UXリサーチ会社 115社独自調査/UXリサーチ実態調査2020 第四回:アンケート結果総まとめ
ポップインサイトでは2020年2月、UXリサーチ実施の経験者を対象に、所属企業でのUXリサーチの実態アンケート調査を実施しました。
調査には115社118名にご協力いただき、日本のUXリサーチの実態を把握する大きな手がかりを得ることができました。
調査結果からは、UXリサーチ経験者の多くが「UXリサーチの社内理解を得るにはどうすればよいか」「社内のUX体制は今後どのように広げていけるか」という課題感を持っていることも明らかになりました。
本シリーズ記事では調査結果を4回にわたって紹介し、日本のUXリサーチの課題とその解決方法を探っていきます。
第一回:UXリサーチの3つの価値
第二回:UXリサーチを広げるうえでの4つの課題
第三回:UXリサーチ社内展開の10の工夫
第四回:アンケート結果総まとめ←今回はこちら!
今回は、アンケート結果総まとめと、第三回まででご紹介しきれなかったアンケート結果をすべて公開いたします。
UXリサーチ実態調査2020総まとめ
UXリサーチ実態まとめ1.UXリサーチの3つの価値
本調査では回答者の8割が「UXリサーチはビジネス効果につながる」と評価しました。
ビジネス効果につながるUXリサーチの価値として評価されたのは以下の3点でした。
- 「ユーザの声をチームで把握できる」
- 「良質な仮説を得られる」
- 「ユーザの声というエビデンスに基づいた意思決定ができる」
UXリサーチ実態まとめ2. UXリサーチ体制拡大をはばむ4つの課題
本調査の回答者は、自社でのUXリサーチ体制の拡大に対して以下4つの課題を抱えていました。
- リサーチ準備に時間がかかる:2週間~数ヶ月
- 実施タイミングが遅い:「ローンチ後に実施」が最多(66%)
- 継続的に実施できない:継続実施はわずか30%
- リソース不足:約50%が「不満」
▶「UXリサーチを広げるうえでの4つの課題」くわしくはこちら
UXリサーチ実態まとめ3. UXリサーチ社内展開10の工夫
UXリサーチを社内で拡大するにあたっては、社内のUX体制の成熟レベルに合わせた10の工夫が寄せられました。
- 関心醸成期:セミナー共有・書籍共有・社内勉強会の開催
- 個別案件期:リサーチ工数の確保・スタッフ巻き込み
- 拡大期:事例の社内共有・事例の社外発信・UX相談窓口開設
- 仕組み期:リサーチのKPI化・経営層への報告
アンケート結果をすべて公開!
実施頻度が高いのは「インタビュー」「小規模アンケート」
118名の回答者にUXリサーチの様々な手法ごとに実施頻度ならびに経験を聞いたところ、ユーザインタビュー、小規模アンケート(500人未満)の頻度が高いことがわかりました。
また、回答者の7割が、自社顧客・会員を対象としてUXリサーチを実施した経験をもっていました。
UXリサーチの目的は「顧客ニーズの理解」を重要視
UXリサーチの実施目的のうち最も重要度が高いと評価されたのは「顧客ニーズの理解」「顧客の声を知る」でした。
最も使用されるアンケートツールはGoogleフォーム
最も使用するアンケートツールについては回答者の65%が「Googleフォーム」と回答しました。
Googleフォームの使用頻度の高さはアメリカの調査結果と同等で、無料で手軽に使える点、回答内容によって設問の分岐ができるなど必要十分な機能がある点などが評価されていると推測されます。
過半数が「リモートUXリサーチ経験なし」
SkypeやZoom、電話などを利用して離れた場所にいるモニタに対して調査を実施する「リモートUXリサーチ」について、56%が「経験なし」と回答しました。
リモートUXリサーチを実施する際のハードル・抵抗感について自由回答で聞いたところ、
- モニタと信頼関係を築けるか不安
- オンラインでのモデレートが不安
- ネット環境やモニタのネットリテラシーへの不安
の3点が挙げられました。
オンライン上でモニタと信頼関係を築き、スムーズにモデレートできるコミュニケーション方法の習得が今後さらに重要になると思われます。
UXリサーチ担当部門は「マーケティング部門」
UXリサーチの実施担当部門は「マーケティング部門」という回答が最多でした(36%)。
一方、アメリカの調査では44.6%の回答者が「デザイン部門」と回答しています。これは、アメリカと日本のデザイン部門の業務内容の違いを示唆する興味深い結果です。
UXリサーチに関する情報入手は「ウェブサイト」「グーグル検索」「書籍」
UXリサーチの情報入手方法は「ウェブサイト」「グーグル検索」「書籍」が6割を超えました。
約半数が「UXリサーチは業務の10%未満」
今回の調査では、自社のUXリサーチ体制に対する最も大きい不満は「リソース不足」であることも明らかになっています。
本調査の回答者は「UXリサーチ経験者」に限定しましたが、業務におけるUXリサーチの割合についてはほぼ半数が「10%未満」と回答しており、今後UXリサーチの実施体制をさらに強化する余地があると言えるでしょう。
四回にわたってレポートしました「UXリサーチ実態調査2020」、いかがだったでしょうか。貴社のUXリサーチ体制との比較や、今後のUXリサーチ体制構築のヒントとしてご活用いいただければ幸いです。
第一回:UXリサーチの3つの価値
第二回:UXリサーチを広げるうえでの4つの課題
第三回:UXリサーチ社内展開の10の工夫
▶米国のリサーチ会社が実施したUXリサーチャー169名へのアンケート結果記事はこちら
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