アジャイル開発にUXリサーチを取り入れるメリットとその手法
UXリサーチをアジャイル開発と並行させることは、ビジネスの成果をより早くあげるのにとても効果的です。しかし、そのままの座組でうまく実行していくには少し工夫が必要です。
そこでアメリカと同時中継で、100社以上のUX体制の構築に携わってきたAmanda Stockwellさんに、うまくアジャイル開発とUXリサーチを行っていくために必要なことをお話いただきました。(2020年1月14日開催)
【動画】アジャイル開発にUXリサーチを取り入れるメリットとその手法
海外ではアジャイルが主流になりつつある
本セミナーは私が担当させていただいたのですが、まず日本とアメリカでの開発環境の違いに驚かされました。
それはセミナーの内容をどうするか話していたときのことです。
「アジャイル開発の概要についてはなくても良いかしら?こちらではアジャイルは一般的だけど、日本ではどう?」
私はこの言葉にびっくりしました。なぜなら、ほとんどの日本の企業ではまだウォーターフォール型で開発を行っているところが多いように感じていたからです。
たしかに、Amandaが過去に執筆したこちらの記事(出典:UX MASTERY)によれば「2015年のある調査によると、伝統的なウォーターフォール手法のみで開発を行っている企業はたった2%しかいないそうです。要するに、アジャイル開発は今やどの企業でも実施されているのです。」とあります。
海外と日本ではここまでも違いがあるのだなと痛感したやりとりでした。
1チームにつきUXデザイナーとUXリサーチャ1人ずつ
セミナーの内容で特に興味深かったのは「1チームにつきUXデザイナーとUXリサーチャは1人ずつ配置することが理想」という点です。
アジャイル型の開発環境下では機能横断型の業務遂行が求められます。
そのため、最も理想的なチーム編成は、以下の通り。
・UXリサーチャー(1名)
・バックエンドエンジニア(2名)
・フロントエンドエンジニア(1名)
・UXデザイナー(1名)
・QAテスター(1名)
アジャイルにこまめにユーザの声を聞きながらプロダクト開発を進めていくためにはこれが最適だそう。先日のGloriaさんのセミナーでも思ったことですが、やはりここでもアメリカはここまでUX人材が潤沢にいるんだな実感しました。
Amandaさんはこの人材配置が難しいのであれば、最低2人以上UXリサーチャのいるUXリサーチ専門部隊を設けて様々なチームのUXリサーチを行う体制を薦めていました。
この場合は、1人でUXリサーチを進めていくのではなく、ペアで業務を進めること、また3つ以上のプロジェクトを同時進行で行わないことを推奨しています。
他にはUXゼネラリストとしてUXデザイナーもUXリサーチャもこなす人を配置する方法についても言及がありましたが、こういった体制は予算面からもよく見受けられるものの、
1.UXデザイナーとUXリサーチャのスキルセットが全く異なり、2つ両方ともうまく遂行するのは大変難しい
2.バイアスなしに自分で作り上げたものを調査および評価するのは非常に難しい(自分が作ったものには思い入れや自信があるためそういったバイアスが発生する)
という理由でおすすめしていませんでした。
もし、その体制にするのであればバイアスがかからないよう細心の注意をはらう必要があるとのことでした。
最後に1番やってはいけないとされたのが、こちらの1人で多くのプロジェクトチームのUX業務を担うことです。
UXデザイナーとUXリサーチャそれぞれの業務だけでもかなり膨大で難しいにもかかわらず、これでは1人に負荷がかかりすぎてしまい、効果的にUX業務を行えません。
「ないよりはまし」というレベルの体制だそうです。
全編も是非動画でご覧ください。