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はじめてのユーザビリティテスト。実際にあった、つまづきポイントは?

今年の4月からメンバーズ ポップインサイトカンパニーに入社してくれる学生さんたちに、インターンとして模擬案件を用意し、ユーザビリティテストを一通り体験してもらいました。

私はUXリサーチャー業務のメンターとして、相談に乗ったりレビューを行いましたが、その中で、実際に彼らがつまづいたところや、疑問に思ったところをご紹介したいと思います。

インターンで行ったユーザビリティテストの流れ

  1. 調査の内容を整理する
  2. どのようなモニタを集めればよいか考える
  3. タスクを設計する
  4. 課題を整理し、レポートにまとめる

では、順番に見て行きましょう。

1.調査の内容を整理する

ここが一番重要です。
お客様に書いていただいたと想定した「ヒアリングシート」を見て、なぜユーザビリティテストをしたいのか、調査結果をどのような形で活かしたいのか、何が分からなくて困っているのかなどを、UXリサーチャーが理解しなくてはこの後の作業には進めません。

インターンで行ったのは模擬案件ですので、実際にお客様に質問をするシーンはありませんでしたが、実案件の場合は認識齟齬がないかよくすり合わせる必要があります。

×良くない例

  • 調査の目的や背景を、流し読みしてしまう
  • 対象サイトを元々知っていたため、さっと見るだけで実際に操作しない
  • 「調査を通じて明らかにしたいこと」を言われたまま受け入れ、深く考えない

◎良い例

  • 調査の目的や背景を、自分の言葉で言えるくらいに理解する
  • この時点で対象サイトをよく確認し、構成を説明できるくらいに理解する
  • 「調査を通じて明らかにしたいこと」は、モニタ要件、タスク設計、レポートのすべての基になるため、この後も常に意識しながら作業を進める

2.どのようなモニタを集めればよいか考える

ここで調査の良し悪しが決まります。
「調査を通じて明らかにしたいこと」を頭に浮かべ、「この人にお願いした場合に、明らかになるかどうか?」を考えます。

×良くない例

  • サイトの使いやすさを検証したいのに、既に頻繁に使っている人を選定してしまう
    ・・・普段から使い慣れていると、よくないUIでもスイスイ使えてしまう恐れがある
  • サービス説明の情報が初見で理解しやすいかを検証したいのに、サービス利用経験者を選定してしまう
    ・・・経験上知識を持っている人に情報ページを見てもらっても、純粋に評価できない
  • 除外すべき人がいるか考えない
    ・・・過去そのサービスに興味があったが、現在は興味がない人などは除外する
  • 厳しすぎる条件にしてしまい、該当モニタが現れない
    ・・・「この商品を1週間以内に購入した人」などは出現が難しいため、集まり具合を見て条件を緩和することも想定しておく

◎良い例

  • 現在サービスを利用している、過去に利用したことがある、まだ利用したことがないなど、今回の調査ではどういった人が適切か深く考える
  • モニタ選定に必要な情報を、「必須」「優先」「除外」に分けて整理する

3.タスクを設計する

いよいよ、調査の内容を決めるタスク設計です。
「調査を通じて明らかにしたいこと」を漏れなく確認できるかが、最低限必要です。
そして、モニタにとって進めやすいか、回答しやすいかも大切です。タスクの意味がモニタに伝わらなければ、的外れな行動や回答に終始してしまうこともあり得ます。

×良くない例

  • 状況設定を具体的にしすぎて、モニタがありのままの価値観で調査を実施できない
    ・・・例えば「3月19日に、新潟県へ家族旅行に行きたいと思っている状況として進めてください」とした場合、行先や曜日の希望はモニタによって異なるため不自然な行動となり、自然に出てくるはずのインサイトが生まれにくくなってしまう
  • 自社と競合を比べる調査の場合に、閲覧順を深く考えないで決めてしまう
    ・・・「人間は前に見たものに影響を受ける」「開始直後の方が集中力が高い」ということを踏まえ、優先度や競合との関係性を考えて決める
    例)
    ・競合が業界シェアの多くを占めており、自社がそこに入り込みたい
    →競合閲覧を先にし、競合と比べて自社がどうかを見てもらう
    ・初心者向けコンテンツの情報が伝わりやすいかを確認したい
    →競合を先に見るとそこで用語などを学習してしまう可能性があるため、自社閲覧を先にしフラットに評価してもらう
  • 行動指示で複数のことをやってもらい、振り返り質問をまとめて聞いている
    ・・・振り返り質問は、各行動の直後に聞かないと記憶や印象が薄まり正確な回答でなくなる
  • 自社と競合を閲覧してもらうが、最終的にどちらを選ぶか聞いていない
    ・・・それぞれどのような強みがあり、どの部分が支持されているのかが不明確

◎良い例

  • 必要な状況設定に適したモニタを選定し、行動指示自体は自由度を上げる
  • 自社と競合の関係性や、今回の調査目的からタスクの順番を決める
  • 行動が異なる場合はタスクブロックを分け、それぞれの行動直後に印象を聞く
  • 自社と競合に対する印象を細かめの7点満点でそれぞれ聞き、結果に差を持たせて分かりやすくする
  • 調査の最後に、どちらのサービスを利用したいかを直接的に答えてもらう

4. 課題を整理し、レポートにまとめる

最後にレポートの作成です。
今まで何度も出てきた「調査を通じて明らかにしたいこと」の結果が、一目で明確に分かるようサマリスライドを作りましょう。

×良くない例

  • 「モニタはこう言っていました」「モニタはこう行動しました」というファクトのみに終始している
  • 結論が長文で、結局どうだったのか分かりにくい
  • このサービスに関する最大の課題が何であるか、伝わってこない
  • この調査結果を持って、お客様が次にどのようなアクションを取ればよいか分からない

◎良い例

  • モニタの行動観察や発話内容から、結果的にどのようなことが言えそうか、自分なりの言葉で表現する
  • 「調査を通じて明らかにしたいこと」に対する結論は、一文で表現する
  • 具体と抽象のちょうどよい点を探し、簡潔に書きながらも、重要なポイントは詳細が漏れなく伝わるようにする
  • ネクストアクションのイメージが湧くか、お客様になりきって見返してみる

今回は、はじめてのユーザビリティテストでのつまづきポイントをご紹介しました。ポイントを押さえて、調査の価値を高めていきましょう。

コラム執筆者

森川

ポップインサイトに入社後、UXリサーチャーとして、大手ECサイト、旅行雑誌、公営競技、求人媒体のサイト改善等、UXリサーチの業務全般を担当。最近は社内研修の現場で育成について考える日々。一児の母。趣味はゲームとミステリ小説を読むこと。

※ページ内で利用しているイラストはイラストACより引用

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