UXにおける「楽しいデザイン」の危険性


この記事はuxdesign.ccの記事を許可のもと翻訳したものです。

翻訳元記事:The dangers of delightful design (2016/11/21)

 著者:John Saito

あなたが楽しいことを思い浮かべるとき、ぬいぐるみやカップケーキ、ハグといった暖かくてふわふわとしたものを思い浮かべるかもしれません。

しかし楽しいことにはマイナスの側面がつきものです。くだらないジョークはあなたを怒らせることがあります。巧妙な広告にたぶらかされるかもしれません。かわいい効果音にイライラさせられることだってありえます。

デザインの世界では、しばしば細部にわたって人を楽しませることがもてはやされます。しかし、これは時に厄介なものになりうるのです。

「楽しい」は邪魔になる

気を付けないと、「楽しいデザイン」は、あなたのプロダクトの使い勝手をそこねてしまうかもしれません。

有名な料理の鉄人である森本正治氏にちなんで名づけられたMorimotoというWebサイトは、使い勝手の良さとは何なのかを明確に感じさせてくれる良い例です。

彼らのサイトは楽しめるように工夫されていますが、その工夫がかえってサイトを使いにくくしているのです。

・メニューボタンが45度斜めに傾いているため、クリックしづらくなっています
・カーソルを動かすと画像が動き出し、画面に集中できません
・聞きたいかどうかはお構いなしに、音楽が自動で再生されます
・メニューバーのアニメーションが出たり引っ込んだりするので、1回クリックするたびに5秒間待つ必要があります

MorimotoのWebサイト

こうした細部にわたるデザインのこだわりはブランドそのものを表現します。プロダクトを生き生きとしたものにしてくれるのです。

しかしながら気を付けないと、こうしたこだわりが厄介なものとなってしまうかもしれません。MorimotoのWebサイトのように、過剰な楽しさは、迷惑なだけで足手まといになってしまうのです。

「楽しい」にも賞味期限がある

楽しさを生み出すためには、驚きの要素が必要です。なにか新しいことをしたり、予期せぬ出来事が起きたりすることで、楽しさが生まれます。

私は、Androidの携帯電話を初めて起動し、回転する円の画像を初めて見たときのことがとても印象に残っています。

円が魔法のようにAndroidのロゴに変身するのを見たとき、私はとても感心させられました。 これまでで最もクールなローディングアニメーションだと思ったのです。
しかし、しばらくすると、このアニメーションはただの繰り返しになってしまいました。何度も見ることで 、私はもはや最初と同じ楽しさを感じなくなり、驚くこともなくなりました。
「楽しいデザイン」は時間が経つにつれ魅力を失っていきます。楽しさには賞味期限があり、しばらくすると最もクールだと感じていたデザインですら新鮮味を感じなくなってしまうのです。
新鮮味を保つためには、同じものを何度も何度も繰り返しデザインし直さなければなりません。

「楽しい」は人によって違う

あなたは、少し面白おかしいエラーメッセージが出た経験はありませんか?
悪い状況というのはとかく冗談めかしたくなるものですが、いい仕事をしようと、あるいはタスクを終えようと必死になっているときに、面白おかしいメッセージが出ると、「思いやりが欠けている」「馬鹿にされている」というような印象を与えかねません。何をもって「楽しい」と感じるかは人それぞれ違います。ある人にとっては楽しいことも他の人にとっては不快かもしれません。誰にでも共通して「楽しい」ことなんてありえないのです。

悪意はないのでしょうが、あなたが楽しませようと思ってやっていることは、誰かをムカッとさせているのかもしれないのです。

「楽しい」はスケールしない

「楽しさ」は、その対象者が多くなるほど扱いにくくなっていきます。もしあなたのブランド規模が小さければ、プロダクトにたくさんの面白いワードを盛り込んでもいいでしょう。しかし対象者が多様化しグローバルになってくれば、誰にとっても「楽しい」ということが難しくなってきます。
グローバル企業のブランド(画像左)と少し規模の小さいブランド(画像右)の言葉を比べてみましょう。

Microsoft Teams vs. Slack


Google Docs vs. Quip


Eventbrite vs. Splash

ある傾向に気付きましたか? 一般的に、グローバル企業のブランドで使用されている言語は、単刀直入でわかりやすい傾向があるのです。その方が広く誰にとっても無難だからです。 こうした表現はローカライズが容易で、よそよそしさを感じにくくなっています。

右側に使用されている表現は間違いなく楽しませる要素があるのですが、特定のユーザーに向かって発信されています。 あなたが自分に向けられたものだと思わないとすれば、おそらくその表現を「楽しい」とは思わないでしょう。

デザインで楽しませるタイミングは

そろそろ「楽しいデザイン」が、時には厄介なものになりうるということがお判りでしょう。
「楽しいデザイン」はリスキーですが、それを全くなくすべきだとは言いません。最も難しいのは、楽しませるタイミングを見極めることです。

私が学んだことの1つに、ユーザーがそれほど頻繁に見ていない画面でその演出を行うのが概ね正解だ、というのがあります。

例えば、
・最初にアプリを起動するとき
・アカウントの設定が完了したとき
・新しい機能が導入されたとき
・初めて行う大事な操作を完了したとき
・どのような作業も行っていないとき

ユーザーがおそらくこれらの画面を見るのは一度きりなので、しつこさやわずらわしさを感じず「楽しい」と感じやすいのです。

このため、新規登録のフローではしばしば「楽しいデザイン」が表示されます。以下は最近のGoogleのサイトです。ほとんどのUIはかなり一般的で分かりやすく作られていますが、一度きりの最初の登録フローでは、このかわいいイラストを目撃して驚くことでしょう。見るのが一度だけだから楽しいのです。

正直なことを言えば、私自身もいまだに自問自答しているところなのです。楽しさというものは主観的なもので、定義づけするのはとても難しいことだからです。頭の中では、どこで「楽しいデザイン」を使うべきか、どこは避けるべきかについてのガイドラインを作りたいと思っていますが、それは思っているより難しいことなのです。 誰もが「楽しい」ということについては自分の考えを持っています。

あなたはご自身のプロダクトにおいて、どこで「楽しい」とユーザーに思わせるかについて確固たるご意見をお持ちですか? もしそうであれば、ぜひお聞かせください。

翻訳元記事

The dangers of delightful design (2016/11/21)

画像は翻訳元記事より引用


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