対応するために、デジタル技術をビジネスのあらゆる側面に統合していくプロセス」
DXの目的は、事業活動を効率化し、顧客・ユーザーと良好な関係を構築することにあります。企業は、この目標を達成するために、システム、プロセス、組織、企業文化を刷新する必要があります。
なぜ今DXが重要なのか?
競争が激化する中、DXは、時代に即した存在であり続けることを目指す企業にとって強力な武器となります。しかしながら、前述したように、DXプロジェクトの70%は失敗しているのが現状です。
一方で、ハーバード・ビジネス・レビューの調査結果によると、デジタル製品を利用せず業務活動のデジタル化も実施していない企業はわずか23%であることも明らかになっています。
パソコン、インターネット、モバイル・コンピューティング(ノートパソコンやモバイル端末を用いて出先や移動中にコンピューターを利用すること)、ソーシャルメディア、そして近年のAIの進歩といったデジタル化の進展は、重要な技術革新であるとともに、これらに対する適応が遅いとたちまち失敗へ至ってしまいます。
例えば、電子商取引の台頭によって引き起こされたRetail apocalypse(小売業の黙示録:米国における小売業の衰退)では、何千もの企業が廃業に追い込まれました。小売業者としてEコマースへの適応を失敗することは、多くの企業にとって終焉を意味したのです。
DXに関する詳細な統計についてまとめた記事はこちら(英文)。
パンデミックは企業のDXにどのような影響を与えたか?
パンデミックの企業への影響は深刻です。PwCの調査によると、米国では50%以上の企業がパンデミックの影響で計画していた投資を延期または中止しています。
しかし、IDCの調査によると、企業はDXへの投資を延期または中止していません。
パンデミック下にもかかわらず、DXに関する技術やサービスへの世界的な支出は、2020年には10%増の1兆3,000億ドルになると推定されています。
Googleトレンドのデータからも、DXへの関心がパンデミック下でピークに達していることがわかります。
DXがもたらす価値とは【業界別】
ヘルスケア業界
ヘルスケア業界において主要な役割を果たしているのは、医療機関・病院、メドテック・ヘルステック企業、製薬会社の3者です。DXは、3者にとって異なるメリットをもたらします。
- 医療機関・病院
- DXは、デジタル技術によって医師を支援し、患者のケアを向上させます。同時に運営コストを削減します。
- メドテック・ヘルステック企業
- これらの企業はテクノロジープロバイダーであり、デジタルに精通した企業にサービスを提供します。DXが進めば、より市場規模が拡大します。
- 製薬会社
- デジタル技術により、研究用のデータ収集と共有を可能にし、パーソナルケアを促進します。
ヘルスケア業界におけるDXの詳細については、こちらの記事をご覧ください。
小売業
小売業で重要視されているのは次の3つの変化です。
- カスタマー・エクスペリエンス
- カスタマー・エクスペリエンスは、企業が競合他社と差別化するための重要な要素です。
- 組織のアジリティ(機敏さ)
- 実用最小限の製品(※Minimum Viable Products:製品がユーザーの需要に応えているか仮説を素早く検証するため最小限の機能を搭載した製品)で仮説を検証し、迅速な意思決定を繰り返すことで、経営や組織運営が、目まぐるしい環境変化に即応できるようにします。
- オペレーションコストの削減
- 企業はサプライチェーンなどの運用コストを削減することができます。
小売業におけるDXの詳細については、こちらの記事をご覧ください。
銀行業
DXは、銀行に自動化の機会を促し、オンラインバンキングサービスの提供により、安全でストレスのないカスタマージャーニーを実現できます。
銀行業務におけるDXの詳細については、こちらの記事をご覧ください。
不動産業
不動産業界は、デジタル技術によって進化しています。
自身の面倒な作業を自動化するだけでなく、バーチャルツアー、取引の自動化、サービスのカスタマイズ化などを通じて、顧客の住宅購入体験を向上させることができます。
不動産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの詳細については、こちらの記事(英文)をご覧ください。
保険業
保険会社は、デジタルテクノロジーを活用することで、保険金請求処理や不正行為の検知などの業務を自動化し、顧客中心の商品開発に専念することができます。
保険会社のデジタルトランスフォーメーションについての詳細は、こちらの記事(英文)をご覧ください。
専門サービス・コンサルティング業界
DXは、コンサルティングの状況を根本的に変えました。90年代に市場に参入したアクセンチュアのような新しいプレーヤーは、マッキンゼーやBCGのような伝統的な経営コンサルティング会社をはるかにしのぐ成長を遂げています。
その結果、従来のコンサルティング会社は、デジタルに特化した企業を買収したり、デジタル/AIに特化した部門を立ち上げたり、テック/デジタルコンサルティング会社として再マーケティングを行ったりして、追い上げを図っています。
デジタル&AIがどのようにコンサルティングを進化させているのか、詳しくは以下の複数の記事(英文)をご覧ください。
Digital transformation consulting,AI consulting,Machine learning consulting,RPA consulting
海外のDX成功ケーススタディ
DXを理解するには、成功事例を検証するのが一番です。
DX成功事例を下表にリストアップしました。この調査では、2つのプロジェクトタイプに分けて整理しています。
- トランスフォーメーション(下表ではTと表示):既存のビジネスの運営方法を変えるプロジェクト
- イノベーション(下表ではIと表示):最新のテクノロジーを使って新しいビジネスを作るプロジェクト
また、コンサルティング会社を利用する企業と、社内のリソースを活用する企業がありますが、ここではDXコンサルティング会社の事例をご紹介しています。
※PDF6ページ分あるので、左下矢印でページ送りしてご覧ください。
※ファイルをご希望の方はその旨お問合せください。
まとめ
DXは、企業の成功の鍵であり、パンデミックにもかかわらず、企業はDXへの投資を増加させる傾向にあります。
一方で、DXプロジェクトの7割は失敗に終わっていることがわかりました。
DXの目的は、事業活動を効率化し、顧客・ユーザーと良好な関係を構築することにあります。言い換えれば、顧客のニーズを把握し、それに基づいた適切なDXプロジェクトでなければ、成功しないといえます。
「顧客体験にどのような変革を起こすべきか?」
「顧客はなぜその変革を受け入れるのか?」
という問いに答えていくことが、自社のDX推進の指針になる最初の一歩だと考えます。
ポップインサイトでは海外をはじめ、DX先進プロダクト・サービスのユーザインサイトを探るリサーチはもちろん、DXを推進の鍵となる「顧客体験からアイディエーション、ソリューションの価値検証を行うDX推進」に特化したリサーチ支援を行っています。
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