MozillaグループのUXリサーチャーから学んだ日本のUX事情に関する考察

【作成】2020/01/17  

こんにちは、ポップインサイトのインサイドセールス兼マーケティング担当のきぬこです。
先日、今思えばだいぶ社長のムチャぶりだったのですが、無事に海外同時中継のオンラインUXセミナーを開催できました!

登壇者探しから依頼、そして当日の運営まで、時差も10時間以上あるのでかなりバタバタでした…。
なんとか無事に終えることができ、ホッとしています。

記念すべき1回目は、Firefoxで有名なMozillaグループでシニアUXリサーチャーとして活躍されているGloriaさんをお招きしました。

オンラインセミナーの内容を、わたしの考察を交えつつお伝えしたいと思います。
実際のセミナー動画も貼ってありますので、是非ご覧ください。
※日本語字幕はありませんが、Youtube機能の英語字幕を活用いただくとよりわかりやすいです。

【動画】MozillaグループシニアUXリサーチャーに聞く!UXリサーチ体制構築方法とフェーズ別UXリサーチ

UXリサーチにおける今後の見通し

グロリアさんはセミナーのはじめにこんなことを話していました。

市場調査とより密接な関係へ:データサイエンスやAI、機械学習などの新しいテクノロジー領域との協業も。
・役員や共同設立者レベルの高い地位の人がUXリサーチャを兼務
これはアメリカでもまだ一般的ではないものの、一部でこのような傾向も見られる。

これを聞いてわたしは、「役員レベルの高い地位の人がUXリサーチャを兼務」という点に興味を持ちました。
今はUX改善といえば、比較的プロダクトデザイナーの仕事といったイメージがついているように思います。
あくまでも経営者はUXのことはあまり考えず、とにかく会社全体の舵取りなど、もっとマクロな視点でビジネス成果最大化に向けて動いていくのが一般的です。

しかし、グロリアさんは、すでに一部で「経営者や役員レベルでUXリサーチを実施する」動きが見られると断言しています。
日本の企業でも企業理念に「お客様第一」を掲げているところは多いですが、実際にUXに携わったことのある経営者はどのくらいいるでしょうか?

日本ではまだ、UXリサーチの実務を行う経営者はごく少数ですが、こんな経営者が増えると社会がどのように変化していくのか、とても楽しみです。

失敗するリスクを下げるにはリサーチが不可欠

こちらは、スタートアップ企業が失敗する理由Top20です。
グロリアさんはセミナーでこんなことも仰っていました。

プロダクトが完成してからユーザリサーチを行うのではなく、その前段階からリサーチを行っていく方が良い。
スタートアップが失敗する理由Top20を見てみると、何かしらの調査をしておけばこのような失敗を回避できたはず。

わたしはインサイドセールス兼マーケティングを担当しているため、自社のUX改善に興味をお持ちのご担当者様とお話する機会が多いです。
そこでよく耳にするのは、UX改善に向けた予算獲得や社内理解の課題でした。

やはり広告(=集客)など費用対効果が見えやすいものに対する予算承認は下りやすくても、ユーザテストをはじめとしたリサーチは費用対効果が見えづらいため、なかなか難しいそうです。

しかし、グロリアさんに限らず他の登壇者の話でも「実際のユーザの声を集めたリサーチに基づいた意思決定で着実にビシネス成果を出していく」という姿勢は、ビジネスで成果を最大化するのにとても重要です。

ユーザの声の重要性はやはり実際に原体験として実感してみないとなかなかわからないものなので、そういったタッチポイントをポップインサイトとしてもどんどん作っていく取組みができればと思いました。

 

どのようにUXリサーチ体制を構築していくのか?

このパートでは、実際にUXリサーチ体制を構築していく際の手順についてお話いただきました。
まず人材面からお話いただいたのですが、グロリアさんが取り上げた内容は以下の通り。

■人材面:
レベル1‥外部コンサルタント/パートタイムUXリサーチャ
レベル2‥正社員UXリサーチャ1名
レベル3‥UXリサーチャ1名:デザイナ5名(元記事https://measuringu.com/designer-ratio/

率直な感想ですが、アメリカはこれほどまでにUX人材の母数が日本と違うのだなと思いました。

最も初歩的なレベル1の段階で「外部コンサルタント」と「パートタイムUXリサーチャ」が入っているのです。
これでいう外部コンサルタント(外部にUXリサーチを委託するなど)が弊社ポップインサイトのサービスUXリサーチャーオンデマンドなのですが、現状同じような業態の企業はほんのわずかしかおらず、かつパートタイムで気軽にUXリサーチャを採用できるほど潤沢なUX人材がいないのが現状です。

セミナー後半の質疑応答でも「アメリカでは採用に困らないくらいUX人材は豊富にいるのか?」という質問が出ましたが、「シリコンバレーやニューヨークなどの大きな都市では採用に困らないくらいたくさんいる。少し外れたエリアではそこまでいなくとも、UXリサーチャのコミュニティがあるため、採用には困らないでしょう。」という回答でした。

日本ではなかなかUX人材を獲得することや育成するのが難しい状態であるため、アメリカのようなレベルまでUXが浸透するにはまだまだ時間がかかりそうですが、引き続き啓蒙活動をしていこうと感じました。

UXリサーチを実施する流れ

グロリアさんが実際にUXリサーチを実施するにあたり重要な要素をこのように挙げています。

■UXリサーチを実施する流れ
1.重要なステークホルダーの理解を得て味方につける
2.適切なツールや手法を選ぶ
3.UXリサーチを実行する:良質なモニタのリクルーティングが特に重要

重要なステークホルダーには言わずもがなCEOがまず挙げられ、それに近しいプロダクトマネージャーが挙げられています。続いてカスタマーサポートや営業、マーケティング、デザイナー、エンジニア、データアナリストなどです。

 

要するに、「プロダクトに関わる人全員がUXに携わる」ということです。

UXというとやはりデザイナーの仕事と考えがちですが、実際には全員関わらないとプロダクト改善を進めていくのが難しいです。

なぜなら会社の方向性を進めるのはCEOで、クライアントや顧客理解をしっかりしているのは営業やマーケティングですし、カスタマーサポートは直接ユーザの声を聞く立場にある人、リサーチ結果を踏まえてプロダクトを改善するのはデザイナーやエンジニアだからです。

たしかに、UX改善はリサーチを経て改善点がわかったとしてもそこで終わりではなく、開発側に依頼して修正してもらう必要があり、他部署との協業体制があらかじめあった方がスムーズに進みます

先日ご登壇いただいたKDDIグループmedibaでCXOを務めている岡さんのお話にもありましたが、やはり「創るヒトをつくる」ための組織改革は、ユーザにとっていいものを作るために欠かせないんだと痛感しました。

本腰入れての組織改革は一見難しく思えます。いち担当者の立場であればなおさらです。
そのためのお手伝いを、わたし達がセミナーやワークショップを通じて一緒にできたらと改めて思いました。

 ※今回のセミナー資料はコチラからご覧いただけます



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