ペルソナの活用方法・メリットとは?UXデザインプロジェクト経験者に聞いてみた
2023年12月にメンバーズ社員に向けて「ペルソナの作成・活用」に関するアンケート調査を実施したので、本記事ではその結果についてご共有します。UXリサーチやUXデザインについて勉強中の方、ペルソナについてさらに知りたい方に向けた内容となっております。
「ペルソナ作成の元にするデータはどのようなものがあるのだろう」「ペルソナを使うメリットとは一体何なのか」「ペルソナはどのタイミングでアップデートさせるべきなのだろうか」といった疑問がある方は、ぜひご覧ください。
ポップインサイトでは、インタビューなどで得た実際の声に基づき
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本当に使えるペルソナ・カスタマージャーニーマップの作成を行いたい方や、ワークショップを実施してペルソナマーケティングの社内浸透を行いたい方、サービスのUX改善に課題がある方はお気軽にご相談ください。
目次
そもそもペルソナとは?
ペルソナとは、一言で言うと「架空のユーザー像」のことです。
ペルソナに向けた製品やサービス開発・プロモーション戦略をする「ペルソナマーケティング」で利用されます。
ペルソナマーケティングの詳細は以下の記事をご覧ください。
【4つの成功事例】ペルソナマーケティングとは?
ペルソナマーケティングという言葉を聞いたことがありますか?従来のマーケティング手法とは少し異なる方法で、ヒット商品のヒントを探っていくというものです。 ...
「ペルソナの作成・活用」に関するアンケート調査の概要
メンバーズ社員向けに実施した「ペルソナの作成・活用」に関するアンケート調査の概要です。
- アンケート調査概要
- アンケート配信対象:株式会社メンバーズの社員
- 調査対象:ペルソナを活用しているプロジェクトの経験者
- 調査方法:Webアンケート調査
- 有効回答数:42名
また、今回はペルソナを活用しているプロジェクトの経験者を対象としましたが、「ペルソナ作成への関わり方」の回答結果は以下のとおりです。
ペルソナ作成時に活用したデータや情報とは?
まず、ペルソナを作成する際に最も多く活用されているのは「ユーザーインタビュー」でした。ペルソナでは抱えているニーズや製品・サービスを利用することで達成したいゴールを表現すること、その背景となる心理や行動を表現することが重要です。
ユーザーインタビューは個々のユーザーの行動やニーズを深く掘り下げて聞くことができるため、ペルソナを作成する際に活用しやすい定性データを効率的に集められる手法といえるでしょう。
ペルソナ作成のためのインタビュー方法については以下の記事で詳しく説明しています。ぜひご一読ください。
活きたペルソナのための「定量的な情報」と「定性的なストーリー」
ペルソナとは、一言でいうと架空のユーザ像を設定することです。 製品やサービスにとって重要かつ特徴的なユーザー像を可視化することによりユーザニーズを把握す...
次に、「クライアントの顧客データ」や「アンケート」の分析結果も多く活用されています。
ペルソナを作成するにあたり性別や年齢、世帯年収などが決められるとペルソナの解像度が上がり、よりその人物を想像しやすくなります。そのような「デモグラフィック属性」を設定するためには、どんな属性のユーザーがどの程度存在するかを量的に把握することも有効です。
他にはユーザーのイメージをより具体的なものにするために、直接ユーザーにインタビューする以外にも、多くのユーザーとの接点を持つ「クライアントの営業・カスタマーサービス・販売等の担当者へのヒアリング」が活用されていると考えられます。
ペルソナを作成するうえで失敗しないためのポイントについては、以下の記事をご覧ください。
カスタマージャーニーのペルソナ設計で失敗しない重要なポイント ―ペルソナの再考―
本記事は著者Cindy Brummer氏より許可を得て翻訳したものです。 元記事:UX Booth ”Rethinking User Personas”...
1つのプロジェクトで活用されているペルソナの数
1つのプロジェクトで活用されるペルソナの数は「3体」が最も多い結果となりました。一方ペルソナが「1体」のみのケースは少ないことが分かりました。
ペルソナは多くの場合は1つのプロジェクトで複数作成し、優先順位が最も高いペルソナを「プライマリーペルソナ」、それ以外のペルソナを「セカンダリーペルソナ」として設定します。
セカンダリーペルソナが複数いる場合は、プライマリーペルソナと異なるニーズを持つ「脇役」や、「プライマリーペルソナ」と「脇役」に向けたデザインで結果的にニーズが満たされる「端役」などの分類をすることがあります。
ペルソナを活用して感じたメリット
ペルソナを活用して感じたメリットは、予想に反せず「ターゲットとするユーザー像が明確になった」が最も多い結果に。
また「製品やサービスが対象とする顧客像が絞れ、関係者が共通の認識を持って行動できる」も、ペルソナの主要なメリットの1つでした。
例えば商品・サービスの開発部門やマーケティング部門、営業部門、Web制作部門など、さまざまな立場の方が「30代の主婦」に向けた商品・サービスの議論をしているとしましょう。ペルソナが設定されていない場合、「30代の主婦」という情報だけでは、「ユーザー像への認識のばらつきや誤解が生まれる」「目指す方向性が統一されない」「ユーザー像のイメージができずこれまでの経験に沿った提案のみがされる」といった事態が発生します。その結果、議論がまとまらず、ちぐはぐな商品・サービスが生まれてしまうといったことが起こり得ます。
ペルソナは、ユーザーが抱えているニーズや製品・サービスを利用することで達成したいゴール、その背景となる心理や行動を一人の人物像として表現するものです。
ペルソナを作成して「仕事と家事をスマートに両立し、日常にゆとりが欲しい」というニーズを関係者間で共通認識することで、「ペルソナが抱えるニーズを満たすためにどのようなサービスを作れるか」「さまざまなアイデアの中で本当にペルソナに必要なものは何か」といった議論をスムーズにできるようになります。ペルソナを作成することで、関係者が同じゴールを目指してプロジェクトを進められるのです。
そういったメリットが実際のプロジェクトでも感じられていることから、「関係者間でユーザー像の共通認識を持てた」の回答が多くなったと考えられます。
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ペルソナのアップデートや追加のタイミングは?
実際のプロジェクトでは、どのようなタイミングでペルソナをアップデート・追加したのか、自由回答形式で答えてもらいました。
最も多く見られた意見は「サービスを取り巻く状況が変わったタイミング」でした。
「商品の性質が変わった」「サービスの方向性の転換をすることになった」「ペルソナ作成時とユーザーの状況が変わった」といったタイミングでアップデートがされたケースがあるようです。
「ペルソナ作成時とユーザーの状況が変わったタイミング」という意見もありました。具体的な状況の変化の言及はなかったものの、例えば「スマホが普及してきたため、スマホが十分に普及していない時期のペルソナをアップデートする」「社会情勢の変化で企業戦略が変わった段階でアップデータする」などが考えられます。
他には「代表的なユーザー像以外に取り込みたいユーザー像が出てきたタイミング」「既存のペルソナと別のセグメントに施策を打ちたいとき」など「別のターゲット」向けにペルソナの追加をしたという意見も見られました。
また、元々定量データなどから仮で作っていたペルソナを、定性調査で解像度を上げる形でブラッシュアップしたケースもあるようでした。
ペルソナ活用のための工夫とは?
実際のプロジェクトでペルソナを活用する際、どのような工夫をしているか自由回答形式で答えてもらいました。
こちらはペルソナの主要な役割である「関係者間でユーザー像の共通認識を持つ」ための工夫と思われます。
例えばサービス自体や、サービスの新機能のアイデアを様々な関係者を交えて考える際に、常に貼り出したペルソナを確認しながら考えることで、共通のターゲット像に向けてアイデアを出し合うことができます。
「ペルソナを作ってあげるのではなく、関係者を巻き込んでWS形式などで一緒に作っていくのが良いと思います。その方がチームで納得感があるものを作れるし、納得感があるものを作れば浸透もするし、マーケティングへの活用もより有効にできると思うので。」
こちらはペルソナが活用されるものとなるための、作成時の工夫だと思われます。
ペルソナをUXリサーチャーやUXデザイナーだけで作ってしまうと、クライアントや関係者にとって納得感のあるものにならない可能性も。そのため関係者を巻き込んで一緒にペルソナを作ることで、納得感のあるものとなり、スムーズに活用されると考えられます。
最後に
以上、ペルソナが実際にどのように活用されているかをご共有させていただきました。
本記事が少しでもペルソナ作成やアップデートの参考となり、ユーザー視点をより取り入れたサービス・プロダクトが作られていくきっかけとなれば幸いです。
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執筆者について
ポップインサイトカンパニー所属 UXデザイナー
宮本
メンバーズ入社後は就活関連サービス、オンラインショッピングサイト、保険関連サイト、飲料のロイヤルユーザー向けサービス、住宅設備機器などの調査やプロトタイプ制作を担当。