人間中心設計(HCD)を事例と共に理解する

【作成】2017/05/10   【更新】2019/07/11 

「人間中心設計」(HCD)という言葉を目にすることが近年増えています。しかし、実際にはどういうことをするのかイメージできない、という方も多いのではないでしょうか?本記事では、人間中心設計(HCD)をはじめようというときに、まず何から取り組めばいいかについて解説します。最初に取り組むべきことを明確にして、人間中心設計(HCD)を製品やサービス、ウェブサイト・アプリなどのUIデザインでの具体的活用につなげましょう。

人間中心設計(HCD)とは

人間中心設計(HCD=Human Centerd Design)は、製品やサービス・ウェブサイト・アプリなどを開発する際に、プロダクトを使用するユーザーの使いやすさを中心において設計する考え方です。プロダクトの開発側が提示した使い方に人間が合わせるという従来の考え方を離れ、使う人の観点でストレスなく使いやすいデザインを追及します。また、ユーザーの利便性を高めて満足度を高めるだけでなく、プロダクトが使いやすくなることでサポートコストが軽減されるなど、企業側にとっても恩恵がある考え方です。

人間中心設計を活用した事例

人間中心設計を活用して製品をリニューアルした事例を見てみましょう。

人間中心設計プロセスで3年をかけて開発された調理器具

出典:株式会社remy レミパンプラス

株式会社remyの「remy pan +(レミパンプラス)」は、2001年に発売されたヒット商品「レミパン」を全面リニューアルして開発された調理器具です。構想段階から人間中心設計のプロセスを取り入れて開発され、人間工学グッドプラクティス賞の優秀賞(2015年)、HCDベストプラクティスアウォード最優秀賞(2016年)、グッドデザイン賞(2016年)を獲得しました。

レミパンのリニューアルを進めるにあたり、まずはじめに行われたのは既存ユーザーを対象にした調査です。レミパンの好きなところや嫌いなところ、改善して欲しいところなどを細かくヒアリングし、ユーザーの声をもとにリニューアル後の商品が実現するべき点を洗い出しました。

さらに、調理中の様子を撮影するなど、ユーザーの料理体験を把握する「行動観察」が行われ、それをもとにした工夫がコンセプトやデザインに取り入れられています。

商品の開発にあたっては、快適な料理体験をユーザーに届けるという想いのもと、少しでも精度が高いものを届けるため納得いくまで徹底的に試作が行われ、3年の年月が費やされました。

レミパンプラスの大きな特色である、キッチンツールが置けるハンドルひとつ取っても、いくつもの試作品での比較実験が半年に渡って行われ、最も使いやすいものが選ばれています。

出典:株式会社remy レミパンプラス 3年の道のり
HCDベストプラクティスアウォード2016
フライパン [レミパンプラス] | 受賞対象一覧 | Good Design Award

人間中心設計の基本プロセス

人間中心設計の設計プロセスは国際規格化(ISO 9241-210)されており、日本語に翻訳されたものがJIS規格(JIS Z 8530)になっています。
<HCDの基本プロセス>

上図のように、HCDプロセスは、
  1. 利用の状況の把握と明示
  2. ユーザーと組織の要求事項の明示
  3. 設計による解決策の作成
  4. 要求事項に対する設計の評価

の4ステップで構成されており、ユーザーの要求が満たされたと評価されるまでこの「調査→分析→設計→評価」のステップを繰り返します。

「人間中心設計」はユーザーの言いなりになればよい!?

上記の通り、人間中心設計は、調査や分析によってユーザーの要求を明らかにすることから始まります。調査の手法として挙げられるのがインタビューやアンケートなどのヒアリング調査です。

では、人間中心設計は「インタビューやアンケートで集めたユーザーの声の通りのもの」を作ればいいのでしょうか。いいえ、それは大きな誤解です。人間中心設計では、ユーザー自身も気付いていないような「本当のニーズを満たすものを提案すること」が求められます。

ユーザーの声は、ユーザーの状況を知るのに大いに役立つものの、必ずしも、ユーザーのありのままの状態や最適な状態を表しているとは限りません。そのため、ヒアリング調査以外の手法も組み合わせてユーザーの本当の姿を知り、真の要求を汲み取ることが必要なのです

調査・分析段階での行動観察でユーザー理解を深める

ユーザーの本当の姿を把握するために、ヒアリング調査と組み合わせて行いたいのは行動観察です。「レミパンプラス」の事例でも、アンケートと合わせて、調理の行動観察が行われていました。

  • プロダクトに関連する行動を観察する
  • 現行プロダクトを使っているところを観察する(リニューアルの場合)
  • 競合プロダクトを使っているところを観察する

このような行動観察を行うことで「ユーザー自身も気付いていない不便なこと」や「言っていることとやっていることが違う」という状況に気付くことができ、ユーザーに対する理解を深めることができます。

設計・評価段階での行動観察で完成度を高める

また、設計・評価の段階でも行動観察を行うことで、プロダクトの完成度を高めていくことができます。
設計~評価段階では、プロトタイプ(模型・試作品)を使ったユーザビリティテストを行い、製品がどのように使われるのか、上手くいっている点・いっていない点はどこかなどを観察して評価します。その結果によって新しいアイデアを取り入れたり、問題点を修正した試作品を作り、テストを繰り返します。

「レミパンプラス」の事例では、監修の平野レミ本人やデザイナーがいくつもの試作品を評価するとともに、一般ユーザーによる使用感テストが繰り返されました。

このように、正式リリース前にユーザーの行動をもとにした修正を繰り返すことで、ユーザーの要求を満たす完成度の高いプロダクトを作り上げることができるのです。

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行動観察からはじめよう

このように、ユーザーに意見を聞くとともに、観察してユーザー理解を深めることが、人間中心設計の第一歩です。また、行動観察やユーザビリティテストは、人間中心設計のすべての段階を通して重要な手法であるといえるでしょう。

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また、人間中心設計には「人間中心設計(HCD)専門家」「人間中心設計(HCD)スペシャリスト」という資格認定制度があります。過去7年間で認定者は約600名、実務経験と活動実績が必要になります。興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(HCD)専門家 資格認定制度 – HCD-Net

社内に専門知識を持った人材がいないという場合は、人間中心設計に強みをもつ専門会社にアウトソースするのも一つの方法です。上手く活用して、ユーザーにとって便利で快適なプロダクト作りを進めましょう。

参考:HCD-Net

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株式会社ポップインサイトの公式キャラクター、ポップくんです。ユーザビリティやユーザテストをはじめとして、Webマーケティング全般にわたり、皆様に役立つ情報を発信してまいります。



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